Amazon Global Sellingについて
こんにちは、Cloudly AssistantのToruです。
突然ですが皆さんは Amazonを利用して商品を購入したことありますか?
今はむしろ利用した事が無い人の方が少ないかもしれませんね。ではAmazonを使って商品を販売したことがありますか?と聞いたらどうでしょう。
はい、と答える人はグッと減ったのでは無いでしょうか。
そしてさらにAmazonを使って海外に商品を販売したことがありますか?と聞いたらどうでしょう。
これだとかなり数が限られるかもしれませんね。
物販に携わる方はご存知の方も多いとはいますが、実はAmazonでは海外のブランドやストアが別の国に商品を販売しやすくなる仕組みを積極的に展開しており、意識せずとも海外ブランドからAmazonを通して商品を直接購入したことがあるケースも増えているのでは無いでしょうか。
日本からもAmazon Global Selling というサービスを活用すればアメリカやその他の国のAmazonストアへ出品することが比較的容易にできるのです。
アメリカの個人消費者は日本やその他国外から商品を買う場合は小売価格が$800以下であれば関税などかからずに購入できるとあり、昨今の円安基調で日本から直接色々な商品を購入したいと思ってるアメリカの消費者も増えていると思います。
オリジナルの商品を展開している企業や個人セラーはもちろん、日本独特の商品(和包丁、浴衣、漆塗、などなど)を製造・販売している場合は今がアメリカ展開のチャンスだと言えます。
とはいえ海外展開にはリスクも潜んでおり、海外配送によるコスト増やカリフォルニアProp 65などの法令順守や現地のカスタマーサポート体制についてなど事前に検討するべき事項が数多く存在します。
そこで本日は日本からアメリカに向けてAmazon Global Sellingの概要やこのサービスを使い海外のAmazonに出品する大まかな流れや注意点など見ていきたいと思います。
■Amazon Global Sellingとは
Amazon Global SellingとはAmazon自体が出品者に対して提供しているサービスの1つで、1つのセラーセントラルから複数のマーケットプレース(国)に出品することが可能となるサービスです。すでに日本国内でAmazonに出品している場合はそのアカウントをアメリカなど他のマーケットプレースに紐付けることで比較的容易に海外販売/越境ECを開始することが可能となります。
それではAmazon Global Sellingの概要と提供サービスの内容を見てみましょう。
■セラーセントラルアカウントの統合
すでに日本以外の販売対象国で別のAmazonセラーアカウントを運用している場合はそのアカウントと国内のセラーアカウントを統合/紐付けすることが可能です。ただし一旦統合してしまうと統合の解除はできませんので誤って代理店さんやエージェントのアカウントに紐づけてしまったりしないように注意する必要があります。 対象国でまだ運用しているアカウントがない場合は既存のアカウントから新たにマーケットプレースを追加する形となります。
■大口出品月額利用料の割引
Amazon Global Sellingを利用するためにはまず大口出品(Professional Account)での出品者登録が必要あります。各マーケットプレース毎にアカウントを分けている場合は各国のマーケットプレースの大口出品者アカウントの月額登録料を支払う必要がありますが、Amazon Global Sellingアカウントを使うと月額登録料は以下の割引ポリシーが適応されます。
出品中の各国の月間登録料の合計、または
月額39.99米ドル相当額
複数マーケットプレースに登録しても最大月額料が$39.99米ドル相当額に抑えられる形になります。2024年8月時点での日本での大口出品者月額登録料は¥4,900で、アメリカは$39.99米ドルなので、本来なら合計した金額(1万円強)となるはずが上記の割引ポリシーにより月額$39.99米ドル(約¥5,999 @ $1=¥150換算)に抑えられます。アメリカだけでなく欧州へも展開する場合はさらに月額登録料自体は割安になる計算となります。
■グローバル出品連携ツールの利用
グローバル出品連携ツール/BILを利用することで複数マーケットプレースへの商品登録が行いやすくなります。BILを活用すると複数マーケットプレースにおける商品管理が一元化でき、各マーケットプレースにおける展開商品や値段設定なども出品者があらかじめ設定したルールと為替レートにより自動更新する事ができます。また対象国の言語国合わせて商品詳細ページの翻訳もある程度行ってくれます。
■支払いの簡素化
Amazon Global Sellingを活用せずに個別マーケットプレース毎にアカウントを開設する場合は対象国において銀行口座が必要になり、対象国において法人登録や営業所登録が必要になる場合がありましたが、Amazon Currency Converter for Sellers (ACCS/海外口座送金サービス)を活用すればAmazonが売上を日本の銀行に振り込んでくれます。 ACCS以外にもHyperwalletやPayoneerなど外部の送金サービス も利用可能なので、それぞれのメリット・デメリットまたはニーズに応じて選択するのが良いでしょう。
■フルフィルメント業務代理
Amazonでの海外配送は大きく3タイプの方法が検討できます。
Amazon以外の物流ネットワークやサービスを使うことでより難易度が低い導入が可能なので、ニーズやリスクなどを検討した上で現状にあった方法を選ぶと良いかと思います。
自社倉庫などから海外の購入者へ直接配送
国内の自社倉庫から直接海外の購入者へ配送することができます。国内の大手配送業者や郵便局などから国際宅配便や国際郵便として商品を送る形になりますが、購入者にとって送料が割高となったり、納期も長くなってしまうのがデメリットです。また商品や購入金額によっては購入者が予期せぬ関税や税金の支払いを求められる場合もあり、筆者の経験上トラブルになるケースも少なくありません。購入者の期待値と合うよう事前のコミュニケーションが大事となります。出品者が独自に海外の購入者に配送する場合はカスタマーサポートも現地の言語(英語)で対応しないといけません。 また例外はありますが無料返送オプションなどを購入者に提供する必要があります。
対象国内でFulfillment by Amazonを活用して購入者へ配送
対象国のAmazon Fulfillment Centerに事前に商品を輸出、保管しておき、注文を受けたたらその国のFBAを活用して出荷・配送する事も可能です。この場合、商品は事前に購入者が住む国に輸入されているので、送料や納期など購入者の期待値と合っているといえます。 ただし、商品は事前に対象国に輸出しておく必要があり、その際の送料や該当する場合は関税などは出品者が支払う形になります。こちらも1から自身で行うにはやや難易度が高いサービスと言えますが、後述の外部サービスを活用することでハードルを下げることが可能です。
この場合、出品商品は対象国のマーケットプレースでPrime表示することも可能となり、返品対応やカスタマーサポートなど購入者の期待値に沿ったサービスが提供できるでしょう。
FBA海外配送サービスを活用して日本国内のAmazon倉庫から海外へ配送
日本国内で出品しておりすでにFBAを利用されている場合はGlobal Sellingを使わなくても日本のFBA海外配送サービスを利用して海外配送を行う事が可能です。
しかしながら日本のFBA海外配送は日本のマーケットプレース、つまりAmazon.co.jpに出品されている商品が対象となりますので、米国のマーケットプレースであるAmazon.comには商品は出品されません。海外からAmazon.co.jpで購入される方もいらっしゃるとは思いますがやはりAmazon.com に比べると対象ユーザーが減ってしまうのがデメリットと言えるでしょう。
外部物流サービスを介して米国のAmazon Fulfilment Centerに配送
現在Amazonが提供しているフルフィルメントの選択肢だといずれもハードルが高いという場合は外部の物流サービスを利用して米国のAmazon Fulfillment Centerに販売商品を保管する事が検討できます。
国内大手物流会社を中心に日本から米国のAmazon Fulfillment Centerに商品を運搬するサービスを提供している会社がありますのでニーズにあったサービスを選ぶのが良いでしょう。特にAmazonだけでなく、WalmartやWayfair、そしてWishなどその他のプラットフォームへの出品も検討されている場合、日本からの出荷を一括で対応できるなどのメリットもあります。
■まとめ
このようにAmazon Global Sellingを活用することで海外に事業所などを設置せずとも海外の購入者とつながることができるようになります。しかし、一方で商品を売れるようにするには商品詳細ページをAI翻訳ではなく自然な現地語に修正したり、有効な検索キーワードを設定したり、また場合によっては対象国のマーケットプレース内で広告を打つ必要も出てくるでしょう。 Cloudly AssistantではGlobal Sellingを活用してアメリカに商品を販売する際にアカウント設定から売上分析まで様々なアドバイスや業務を請け負い伴走することができますのでお気軽にお問い合わせください。
■補足
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)とAmazonが連携してAmazon Japan Storeを米国及び英国Amazon内に設置、同ストアへの出店希望者の二次募集を2024年9月から行う予定との事です。審査があるようですが是非こういった行政サービスの利用もご検討してはいかがでしょう。
※本記事は2024年8月現在でAmazonヘルプページなどに記載された情報を元に作成されております。Amazonが提供する各サービスは都度内容がアップデートされる可能性がありますので参照元の記事をご確認するようお願い致します。
■参照元
Amazon Global Sellingについて
https://sell.amazon.co.jp/grow/global-selling/guide
アカウントの統合についてhttps://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/external/201841950
グローバル出品連携ツールhttps://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/external/202121570
Amazon海外口座送金サービスhttps://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/external/200381250
FBA海外配送サービス(日本)https://s3.amazonaws.com/JP_AM/doc/FBA/jp_fba_export_manual.pdf
FBA海外配送サービス(アメリカ/英語)
https://sell.amazon.com/fulfillment-by-amazon/fba-international
ジェトロ/アマゾン Japan Store プログラム概要
https://sell.amazon.co.jp/grow/promotions/japan-store