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「八葉の栞」あとがき
はじめに
当初、あとがきはあまり必要ないかなと思っていました。
しかし、結城奏様のあとがき記事を拝見したこと、先程投稿した「ふたり狂い」の考察記事を書いたこと、そして今回14万文字に収めることができずにカットした部分の補完をどこかでした方が良いかなと思っていたことが重なり、私もあとがき書いてみようかなと思い立ちました。
書いたきっかけ
7年くらい前に、ゲームプログラマーをしている弟と同人ゲームを1本作ってみようかという話になり、シナリオを担当することになりました。シナリオどころか、その時点で10年ほどゲーム離れをしていたのでトレンドすら全く掴めずにいました。そのときは「100円くらいで売れそうなノベルゲームをまずは作ってみよう」という感じで始めたので、とりあえず書いてみたのが「八葉の栞」の原案です。
「清宮涼介の依頼を受けた藤堂茉莉花とジョシュが彼女たちの特殊な能力を使用して、人から忘れ去られる能力を持ってしまった涼介の婚約者を救う」という大筋だけはゲームシナリオ版から引き継いでいますが、それ以外の要素はすべて新たに書き直しました。
創作大賞に応募した理由
始まりは上記のとおりだったのですが、結局私も弟もそれぞれの本業が忙しくなり、ゲーム開発は完成前に頓挫してしまいました。それでも、せっかく考えたので、いつかは小説として書き起こしてみたいと思っていました。
昨夏、ハーバード大学の「CS50」で学習した内容を記録しておく目的でnoteのアカウントを作成し、それがきっかけで今年のGWに「創作大賞」の存在を知りました。これは小説を書くなら今だなと思い、せっせと執筆した次第です。
書いてみて思ったこと
まず、ノベルゲームのシナリオと小説では全然様式が違うなと感じました。そもそも、人生で創作物の執筆をしたのは7年前のその一時期だけで、あとはビジネスメールや作業手順書、製品マニュアル、企画書、契約書のようなものしか書いてこなかったので、小説としての文章を考えるのに四苦八苦しました。というより、今でもよくわかっていません。
これは今後の課題としたいところですが、ありきたりな文章を書いていてもあまり意味はないと思っているので、個性を残しつつ、読者様の負担にならない書き方ができるようになりたいなと思っております。
作品内容
視点と時系列が入り乱れる上に、現実世界にないファンタジー設定まであるので、理解しながら読もうとすると大変かなと思います。私自身が深読みを求められる作品が好きなので、ついこうなってしまいましたが、創作大賞の作品の数々を拝読し、noteに残しておく上で、このままにしておくのはいかがかなと思い直しました。せめて、主要部分だけでも時系列順に情報をまとめてみたく思います。
1973年
瑞木春香と真桜の双子が生まれる。
1974年
森川文乃が生まれる。
1989年
文乃が事故に遭う。彼女を救うために、春香が『うたかたの契約』を結ぶ。
春香の『水鏡桜とうたかたの少女』『調香ノート』が真桜に渡る。
1990年
真桜と水沢匡貴が出会う。
1993年
真桜と匡貴が結婚する。
1994年
水沢はるりが生まれる。
清宮涼介が生まれる。
1999年
はるりが病気に罹る。彼女を救うために、真桜が『うたかたの契約』を結ぶ。
真桜の『水鏡桜とうたかたの少女』『調香ノート』が匡貴に渡る。
2000年〜2003年
いじめを受け孤独なはるりが架空の友人を作る。はるりの中に残る真桜の『存在の力』が人格を宿す。
2004年
涼介がはるりをいじめからかばう。
はるりの将来の夢を涼介が褒めたことにより、九条玲於奈からはるりへのいじめが加わる。
玲於奈のいじめではるりは真桜の形見のハサミを失くすが、代わりに涼介からレターナイフをもらう。
『雨の日の悪魔』により攫われそうになったはるりを涼介が助けようとするが、彼ははるりをかばって心臓を刺される。彼を救うために、はるりが『うたかたの契約』を結ぶ。
涼介は一命を取り留めるが、先端恐怖症になる。
2006年
はるりと彼女の記憶を失ったままの匡貴が再会し、数日を共に過ごす。
匡貴の家にあった『調香ノート』がはるりに渡る。
匡貴ははるりを誘拐したとされ、逮捕される。
匡貴の頼みを受けて、森川誠が『水鏡桜とうたかたの少女』を預かる本を1冊預かる。
2007年
匡貴にはるりの2回目の『うたかた』が発動し、彼の心を壊す。匡貴は行方をくらます。
2021年
茉莉花とジョシュが『雨の日の悪魔』を捕まえる。はるりが彼女たちの存在と能力を知る。
2023年
涼介とはるりが再会する。涼介ははるりに告白し、ふたりは同棲を始める。
はるりが他者の記憶を媒体に自身の存在を涼介に伝える計画を立案。茉莉花とジョシュに協力を要請(依頼)する。
虎岩龍五郎が玲於奈と彼女のお店のSNSを炎上させる。はるりが龍五郎を説得し、炎上は沈下する。
森川誠が他界する。『水鏡桜とうたかたの少女』が森川佳乃に渡る。
2024年
はるりは白桜町の町民と積極的に会話を繰り返し、自身の過去を会話に織り交ぜて、伝えていく。
1月。はるりが森川佳乃に会いに行き、『水鏡桜とうたかたの少女』を受け取る。はるりは佳乃に匡貴の居所を伝える。
2月。はるりが高岡真也に会いに行き、生前に真桜が好きだったレコードを探すが、目的は果たされずに終わる。レコード盗難事件が起こる。
3月4日。涼介が参加していたスタートアップ企業の案件が終了。その夜、はるりは家のスマート家電の電源を切り、『水鏡桜とうたかたの少女』とレターナイフをもって、水鏡桜の前で『うたかた』の裏返しを使用し、身体と記憶を失う。はるりの『存在の力』により、彼女の中にあった真桜の『存在の力』が実在を得る。
3月5日。涼介がはるりの失踪に気付き、捜索願を出す。自身もはるりを探すが、彼女を知るはずの人々がその記憶を失っていることに気付く。
3月15日。涼介は藤堂探偵事務所を訪れ、茉莉花とジョシュにはるり探しを依頼するが、解決には至らなかった。代わりに、茉莉花から涼介に探偵アシスタントになることを提案。涼介は承諾する。
3月22日。涼介の初出勤。高岡真也の依頼を解決する。
3月28日。九条玲於奈からの依頼を受けて操作開始。
3月29日。虎岩龍五郎を捕らえ、玲於奈の依頼を解決する。
3月30日〜4月1日。4件の依頼を解決するが、はるりの情報は得られず。実際は依頼の解決方法などにより、得られる可能性がある情報を得ることができなかった。
4月2日。森川文乃の依頼を解決する。
4月3日。水沢匡貴の依頼を解決する。
4月4日。瑞木真桜から上記の内容が語られる。4月5日に涼介とはるりが再会すると、はるりの心が壊れ、涼介が刺殺される未来が明かされる。
4月5日。瑞木真桜の依頼を解決する。真桜は実在を失う。涼介がはるりと再会し、はるりは失った記憶を取り戻す。
各記事の見開き画像
個人的にはアニメイラスト調よりも写実系の方が好きなのですが、生成が難しかったため断念しました。第四章の子供はるりの絵が上手いこと作れた(と自分では思っている)ので、あとはそれに合わせて作っていきました。
背景やエフェクトを付けていくのが思いのほか楽しかったです。
第二章のジョシュ絵は、ノベルゲーム作成時に弟の知り合いのイラストレーターの方に描いていただいたものです。
ロゴも私が以前一緒にお仕事させてもらっていたデザイナーの方にゲーム制作時に作成してもらったものを流用しました。
本記事の画像は、唯一それっぽくできた茉莉花をイメージした写実系の画像です。もう使える機会なさそうなので、ここに載せることにしました。
さいごに
大雑把に書いても上記のような複雑めの構成のため、14万文字に収めることができず、かなりの部分カットしました。いつか、ちゃんとした完全版を書きたいです。また、書き終わった後にも色々と思うことがあったので、創作大賞の結果がどちらであれ、変化を恐れず改稿を入れていき、完成度を高めていきたいと思います。