【決算】SMCI、SupermicroComputer 2024年3Q決算
SMCI、SupermicroComputer 2024年3Q決算 2024年4月30日発表内容
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CEO TAKEAWAYSについて、プレゼンテーションから以下の詳細が記載されています。
CEO TAKEAWAYS
Q3 FY24の収益:
収益は38億5000万ドルで前年同期比200%増、前期比5%増
AIラックスケールのDLC(Direct Liquid Cooling)システムに対する需要が記録的
NVIDIA H100、Intel Gaudi 2/3、AMD MI300A/Xなどの最新AIチップに対応
NVIDIA GH200(Grace Hopper)およびGB200(Blackwell)ソリューションで業界に先駆けて開発
Intel Xeon 6およびAMD Turinに基づくX14、H14システムの初期導入に着手
次世代AIソリューションに液冷対応が必須なため、今四半期で1000ラック以上出荷
戦略の実行:
Building Block Architectureを使い、CPU/GPU/DPUの新製品に対応したTotal IT Rackソリューションをリリース
データセンター、ラック、マネジメントに対応した液冷インフラソリューションの商用化が間近
サンノゼ、台湾、マレーシアなどで製造能力の拡大、最適化に注力
Q4 FY24の収益ガイダンス: 51億55億ドル(前年比133152%増)
FY24通期の収益ガイダンス: 147億151億ドル(前年比107112%増)
要約すると、AI需要の高まりを受けて大幅な収益増を実現し、次世代AIソリューション向けの液冷対応製品で業界をリードしていること、さらなる製造能力拡大を進めていることが強調されています。
Supermicro(SMCI)の年間収益成長率と業界平均の成長率
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2019年から2021年頃までは、Supermicroはサブシステムやスモールビジネス向けのサーバーシステムを中心に事業を行っていましたが、業界平均と同様の成長率にとどまっていました。
2020年にCOVID-19の影響があり、2021年には半導体不足の影響がありました。
しかし、2022年以降、Supermicroは"Total IT Solutions"戦略に転換し、CPU/GPU/DPUを統合した大規模なラックスケールシステム、グリーンITソフトウェア/サービス、グローバル生産体制を打ち出しました。
その結果、業界平均を大きく上回る収益成長を実現。2023年から2024年にかけては、業界平均の約5倍の高い成長率を示しています。
今後も経済減速などのヘッドウィンドはあるものの、Supermicroは先進のAIソリューション需要により高成長を維持できる見込みです。
つまり、従来の小規模サーバー事業からTotal ITソリューションプロバイダーへの転換により、Supermicroは業界をリードする収益成長を実現しているということが分かります。
Supermicroが目指す年間売上高25億ドル以上への道筋を示しています。
SMCI 1.0時代はコンポーネントやサブシステムの供給が中心でした。
SMCI 2.0時代にはサーバーやストレージシステムの完成品システムを提供。
SMCI 3.0の現在は、「Total IT Solutions」と呼ばれる戦略の下、さらに事業範囲を拡大しています。
具体的には、以下の5Sを含む総合ソリューションを提供します。
Software(ソフトウェア)
Service(サービス)
Switch(スイッチ)
Storage(ストレージ)
Security & More(セキュリティなど)
対象顧客は、エンタープライズ、OEM、クラウドサービスプロバイダーなど幅広い層になります。
このTotal IT Solutionsへの転換により、従来のサーバー/ストレージシステムベンダーから、データセンター向けの包括的ソリューションプロバイダーへと脱却を図っています。
その結果、業界平均を5倍以上上回る高い収益成長を実現し、25億ドル以上の年間売上高に向けて大きく前進しているとしています。
OPTIMIZED RACK-SCALE TOTAL SOLUTIONS
このスライドでは、Supermicroが提供する最適化されたラックスケールの総合ソリューションについて言及しています。
主な内容は以下の通り
2024年度末までに月産5,000ラックの製造能力を見込んでいる
そのうち2,000ラック以上が直接液冷冷却(DLC)対応のラックとなる予定
100kW以上の高密度ラックの出荷も可能になった
ハードウェア、ソフトウェア、サービスを組み合わせた総合ソリューションを提供
従来の空冷方式と最新の液冷方式の両方に対応
このように、Supermicroはラックレベルで最適化された製品を提供することで、顧客により高い価値を提供できるとしています。
特に注力しているのが、AI/クラウド/エッジコンピューティング向けの高密度で高発熱な製品に対する液冷冷却ソリューションです。
ラックスケールでのデリバリにより、顧客は個別の製品調達ではなく、すぐに運用可能なシステム全体を手に入れられます。
つまり、ラックスケールでの最適化により、パフォーマンス、省電力化、買収簡素化など、さまざまな価値を一括で実現できる点が強みとなっています。
INNOVATION THROUGH TEAMWORK
このスライドでは、Supermicroがシリコンバレーの拠点で行っているイノベーションの取り組みについて紹介しています。
主な内容は以下の通りです。
シリコンバレーの本社オフィスには、さまざまな技術分野の専門家が集結している
CPU、GPU、DPU、ネットワーキング、ストレージ、電源、冷却など、あらゆる要素技術の専門家が在籍
これらの専門家がチームを組み、短期間で最適化されたソリューションを開発できる環境がある
設計思想として"Building Block Solutions"を採用
CPUやGPUの異種混在システムでも、ビルディングブロックアーキテクチャにより全体最適化が可能
さらに、システムレベルの性能と信頼性の検証を自社で実施できる検証ラボを保有
製品化前の段階から徹底した評価と改善サイクルを実施
このように、シリコンバレーの拠点では、多様な専門家によるチームワークと、ビルディングブロックアーキテクチャ、自社検証ラボの存在により、スピーディーかつ質の高いイノベーションを実現できる体制が整っているということです。
OPERATIONS: ADDRESSING $25B+
Supermicroが25億ドル以上の年間売上高を達成するための製造オペレーションについて言及しています。
主な内容は以下の通りです。
製造能力の拡大
サンノゼ、台湾、マレーシアなどの複数の製造拠点での能力増強を図る
サンノゼでは月産800ラックの能力があり、さらに拡張中
台湾と新設のマレーシア工場で追加の生産能力を確保予定
コストの最適化
垂直統合による製造コストの最適化を推進
CPU/GPU/DPUなどのコンポーネントを自社で組み立て
ソフトウェアやサービスなども自社内で一気通貫する
ラックスケール統合生産
上記の複数拠点で、ラックスケールソリューション向けの統合生産を実施
ハードウェア、ソフトウェア、ラック統合、システム検証など一貫生産
このように、グローバルな製造ネットワークと垂直統合により、Supermicroは25億ドル超の製品を効率的に生産できる体制を整備しつつあります。特に注力しているのがラックスケール向けの統合生産ラインの拡充です。
製造能力と生産性の向上により、AI/クラウド向け製品の需要増加に確実に対応できるとしています。
GREEN COMPUTING FOR THE PLANET
Supermicroが掲げるグリーンコンピューティングによる環境負荷低減の取り組みについて言及されています。
主な内容は以下の通りです。
データセンターの電力効率改善
業界全体のPUE(Power Usage Effectiveness)を1.05まで改善することが目標
自然空冷ではPUEを1.06まで、液冷冷却ではPUEを1.05まで最適化可能
資源節約型ソリューション
リソース節約型ブレードサーバーの導入で、サーバーリフレッシュコストを44%以上削減可能
データセンター床面積の節約とTCO削減も図れる
CO2排出量の大幅削減
高効率な電力供給と冷却により、CO2排出量を大幅に削減
80億本以上の植林に相当する温室効果ガス削減効果
30基以上の火力発電所をシャットダウンした場合と同等の削減効果
循環型経済への貢献
製品の長期利用と修理・リファビッシュによるライフタイム延長
リサイクル製品の活用による新規資源消費の抑制
このように、Supermicroはデータセンター運用の電力効率化と製品の省資源化により、TCO削減と環境負荷低減の両立を目指しています。特に注目すべきは、液冷冷却の採用による大幅な電力効率改善と、それに伴う温室効果ガスの削減効果です。
グリーンコンピューティングを通じて、経済的な持続可能性と環境的な持続可能性の実現を目指すSupermicroの取り組みが紹介されています。
Q3 FY2024のハイライト
売上高
売上高は前年同期比200%増、前期比5%増の38億5,000万ドルとなった
AIラックスケールのDLC(Direct Liquid Cooling)システムに対する需要が記録的であった
NVIDIA H100、Intel Gaudi 2/3、AMD MI300A/Xなど最新のAIチップに対応
NVIDIA GH200(Grace Hopper)およびGB200(Blackwell)ソリューションで業界に先駆けて開発
Intel Xeon 6およびAMD Turinに基づくX14、H14システムの初期導入に着手
次世代AIソリューションに液冷対応が必須なため、今四半期で1,000ラック以上を出荷
主な点は、AIによる需要の高まりを受けて売上が大幅に伸び、特に液冷対応の最新AIシステムに対する需要が旺盛であったことです。
Supermicroは業界をリードする形で最新のAI向けソリューションを投入し、その結果、1,000ラック以上の大型案件を獲得しました。
また、今後の需要増加に備え、次々と新製品の導入を行っていることがわかります。液冷対応がAIシステムで必須になりつつあり、Supermicroはその流れに先行して対応できていることが売上の大幅増加につながった主な要因と考えられます。
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Q3 FY2024の決算におけるCASH FLOW & NET CASHの数値から、以下のようなSupermicroの財務状況が推測されます。
与えられた財務データに基づいて、以下のような考察ができます:
オペレーティングキャッシュフローのマイナス: Q3FY24のオペレーティングキャッシュフローがマイナスであることから、企業の運営活動が現金の流出になっていることが示唆されます。これは、売上高の減少や経費の増加など、収益性や効率性の問題を反映している可能性があります。
フリーキャッシュフローのマイナス: フリーキャッシュフローもマイナスであるため、企業は投資や財務活動においても現金を消費していることが示されます。これは、新しい設備や施設への投資や、負債の返済などの支出が増加している可能性があります。
総現金と総負債: 総現金は2,115百万ドルであり、総負債は1,863百万ドルです。総現金は総負債を上回っているため、企業は純現金(ネットキャッシュ)の余剰を持っていると言えます。ただし、純現金は比較的小さな額の252百万ドルに過ぎないことに注意が必要です。
これらのデータから、企業は現金の流出がありながらも、純現金は一定の余剰を持っていると考えられます。ただし、オペレーティングキャッシュフローやフリーキャッシュフローがマイナスであることから、経営上の課題や財務的な圧力が存在している可能性があります。さらなる情報が必要ですが、企業が将来的なキャッシュフローの改善策や負債の管理に取り組むことが重要でしょう。