暴力
ぼうりょく
これまでどれ程の暴力を受けてきただろう。そして、どれ程の暴力を与えてきただろう。
暴力とは、一方的な正義を押し付ける行為だ。
虐待。親が子供を自分の思い通りに操ろうとして生まれるもの。人間ではなく、お人形さんを扱っている。
他人という画面に自分と異なった生物が映った時、それを人間と認識しなくなる。或いは、自分が映った時に人間ではない汚れたものだと認識する。
自分が認めたくないものがあるとき、自分が傷つきたくないときに、四肢や言葉、態度、あらゆる手法を使ってそれを排除しようとするのだ。
暴力はある種の防衛本能なのかもしれない。
怒りは、元を辿れば悲しみである。怒っている人の心は泣いている。だってみんな、昔は泣く事しかできない赤ん坊だったんだから。何か、悪いものに巻かれてそうなってしまった。人を許せる人になりたい。
そんなことを思ってみても、僕はまだ母親とあの日の友人が許せないでいる、だから自分のことも許せないでいる。許したくないもの、許してはいけないもの。それらにならないためだけに生きるのは、とても虚しいし寂しい。この過去を捨てられたら、どれ程楽だろう。一番愛するものだけ見つめられたなら。
暴力は排除しようとする行為だ。