【映画感想】ネタバレあり:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』
※2024/8/2公開映画です。こんなネタバレを読んでいて未鑑賞の人はブラウザを閉じ劇場に走って特典を押し頂き、映画を観てきてください。
※物語の時間軸は原作終了後かなと思ってたら、最終決戦前ぽかった。原作最終回すごい楽しみ。
めちゃめちゃめちゃめちゃに面白かった。語彙がないからもうひたすらそう言い続けそうなくらい、面白かった。楽しいとかそういうのじゃなく、このおはなしをずっとずっと観ていたかった。映画の終盤あたり、もう終わる気配を感じながら終わらないでほしいと切実に感じるくらい、面白かった。
映画が始まって5分でわかるんですよ。これは裏切らないエンタメだって。ただただオタクはこれを浴びていていいんだという確信しかない。
映画オリジナルキャラのジュリオは開幕の数分、セリフを一切発しないんだけど、重要なキャラで、なおかつ大事な使命と存在を抱えた人だとわかる。最初のつかみが完璧すぎて「この脚本だれだよ!」って思い、黒田洋介さんですよね知ってます、となった。自己解決。
ジュリオの笑顔を見たいというデクに「ヒーローの偽善」って言い放つのもうまいよ~~。そうだよデクの偽善だよ。でも、ほんものにするのがヒロアカだよね。
オリジナルキャラのつくりかたが相変わらずうまい。
原作に絶大な人気があってコアの話があるマンガの劇場版オリジナルキャラって、描くのが難しいと思うんですよ。一作限りの使い切りだけど、観客に好きになってもらい、肩入れしてもらわないといけない。ちょっとでも「うーん?」ってなったらダメなんだけど、ジュリオはもはやオタクが大好きな要素すべてをガン積みにして殴ってきます。
義手
義足
義眼
眼帯
ツリ目
ギザギザ歯
泣き黒子
執事服
丁寧語からの感情がたかぶった瞬間の乱暴な物言い
声帯が宮野真守
ちょっとオタクが好きな要素が渋滞しすぎててどうしていいかわからない。マクドナルドでメニューを全部頼んだみたいな男、それがジュリオ・ガンディーニ。
そもそも劇場版を初日に観に行こうと決めていたのも、映画公式のキャラ紹介が刺さりすぎたからだ。
こんなの絶対吸いに来るだろ。
オープニングからしてかっこよすぎて、呼吸という機能を一瞬忘れた。Vaundyの曲とオープニング映像のかみ合い方が神がかっててあれを見るためだけでも劇場に通いたい。
ここのところ「エンターテイメント」に対して鬱屈していたところがあったのだけど、一気に雲が晴れたような感覚をおぼえた。
「これがエンタメだ」「面白いだろ!」という暴力をずっとくらい続けた、もっと殴ってくれ。
オールマイトの次代を自称するダークマイトの出現からはじまる、次期ヒーローたちそして現ヒーローたちによるバトル映画。ダークマイトなんて存在が原作軸で現れるはずはないのだけど、そこにうまくオリジナルキャラクターの『個性』を混ぜこんでいるのが「うまいなー!」という感じ。そのキャラがいなきゃ成立しないからこそあり得る物語。
既存キャラの「願望」を見せるくだりとかほんとにうまいしえぐい。
半分は「まぁそうね」ってやさしい妄想なんだけど、轟・飯田・緑谷組がつらすぎる。幸せという名の苦痛と不幸があふれている。これほんとに劇場版なんですか。ここでジュリオの過去がわかるのも脚本がうますぎる……そう言ってはいけないんだろうけど至れり尽くせりなのに説明過多にならず、情報不足にもならないところがありがたすぎる。
ここは任せろっていってくれる常闇くんも、轟&爆轟の連携も、とにかくA組の分散・使い方がよすぎた。轟君が氷で移動するアクション、すごい滑らかで激しくて楽しそうであやうく轟焦凍の夢女になるところだった。あぶない。
アクションも目まぐるしいのに、どう動いてるかわかるし変なスローを入れてこないので観ていてすんごい気持ちいい。絵コンテがうまいんだろうなー演出も神。
そしてジュリオが夢てんこもりでまるで大盛パフェのような状態で銃を……撃つので……。
この、戦闘に役立たない個性(と本人は思っている)のジュリオが、個性あるヴィランたちに仕込み武器で立ち向かっていく姿は『ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-』の師弟を思い起こさせてくれる。古橋秀幸先生脚本の劇場版も観てみたいな~~!
とにかく大満足でずっと鳥肌立ちっぱなしの、これぞ劇場版! というアニメでした。110分最初から最後までおいしさたっぷりなんだぜ。エンタメに満たされる快感を改めて実感しました。
(難を言うならアンナ役の声優はなんとかならなかったんだろうか……ちょっとあれは棒すぎてつらい)
でもジュリオがすべてを打ち消すから。全方位オタク狙撃砲みたいな男がいてよかったな!
あまりに感動したので4DXとかDolby Cinemaでも観たいなー! 満員御礼で公開ずっとずっと続いてほしい。
これを読んだ人は全員観てほしい。
原作うろおぼえでもジュリオがすべてを撃ち抜くから。
鑑賞前にアクスタを買おうとしたら、公開初日にも関わらずジュリオは売り切れていた。オタクの消費衝動、正直すぎる。