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ストレス、ストレス、ストレス――ゲームの旅:ゼノブレイド2

この記事は、1割の褒めと9割の愚痴から構成されます。実際遊んだ評価としても、goodとbadの比率はそんなもんでした。
スポイルしてしまうようなネタバレは避けつつ、誰かの参考になればと思って書いてみます。
基本的などういうゲームであるかは既にいろんな人が書いているので書きません。必要に応じて調べてみてください。

文中に出てくる単語で、ドライバーは人間や亜人、ブレイドはドライバーとタッグを組む武器兼アンドロイドみたいなやつです。

良かった事

  • ブレイドの抽選要素で、プレイヤー毎の旅になるというあたりは悪くないとは思う

  • ワダツミがかっこいい。出会ったブレイドの中で一番好き。シャア声の侍(強キャラ)、全人類好きなのでは?(大きい主語)

  • 終盤で「なんでこの世界はこうなっているのか」が一気に説明されてSF感めっちゃでてくるのゼノなんとかっぽい(ゼノギアスしかやったことないけど)

    • アニメ主体の物語進行、キャラ立て、ビルドよりプレイングに重点がおかれた戦闘、3D空間の探索など、ゼノギアスを思い出す要素は多くあった

    • 8章ではクロノトリガー、10章では魔界塔士サガを思い出すところもあった(意識しているかどうかはわからないけど)

  • ドライバーとブレイドがセットで1戦闘ユニットというの、戦闘参加キャラ数を抑えつつ話にはキャラをたくさん出せる仕組みになっているのが良い

    • 戦闘が3人までで出せるキャラ数が多いと、使わないキャラが出てきやすくなってしまうから

    • とはいえジークはほとんど使ってない…キャラは好きだけど

  • バナーの画像は、7章ラストで加入するブレイドを強化するための条件なのだけど、ゲーム内容によるストーリーテリングを一番感じたのがここだった

    • 逆にそのくらい他のところでは…後述します

受け入れられなかった事

不満に思った点は山程あったのでそれを書いていくけど、じゃあなんで100時間以上も遊んだのかという事を先に書いておきます。
本作はかなり評判が良いゲームで、熱い感想記事もいくつもあります。そういう作品を「駄目だったからやめたわ」ってしてしまうと、最後まで遊ばないと気が付かない点を見逃してしまう可能性があると思ったからです。実際、終盤で世界の成り立ちがわかる下りは、そこまで行かないと感じられない感覚がありました。(とはいえ、ほとんどの評価は、最初の50時間くらい遊んだ時点から変化はなかったけど)

マップと探索

これはまだかなり最初のほうで探索にイライラしたところだったけど、このあとこういう事が枚挙に暇がないほど起きた。

たとえばスペルビアを探索したとき、目的地がすごく下にあるのにどうやって降りるのか全くわからないって事があった。答えは「その辺に地下鉄の駅入り口みたいなやつがあるからそれを降りる」だったが、これがノーヒントで、自分は崖のどこかから下るルートをずっと探していた。たとえばここで「下りの入り口を探してみよう」的なガイドがあればかなり違っていたように思う。

また、「地図上ではつながって見えるのに実際にはつながってない」場所が、本作には非常に多く、これが私にとってはすごくストレスだった。
これは本作が上下にも広がるフィールドである事が影響しているが、それよりは、補助機能のマップとかコンパスのわかりにくさの問題、特にマップが良くなかったように思う。1枚で複数の高さのルートを表示しようとし過ぎて、高さのレベルが異なる場所を異なるように表現できていない。あれを高さ別に複数枚に分解するだけでだいぶ違うはず。このへんがしっかりしていたFF15ではこういう迷い方をほぼしなかったように記憶している。

地図に頼らず探索してほしいという意図を感じなくもないけれど、探索してほしいなら、そもそも、マップではないガイドの出し方があるのではないかと思う。マップと見比べながら探索しない志向の設計であったデス・ストランディングとはこの点で快適さの差がある。
割り切ってマップを見るのをやめたタイミングが何度かあって、そのときは冒険の手触りが感じられたので、そういう方向への誘導がもっとあってほしかったかな、と思う。

戦闘(導入)

本作の戦闘は難しい。

  • 通常攻撃(自動)をしていると通常技のゲージが貯まるのでこれを使う

    • タイミング良く使うと必殺技のゲージが貯まる

    • 特定の通常技の組み合わせにはコンボがあり、相手の動きを止めるなどの効果がある

  • 必殺技を特定の順番で打つとコンボが発生し、敵に「属性玉」を付与できる

    • 本作の属性は8種類なので、最大で8個までつけられる

  • フィーバーゲージ的なものが戦闘中に蓄積し、満タンになるとフィーバーを開始できる

    • フィーバーは途中でうまく「属性玉」を割ることで長く続けることができ、ざっくり続けた回数の2乗のオーダーのダメージが出せる

    • フィーバーゲージは味方の蘇生に使うこともできる

かなり省略して説明してもこうで、通常攻撃・通常技・必殺技・フィーバーの4段階に行動が分かれている。(なんかパチンコみたいだなと思っている、パチンコやったことないけど)

さすがにこれを一気に習得しろとは言われないけど、各段階の説明は1度文章で行われて終わり、あとから確認する手段はない。

私は本作を3時間遊んだあと3年半積んで再開した。そうすると、もう最初の3時間で受けた説明は覚えていない。でも復習の機会がない。だから私は、プレイヤーが書いた解説記事を読むまで、「必殺技はレベル1以上→2以上→3以上の順で打たないといけない」とか「仲間の必殺技のレベルはキャラアイコンの周りで回っている光の数でわかる」とかがわからなくて、闇雲に戦っていた。

FFの初心者の館や、モンハンの訓練場(特にワールドのそれはコンボ練習がとてもやりやすかった)、SEKIROの死なず半兵衛もこの範疇かと思うけど、ああいったもので「復習」できる恩恵の大きさ(≒できない場合のしんどさ)を痛感させられた。

戦闘(ザコ戦)

インターネットの助けを得てなんとかフィーバータイムを続けられるところまで漕ぎ着けた。これを学習してコントロールできるようになっていく過程は面白かったが、いざ一通り身についてしまうと、毎回の戦闘でこの複数段階に渡るシーケンスを手動入力で実行していく作業は、すぐさま退屈なものに変わった。

先の通常攻撃・通常技・必殺技・フィーバーの4段階は、段階を1つ上がるごとに5-10倍程度ダメージが上がる。なので、たとえザコ敵といえども、必殺技くらいまでは入力しないといつまで経っても倒せない、という形になりがちだった。そのせいもあり、本作のザコ敵は蹴散らす対象ではなく、戦闘ごとに分単位の時間を要するものだった。

そして同じ理由で、全ての戦闘で「タイミング良くボタンを押す」ことを強要され続けた。「目押しを毎回やらせるとテンポがひどいゲームになる」ことを、人類はアンリミテッド・サガから学んだのではなかったのか、と思う。運営型スマホゲームの周回なら、チケットでスキップできたり、見ているか他の事をしているだけで片付いてくれる。楽しくない、学習することがないのに手間だけ取っていくのはやめてほしい。

また、ザコ敵でも複数をまとめて相手にすると、一気に削られて死んでしまうことも珍しくない(その一方でSkyrimのような多彩な数減らしの戦法はない)。

先述したとおり、本作はフィールドを歩き回って探索する手触りを大事にしているようなところがある。だが、適正っぽい感じのレベルで進めていると、敵がいるたびに襲いかかってきて探索のテンションは途切れるし、敵の群れを見つけたらかなりしんどい戦闘や地味なおびき出しが必要となりこれもテンションは下がる。

戦闘中に敵が落としたドロップを戦闘中に拾わないと消える、といったような、何が嬉しくて実装したのかわからない仕様もある。

敵よりレベルが10高ければ襲って来なくなるので、後半はできるだけ先にレベルを上げるように心がけた。そのくらい戦闘が嫌になっていた。

戦闘(ボス戦)

本作ではなんどか「何が起きたのかよくわからないまま死ぬ」という事があった。

戦闘がリアルタイムで、情報量(管理すべきリソースの種類)が多すぎて何が起きているのか全然把握できない、という事が本作には多くあり、これが最も悪い方向に現れるのがこの「わからん殺し」である。何が起きているかわからないという事は、どう対処すれば良いか考えるための材料が得られていない、という事であり、それは思考放棄からのググりにつながっていく。

仮になんらかの対策をやってみても、何が起きているのかわからないので、その対策が適切であったのか評価できない。これは編成を頑張って考える気を削ぐ一因となっている。

例えば、私がスマホでずっと遊んでいる放置系ハクスラモンスターズ(iPhone/Android)というゲームがあり、その戦闘はこのような形で結果を確認できる。

見る人が見ればよだれが出るような文字の羅列だがそれはさておき

起きていることが時系列順に文章で書いてある。

放置系ハクスラモンスターズも戦闘は大概複雑なので、戦闘結果を読んで対策するのは一苦労である(そこを楽しむゲームジャンルだ)が、時間をかければ読み解いていくことはできる。

わかりやすくなくとも後から戦闘を見返すことができれば、コマ送りしてでも反省会ができるのだが(アークナイツやプリコネ、スプラトゥーン2などではそうした)、本作はswitchの動画録画機能が使えない、というのも、このしんどさに拍車をかけている。

戦闘(補遺)

  • 本作の主な回復手段は「回復アイテムが出る技で敵を殴って、回復アイテムを回収」することだが、足場の狭い場所では回復アイテムが回収できない事が多く、ストレスフルだった

  • 10種類以上の武器種に4つの通常技があり3つだけ持ち込めるが、これを最後まで把握しきれなかった 面倒で試してない武器もある

    • メインの「聖杯の剣」がオールラウンドに強いとか、新しいブレイドもチップを付けないと弱いとかで、別の武器を試したときの体験が悪くなりがち

  • 必殺技にはダメージ以外の付加効果があるものも多いが、戦闘中それを確認する手段はないので、覚えていないと活用できない

    • 見せ方の優先順位として、必殺技のコンボが優先になるのはわかるので、必殺技はもっとシンプルで、打開策は通常技に寄せきるとかの方が良かったかも

  • ハナの強化システムは自由度高くて面白そうだったが、アクション要素のあるミニゲームをやりこむ必要があったため、結局ほぼ触らずじまいだった

    • 人類は雷平原から学んだはずでは

ブレイドの非戦闘スキル周り

ブレイドは戦闘以外にも得意なことが設定されていて、そのスキルを使っておつかい(傭兵団)に行ってきたり、フィールド上の障害を乗り越えたりする。

しかしここに以下の制限がある。

  • フィールド上の障害を乗り越えるためのスキルは、バトルと共用の編成に組み入れたブレイドのものだけが使える

  • 傭兵団に出したブレイドは、編成に組み入れることができない

バトルのためにすごく考えて編成を組んでも、すぐに障害を乗り越えるための編成に組み換えなければならない状況になることが多く、これも編成をがんばるモチベーションを大きく削ぐ。
また、傭兵団に出しているブレイドのフィールドスキルが冒険で突然必要になることがあり、その場合「クエストの進行を諦める」か「傭兵団を帰ってこさせる」しかない。傭兵団は長いものだと数時間かかるものがあるので、中断するのは大きなロスになる。どちらをとってもストレスとなる。

繰り返しやらなければいけない要素

ザコ戦や傭兵団もそうだが、本作には他にも繰り返しやらないといけないことがある。

街の発展レベルを上げるためにサルベージを繰り返すか他の街で買い物して来たものを売る作業を繰り返す必要があるのがそれだが、どっちもやり方がわかってしまうと面白みのない繰り返し作業となる。

ブレイドがランダムで仲間になる仕組みも含めて、本作は運営型ゲーム(オンラインゲームとかソーシャルゲームとか、「運営されている」ゲームの事を指して呼んでいます)の要素が取り入れられているように見える。しかし、私にはそれが表面的な模倣にしか見えなかった。

運営型ゲームは遊び続けてもらうためのストレス低減に心血を注いでいる。なぜなら、遊び続けてもらっている人の中からしか、お金を払ってくれる人が現れないから。一方、ここまでに述べたとおり、本作はストレス低減に関する深掘りが開発やテストプレイ中に行われなかったのではないか、と感じられる程度には、ストレスフルな箇所が多い。

また、オンラインゲームで無為な作業の繰り返し要素があるのは、それ自体をしてほしいのではなく、その余白で、フレンドとおしゃべりとかをしてほしい、という意味があったりする。

運営型ゲームを表面的に真似るのではなく、その意図、考え方から学ぶことはできなかったのだろうか、と思う。

ストーリー

悪くなかったが、他メディアでも代替可能な物語体験であり、プレーに投じた114時間を1クールのアニメに使ったら2-3本は、映画に使ったら5本くらいは、同程度以上の体験をくれる作品を見つけてこられるだろうと思う。

しかし、例えばデス・ストランディングやシュタインズ・ゲートのような物語体験をさせてくれる作品は、きっと他メディアをどれだけ探しても見つけられないだろうと思う。

それは、自分で操作する部分が、ストーリーテリングにどれだけ組み込まれているか、という話である。本作でプレイヤーが操作するのはアクションとフィールド探索の部分だけで、3Dアニメを見るだけのストーリー部分とは切り離されているニュアンスが大きい。ゲームは他のメディアと比べて1作品の消化に時間がかかるので、せっかくそれだけの時間を使っても「アニメで良かったのでは?」だと、残念に感じる。

また、若干下品だなと感じるところはあった。セクハラっぽいところとか。
その割にレックスから性欲を読み取ることはできなかった。さっき16歳と知り愕然。レントン・サーストンや市川京太郎のように、性欲があってその先に進むようなあり方のほうが身近に感じられ好みである。

他に、「あと3時間であそこに行かないと国が滅びる!」みたいなシチュエーションを、探索しないとたどり着けない場所に置く(実際は何日経過してもOK)みたいなの、ちぐはぐになるからやめてほしい。これは本作に限らずストーリーで引っ張るゲームにはありがちだけど。


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