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個性美術館は最高さ

2024年夏、個性美術館というアイドルグループを好きになった。これは個性美術館に関する(主に配信楽曲への歌詞に対する)個人の感想である。言語化すると陳腐なものになってしまいそうな不安もありながら、今ここで自分の感情のまま書き記すことも自分のために必要かなと思い書いた。

恥ずべきは、「個人の感想」と保険をかけながら、インターネットの海というオープンな環境に公開している承認欲求か。でもその大海原の中でいつの日か誰か1人でもこれをみて、個性美術館に興味をもってライブに来てくれればという願いを込めて書いたのも事実である。
そのためなら恥じらいは大して意味をなさないかな。どうか、ポジティブに捉えられますように。

はじめに

個性美術館(以下コセビ)というアイドルグループがある。2024年8月8日に表参道WALL&WALLでデビューしたこのグループは、ゆるめるモ!のプロデューサーとしても知られる田家大知が、ゆるめるモ!の新メンバーオーディションをきっかけに新たに生まれたグループであり、同様にプロデューサーを務め、現在のところ作詞・作曲も全て彼が務めている。
田家大知が曲を作っていて、グループ名に「美術館」なんてはいってるとP-MODEL「美術館で会った人だろ」のようなニューウェイヴ、テクノっぽいのかと思うと今のところはそういう感じではなく、エレクトロ、ダンスぽい楽曲が多い。
ゆるめるモ!のほうがむしろそういうニューウェイヴとかジャーマンプログレみたいな系統ではじまっているから、同じことをしてもしょうがないしそれはそう。
ただ、ゆるめるモ!の楽曲の振り幅を思えば、コセビもそういう楽曲が将来生まれてくる可能性はある。

さて、ここでは別に私とコセビとの日記をつけたいわけではなく、私がコセビのどこに魅力を感じハマっているかをアウトプットしておきたいと思い書いている。蛇足だらけだったり話が飛んだりもするし、音楽についての知識もないし、そもそも学がないので間違えや矛盾点もたくさん出てくると思う。あと、もともとただの映画オタクなので映画に例えることが多い。優しい目で読んでいただけると幸いだ。

このタイミングで書こうと思ったのは、2024年12月30日までに初期の4曲がストリーミングサービスで配信されたので紹介しやすくなったからである。

メンバー

個性美術館のメンバー6名。

雨花(うか) ホワイト

詩愉(しゆ) ピンク

水(すい) ライトブルー

育(はぐ) イエロー

羽(はね) レッド

雷夢(らむ) パープル


メンバー個人個人についてを敢えて語る気はない。そこはSNSやときたま個別に行われる配信や、特典会などで各々感じとってほしい。
一言だけ言うならば全員が「個性美術館」というグループ名/コンセプト/楽曲にとても合った存在であり「個性美術館」を通してみる彼女たちの「物語」のつづきを見るために私は通い続けているということ。そう思わせる魅力的な「個性」が6人それぞれにある。

出会い

私が、コセビを初めて見たのは2024年の8月10日、デビューの地、表参道WALL&WALLで行われた二回目の対バンライブの日だった。

もともと、オタク的に悲しい出来事が続いた時期で、モチベーション的にはとりあえずはずっと通っているAFTERSを軸に色々なグループをみてみようと思っていた。もちろん今でもAFTERSは大好きだし最近行けてないけど「実家」だと思っている。
今思えば、この対バンのメンツ的にAFTERSがいるのがよくわからなくておもしろいし運命を感じる。
ちなみに個性美術館という名前はこのタイテで見るまで全く知らなかった。

ただ、私はイタイ方の人間なので「個性美術館」という漢字表記と、深そうにもみえるし深くなさそうにもみえる不思議な名前に行く前から少し惹かれていた。ただ、どんな楽曲をやってるかもよくわからなかったので気が向いたら観てみようかなぐらいの気持ちだった。

AFTERSの後、とてもタバコを吸いたかったので「次があの漢字のグループのとこかぁ」とか思いながらフロアから一度離れたのである。(喫煙者はクズ)

喫煙所にいたら、こせびSEが聴こえてきた。なんだか不穏そうなSFぽくもありサイケでエスニックな雰囲気の音がとても耳障りが良い。タバコの火を消してフロアにもどる。
これが私とコセビのファーストコンタクトであり、出会いというのは突然炎のごとく現れる。

こせびSEはその次以降のライブで幾度と見ることになるのだが、これがすごい。
重低音が鳴り響くとしばらくし1人ずつが浮遊感のある動きで登場して、私はそのとき古いSF映画を観ている時のようなチープだけどワクワクする感覚を毎回得ているのだが、それはまるで宇宙空間に解き放たれた6つの個性のようにもみえる。そして、挨拶があり、音はさらに大きくなってフロアとともに拳を上げる。ちなみにこのSE、他のアイドルのSEと比べてとても長いので対バンライブで短めの15分とか20分枠だとカットされてしまうことが多いが、世の中のアイドルのSEで1番好きなので早くこれも配信してほしい。
いつかフィジカルでもデジタルでもアルバムとしてだすときにでも。

さて現在配信されているのは配信順で
「Individual Halation」
「こせびすこ!」
「Black Light Super Laser」
「GOrgeousGOrgeous」
である。「Black Light Super Laser」(以下ブラックライト)を除く3曲がデビュー曲であり、初めて見たときに聴いたのもこの3曲を2回ずつやっていた。
とはいえ8月26日に「ブラックライト」も披露しているのでこの4曲+8月14日に披露した山下久美子の「赤道小町ドキッ」のカバーもいれて5曲が最初期の曲といえる。
「赤道小町ドキッ」は、まだ曲数が足りないから田家大知の趣味でやっただけかと思っていたらちゃんと持ち曲として対バンライブでも披露することがあるし、可愛らしさ全開の曲でとても良い。
ちなみに10月29日に「PASH!!」、12月17日に「Breakers High」を披露しておりデビュー4ヶ月半で7曲もっていることになる。

以下、配信順にそれぞれの楽曲について自由気ままに書かせてもらう。

1.「Individual Halation」

(以下 インディビ)

「個」を意味する"Individual"と写真映像用語的には光が当たりすぎて周りが白くぼやけ、ビジネス用語的には周りに悪影響を与えると言う意味の"Halation"を組み合わせた曲名。
個性が、周りに悪(ほんとうに悪かなんか誰にもわからない)影響を与え、そしてその個性の持ち主自体が苦しみ葛藤するのは人生そのものである。人は「個」と「他者」との間にどこかで折り合いをつけて生きているものだが、それは単に同調圧力に負けただけでないかと自己嫌悪になることもある。
これは人が社会的政治的な生き物であるからこそ生じる苦悩であって人の歴史とともに在り続けるものだと思う。そしてこれはあらゆる文化芸術、物語のテーマになってきた。
ティム・バートンの『シザー・ハンズ』では手が「ハサミ」という個性もつが故に愛するものを含めて触れるものすべて傷つけてしまい苦悩する青年が描かれているし(現行衣装についているトゲは、シザーハンズと同様の意味をなしていると私は深読みしている)、
ウェス・アンダーソンの映画には様々な年齢の「個性」によって周りから疎まれてしまう人々の生き様を皮肉ではなく真の美としてえがかれている。
写真用語としての「ハレーション」は避けるべきものとして使われているわけでない、たしかに撮りたい画によっては避けるべきかもしれないが、何かを強調させたり敢えて使うことで表現方法にあらゆる幅ができる。光が強く当たって起こるその現象はステージ上でたくさんの光を浴びるアイドルそのものであり、照らされた「個性」、それが解放された時にこそ人は美しく輝くのではないだろうか。
歌詞にそってみていこう。

目障りだよと 疎まれて 
存在自体 無にされた
黙っていても 目立つから
隠れていてと 隠された

出だしからかなり暗い歌詞であるが、目立つ「個性」は存在自体無にされて、隠されてしまうのを我々は人生で幾度も目撃してきたり経験したことがあるはずだし、もしかしたら意図せずとも「他者」の「個性」を疎外してしまう側になったことがあるかもしれない。

 Individual Halation
 いずれ見たことない光放つ
 Individual Halation
 目が潰れても
 痛くないフラッシュライツ
 照り放題 割れ放題
 完璧なんて胡散臭いし

眩しく照らす光は、ステージ上の完璧な姿だけを照らすわけではない。後述するが完璧なんて胡散臭いの部分は、「こせびすこ!」の冒頭と繋がる歌詞でもある。

 Individual Halation
 個性と母性が包む集合体

白く輝く光は、「個性」と「母性」の集合体として混じることなく個々に6つ輝きつづける。

 破裂と噴火繰り返す
 はじめましてから 解散する日のように

「破裂と噴火」という成長過程を私たちは見届けることになるだろう、先日には動員目標50人を掲げたワンマンライブをギリギリ50人丁度で達成をした。危うさを感じながらも観客としてその場に立ち会えた喜びは2024年で1番の思い出である。彼女たちが放つ6つの光が周りを侵食してさらに大きな個々の光となる様子をずっと見て行きたい。
いまのところ「インディビ」だけ公式YouTubeに配信ライブの映像があるので是非垂れ流して再生回数増やしてほしい。


2.「こせびすこ!」

(以下 びすこ)



個性美術館の略称「こせび」とDISCOがかかった曲名通り、サビではDISCOぽさとサタデーナイトフィーバーぽい振りがみれる。
曲の転調も激しくて、初めて聴いた時最初と最後のギャップにびびった。不穏なメロディから始まってSFぽさのある動きと歌詞、DISCOチューンなサビ、そしてラスト一気にテンポが上がって畳み掛けてくる。
インディビの曲調自体はとてもポップで、聴きやすく真っ直ぐにメッセージを伝えてくるのに特化しているのにたいして、「びすこ」については、コリオグラフィーも6つの「個性」がそれぞれに溢れているし、不穏そうな音からはじまり転調を繰り返す。

I'm not AI I'm not AI

と連呼する冒頭は、「インディビ」の〈完璧なんて胡散臭いし〉をより直接的に否定している。AIのような完璧さなんて胡散臭いしつまらない。
サビのDISCOぽさ前回の展開では、全体でサタデーナイトフィーバーぽい振りをしている中で、1人ずつがそれぞれ違う動きをしていく。1人だけをみてるともったいないのでちゃんと全員をみていたほうがいい時間。「個性」の言葉遊びになっている歌詞もノリノリで楽しい。

ほんとにこんな感じ


6人6様の動きがみれるこのコレオグラフィーによって「個性」が視覚的にも強調されているのがわかる。
そして、曲の終盤、いっきにBPMが上がり畳み掛けるようにフロアを沸かせていく。

〈踊り足りないな〉〈眠りたくないな〉〈騒ぎ足りないな〉〈終わりたくないな〉

とつづくこの部分に爆発的なパワーを感じたところで余韻を残さず音が消えるとき、毎回鳥肌が立つほど感動する。

3.「Black Light Super Laser」

(以下 ブラックライト)


ブラックライトといえば肉眼で見えないものを可視化させるもの(すっごいざっくり)というイメージだが、この曲の歌詞もそんな生活の上で目立たないような内側を、「インディビ」で歌った彼女たちの「個性の光」が照らしてくれるようなものになっている。
「インディビ」が自分たちの光の美しさを見ろ!と主張してくる曲だとしたら、「ブラックライト」は、一見すると同様に感じるが、その光で観客も誰も彼も照らし出してやるというさらに一歩先に進んだ覚悟の曲である。

 日が差さぬ影の中生きてきた
 声のない沈黙の底 沈み
 呼ばれたことない名前
 覚えられない顔

曲の始まりでは内向的な気持ちを曝け出すが、

 でもね僕はっきり見える 喉の奥のその光

と自身の歌、楽曲を含めたすべてに対する自信というか矜持を感じさせる。そしてその光で

〈道も未知も乗り越えて 陰も壁も突き破って〉
〈黒も嘘も切り裂いて 岩も欺瞞も貫いて〉
〈そこもここも乗り越えて そこもここも突き破って〉

いくことを高々と宣言する。
そして極めつけはラスサビでの

晴れの裏側へ 陽の裏側へ
"いい"の裏側へ
"べき"の裏側へ 

という歌詞である。表面ばかりしか見ないような世界で、その裏側に光を照らそうという覚悟に観ている側もどこか救われるはずだ。
曲調もアップテンポでノリやすく、初見でも耳に残るし口ずさみたくなる。走り出すような振りがあり、全速力で突っ走るブラックライト達をそこに見ることができる。

4.「GOrgeousGOrgeous」

(以下 ゴージャス)


曲名通り、生きてることそれ自体がゴージャスだと歌うこの曲は、コセビのアンセムとなり得るのではないかと思っている。
どちらかというと、他の曲ではネガティブな感情を曝け出す歌詞が多い中で「ゴージャス」はそれらをすべてを打ち消す讃歌になっている。

美だな 美だな 無二の美だな
美だな 美だな 不死の美だな

コセビは無二で不死だと宣言し

 目玉 言霊 気概の弾丸

となって我々の心臓を貫いてくる。

「個性」に苦悩していた彼女たちが、それを「光」に変えて生きていく物語となっている歌詞は、観ている側のことをも肯定してくれる。
意図してかたまたまかわからないが、この順番で楽曲が配信されていることに感動している。
曲調もポップで誰もが楽しめるようになっており、この曲で初めて見る人たちの心も打ち抜いていってほしいなと願う。

終わりに

まだ、配信されていない「PASH!」はラップ調で、そういえば田家大知はビースティー・ボーイズ好きで有名だし、ゆるめるモ!にも「sabotage」オマージュの「Majiwaranai Cats」なんて曲があったななどと思い出す。
「Breakers High」もかなり尖っていて、中指立ててくる(ような)歌詞でめちゃくちゃいけてるので、これらは後日、配信され誰もが気軽に聴ける状態となってから改めて記すこととする。

以上、かなり支離滅裂な文章になっていると思うがここまで読んでくれた方、ありがとうございます。個性美術館のライブやイベントでお会いしましょう。とても人見知りですが人間が好きなので。

 圧かけちゃえ いつでも君は最高さ

GOrgeousGOrgeous


いつでも個性美術館は最高さ


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