【佐賀さわげFFF二次創作】双子の花人
「レイ、あなただけでも自由になって。」
「何言ってんの! 言ったでしょ、アタシがライの足になるって!」
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烏丸ライとレイは双子で、生まれながらに花を持っていた。 その能力を親たちは気味悪がり姉のライは暴力を受け、足は弱っていた。そして、彼女をいないものとして見放していた。
「どうしたんだい?俯いて。」
「誰?おじさん。」
「これを見てごらん。」
アルバムには見たことの無いような綺麗な花の写真が貼ってあった。
「うわぁ・・・綺麗なお花・・・」
「そうだろう。もっと見たくないかい?」
「うん! でも…あまり外に出られないの。足が動かないから・・・」
「これじゃ、遠くまで出られないね。」
「うん、だから出掛けたことないの。」
「残念だね。友達とも遊べなくて。」
「でも、いいの!レイがいるから!」
「レイ?誰だい?」
「双子の妹。外に行けないから一緒に遊んでいるの。」
「そうなのか。足は完全に動かないのかい?」
「こうやって、杖を使えば歩けるけど長くは出られないの。」
「じゃあ、おじさんが歩けるようになるおまじないをかけてあげよう。」
その人は手を足にかざし、色んな話をしてくれた。
その間だけは、足が軽かった。
私は外に出られずレイ以外と話をしたこと無かった。家でもいない子扱い。
誰でも良かった。
色んな話をしてみたかった。
「ねえどうして、ライを見ないことにするの!?」
―あの子は、いない子なの。
―見ないことにするんだ。
「どうして!そこにいるのに!」
―この子がいると負担になるの!
―分かってくれ。レイ。
「そんな、そんなのって!」
許されるわけない。親とはいえ、そんな姉の扱いを許せなかった。
数年後。私たちは家を出ることにした。
「レイ。これからどうするの?」
とりあえず、家を出たもののあてはない。
このままでは、ライが弱ってしまう。
徐々に足も進まなくなってきている。
「レイ…。私はいいから、あなただけでも自由に暮らして。」
「何言ってんの! それじゃ、あいつらと同じじゃん!
約束したでしょ。姉さんの足が弱い分、アタシが足になるって!」
「でも、このままじゃ、レイの足手まといになるから。」
分かっている。
アタシじゃ、なにもできないって。
そんな時、アイツが現れた。
「お困りのようだね。」
「お前、誰だよ!」
「あの時のおじさん・・・?」
「姉さん、知っているの?」
「小さい頃、近くまで出掛けた時に花を見せてくれた人だよ。」
「それで、何の用!?」
「レイ。失礼よ。すみません。」
「それくらい警戒した方がいい。 ライちゃん、足はどうだい?」
「それが、最近また動かなくなって。」
「・・・そう言えば君たち、花は持っているかい?」
「っ!? 何で知っているの!」
花のことは、花を持つ花人にしか分からないはず。
それを何故…!?
「ただのハッタリのつもりだったが。」
「あんたも花人!?」
「どうだろうね。」
「花言葉「二面性」カラスウリ! 」
「ライっ!」
能力を発動するとライは消えてしまった。
「ごめん姉さん。ちょっとこの人危険かも。」
「カラスウリか。君の花か、2人の能力か。」
「答えろっ!」
「・・・一方を消すだけで、特には変わらないか。」
「話さないなら力尽くで!」
「花言葉「憎しみ」バジル」
つぶやくと、草が増殖してライに襲いかかる。
「っ!? こんなモノ!ちぎれば!」
「憎しみは切れない。そうだろう。」
「っ!?」
「姉を助けるために家を出た。 親への憎しみがそうさせたんだろう?」
「それは・・・!あいつらの姉さんへの扱いが酷かったからだ!」
「・・・力尽くでも向かってくるなら言っておこう。
姉の足にもこれと同じ種がある。」
「お前っ!ライに何をした!!」
「私は馳地流だ。目上には礼儀が必要だぞ。」
「答えろ!!ライに!姉さんに何をした!?」
払っても伸びてくる草。それに増える土塊。
体力も削られていく。
「くそっ、レイを・・・出すわけには・・・。」
「この能力を使えば、姉の足も動けるようになる。」
「どういうことだよ・・・!」
「機能を停止した身体なら私の能力で動かすことができる。
木製の義足があれば安全に動かすことも可能だ。」
「今まで回復していると思っていたのは能力で動かしていたからか。」
「どうする?私に付くなら身元は保証しよう。
それか、ここで消されるか。」
・・・アタシだけなら戦える。
でも、これ以上ダメージを食らったらライも・・・
「・・・分かった。 だから、ライを…姉さんを歩けるようにしてくれ。」
「あぁ。約束は守ろう。」
仕方ない・・・甘かった。
世の中には、考えられないような悪意がある。
それでも、アタシは姉さんを・・・。
「レイ・・・どうしたの?」
「・・・何でもない。」
「レイに何かあったのですか?」
「何もないよ。それよりまた歩けるようにしてあげよう。」
「えっ? あれ?足が軽い・・・?」
「家を出て行き先が無いようだから、うちに来ないかい?君たちと同じくらいの花人を預かっているんだ。」
「・・・。レイは?」
「・・・姉さんに付いていくよ。」
複雑だが、今はそうするしかない。
何より、ここで離れたら姉さんにどんな被害が出るか。
「・・・その気になればいつでも「殺れる。」か。」
「レイどうしたの?」
「いや、何でもないよ。
大丈夫。言ったでしょ。何があってもアタシが姉さんの足になるって。」
カラスウリ。
花言葉「二面性」
双子で、二人で一人の能力。
それは、妹の姉への覚悟から開花する。
互いに不足を補う、姉妹の生き方そのものだった。
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「全く、イカれてる。 ありゃ脅迫だろ。心まで支配するか。」
お世辞にも、真面目とは言えないアクセサリーまみれの白衣の研究員。
「まさか俺にもあの種、付けているんじゃないだろうな。」
「まぁ、こっちも、もしもの保険でもかけとくかな。」