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徒然なるままに殴り打ち-#1

 学生のころは「女の子にモテたい」と思って、無理してスポーツをやっていた。足も速くない、球技もできない。それでも「女の子にカッコイイところを見せたい」と思ってなんとかやっていた。
 それに見た目も相まって、オタクだと思われたくなかった。当時はオタクへの風当たりは強く、実際そうじゃなくても一度オタクに思われたらおしまいだった。
 「天は二物を与えず、なんてことわざは嘘っぱちで、周りのヤツには三つ四つ与えて俺には一つもくれなかった」と考えていた。
 高校の同級生は勉強もできて、スポーツもできて、見た目もいい、チャラいヤツばかり。「結局はこいつらに全部持っていかれるじゃん」と思いながらスポーツをやっていた。
 見事にモテなかったし、今もモテない。

 「まぁ、そんなマインドじゃ上手くもならないし、女の子にもモテない。その前に、そんなヤツを見て女の子はよく思わない。」
 実はそんなことに気付いたのは33歳を過ぎてからである。これだけでも十分痛いが、今も「モテたい」「一生独身なんてごめんだ」と強く思っているぶん、もっと痛々しい。
 今でもそうだが、色々な集まりに参加しても女性参加者が少なかったり、自分のグループに女性がくることが少なかったりすると「俺は避けられているのか」「俺がいるから女性が来ないのか」と落ち込んだり自棄になったりすることもしょっちゅうある。

 それでも以前と比べて穏やかに考えられるようになった。一番大きいきっかけは占い。手相を見てもらったときに「晩婚の手相ですね、だいたい38歳から40歳頃。仮に早く結婚していたら大失敗で終わっていましたよ。」と言われ、ホッとした。
 他にも「今はいい恋愛をするための準備のときです。」「仕事や勉強、趣味を優先して自信をつけてくださいね。」と言ってもらえて気が楽になった。

 そしてわかったこと。「できないことはできないと認めてあげて、それに時間を使わないようにする」ということ、「好きなこと・稼げることへの勉強をしっかりしておく」ということ、「高校生のころから本(特に恋愛小説とビジネス書)はしっかり読んで、音楽はいろいろ聴いておく」ということ、そして「どんなに勉強ができても、どんなにスポーツ万能でも、どんなにイケメンでも、それは長所を掴むきっかけにしかならず、実際に長所になるとは限らない」ということ。

 若い頃は「年齢が3歳差以内(弟が3歳年下なので)がいい、10歳年下の彼女なんてみっともない、同級生に笑われる」と思い込んでいたが、今は「別にいいや」としか思っていない。「一緒にいて気が楽で、穏やかに過ごせるならそれでいい」と思えるようになった。

 小説を読んで、女の子に言い寄られたり、女の子と付き合えていたりしている中学生や高校生の男の子をうらやましいと思えることは今もある。ただいくらうらやましがっても、そのときには戻れない。だから今から新しく積み上げるしかない。ひょっとしたら大人になってから積み上げたもののほうがいいものができるのかもしれない。

(殴り打ち-#1 おわり)

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