1万円レガシー:令和ファイアーズ
初めまして。時計と申します
今回は最近構築を始めた低予算レガシーデッキ『令和ファイアーズ』についてのデッキレシピ及びそれにまつわる解説をしていきたいと思います
イニシアチブひしめく現環境での立ち位置や展望も最後にありますので、良ければ最後まで読んでいって下さい
1.はじめに:ファイアーズとは?
http://mtgwiki.com/wiki/ファイアーズ
メルカディアン・マスクスブロック〜インベイジョンブロック期のスタンダードで一時代を築いたステロイド(赤緑)のビートダウンデッキ
インベイジョンで獲得した《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》の速攻付与によって《ブラストダーム/Blastoderm》や《はじける子嚢/Saproling Burst》といった時限付き高コスパカードを最大限活用することを主軸に置いています
上記カードたちによるビートダウンに加え、久々に獲得した強力な赤のカードである《火炎舌のカヴー/Flametingue Kavu》や《ウルザの激怒/Urza’s Rage》で攻撃を支援。これによって相手の展開抑制やあと少しの詰めを行うことで攻防共に優れたビートダウンとして環境に君臨しました
とはいえ元々の相性に加えてデッキの核をヤヴィマヤの火だけに依存している都合上、カウンターが致命的に刺さるという弱点もありました。特に当時の環境には『カウンターレベル』や『ミルストーリー』といったステロイドの天敵とも言うべき青白コントロールが存在していたこともあり、環境最強とはいかなかったようです
さらに環境が煮詰まった後には同型対決も増えていき、あえてヤヴィマヤの火を抜いた『ノーファイアー』といった変形デッキも生まれました
2000年〜2001年という新世紀の幕開けを飾ったデッキを令和のレガシーで再現してみよう、というコンセプトの元組み始めた令和ファイアーズ。次の項ではデッキレシピと採用カードを解説していきます
2.デッキレシピ・カード解説
マナクリ3種6枚
便宜上まとめて記載。言うまでもなく初動用。
《下賤の教主/Ignoble Hierarch》や《極楽鳥/Birds of Paradise》では無くこれらを選んだのは、後述のカードのためにかなり緑を濃くする必要があるのと、最後の詰めにはパワー1点ですら重要になるためです。
種類を散らしているのは《陰謀団式療法/Cabal Therapy》等でまとめて対策されるのを防ぐためです
《アタルカの命令/Atarka's Command》
第二の初動札。2ターン目にマナクリを出せなかった場合にも2→4と繋いで3ターン目に4マナ圏のクリーチャーを展開できるようにしています。
ライフゲイン禁止、3点ダメージ、土地出しの効果はどれも優秀ですし、1/1と到達の全体修正も悪くない、腐りにくいカードです
《むかしむかし/Once Upon a Time》
スタンダード・パイオニア・モダンで禁止のインチキカードその1。初動ならノーデメリット、それ以降でもわずか2マナで必要なカードを探せるのは強すぎる。レガシーで緑を使う理由となり得るカード。
とはいえ4枚積むと出力そのものが落ちてしまいかねないので、今回は3枚採用。好みが出る枠だと思います
《野生の律動/Rhythm of the Wild》
令和によみがえったヤヴィマヤの火。これがある限りクリーチャー呪文が打ち消されなくなるという破格の性能に加え、速攻付与がキーワード能力”暴動/Riot”の付与となり速攻か1/1カウンター獲得かを選べるようになりました。これによって選択できるクリーチャーの幅が広がったと同時に《意志の力/Force of Will》を始めとした打ち消しはびこるレガシー環境でも戦えるようになっています。
実はギリギリ平成生まれ
《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》
追加の律動。何度か回していると律動4枚だけでは不足に感じる場面が多かったので本家も採用。打ち消されない効果は無いものの速攻付与はやっぱり強力。P/T修正がサクリファイス必須なのが少し痛いですが、詰めの場面ではリーサル圏内に強引に持っていけるという律動にはない強みもあります
《領空のヘルカイト/Territorial Hellkite》
統率者初出のあまり見ないカード。しかし書いてあることは普通に強い。基本タイマンの構築戦においては1ターンおきに召喚酔いじみた状態になりますが、4マナ6/5、律動込みなら7/6の飛行速攻は十二分の性能。フェッチだのwillだのでライフが削れていることが多い環境では1回通れば残り10、2回通れば致命傷ということも珍しくないため文句なしの切り札です。伝説じゃないのも良し
《火炎舌のカヴー/Flametingue Kavu》
まさかのカードの登場に驚かれる方も多いでしょうが、こいつ実は今もそこそこ強いんです。
というのも、クリーチャーのインフレって主に能力面であって、P/Tにおいてはあんまりインフレしていないんですよね。レガシー環境におけるクリーチャー代表格の《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》や《ドラゴンの怒りの媒介者/Dragon's Rage Channeler》なんかは勿論、モダンホライゾン2で登場したエレメンタル連中も全員焼けます。個人的には《忍耐/Endurance》を焼けるのがでかいですね。
ただこいつの効果は強制なので単騎出しはできないこと、リアニメイトのようなファッティをポンポン出してくるような相手には刺さらないのが弱点ですね。それを差し引いても強い上、ファッティに対しては別のアクションとらざるを得ないのはどのデッキでも同じなのでそこまで気にする必要は無いと思います
《進化したスパイノダーム/Evolved Spinoderm》
最新のテクノロジーで能力もレアレティも文字通り進化したブラストダーム。
増殖ギミックを使わない本デッキでの運用は通常のブラストダームと変わりませんが、被覆が呪禁になったのは大きな強化点。先に挙げたヤヴィマヤの火のパンプをこいつにも使えるようになりました。最後の2ターンは呪禁が消えトランプルを持つようにもなっており、これも火のパンプと好相性となっています。
とはいえ被覆の強固な除去耐性が魅力的なのもまた事実。好みで使い分けるか枠をスプリットして両採用も検討中です
《沈黙を破る者、スラーン/Thrun, Breaker of Silence》
「"幻想(ユメ)"じゃねえよな…!?」な能力を備えて立ち上がった漢。緑以外の発生源からの対象にならず自分ターンは破壊不能、加えて打ち消されない5/5トランプルというまさに全緑使いの理想を体現したようなカード。
特に手出ししにくい《イス卿の迷路/Maze of Ith》のような土地による妨害を突破できるのはビートダウンとしては非常に有難い。
しかしそれによって得た場持ちの良さは横並びで真価を発揮するこのデッキとは少し噛み合いが悪いかもしれません。それを補ってなお余りある強さなので2~3枚採用がベターなのではないでしょうか
《古霊招来/Invoke the Ancients》
ポストはじける子嚢。5マナソーサリーとはいえ同時に2体疑似《探索する獣/Questing Beast》が出せるのは強力。ヤヴィマヤの火がある状態で出せば探索する獣以上の即席アタッカーであり、持たせる能力は盤面次第でユーティリティという面ではある意味あのカード以上にデッキと噛み合っているかもしれません。
緑シンボル4の5マナというスラーン以上の緑マナ食いなので序盤に出すのは難しいです。というわけで採用枠は2か3ですね
以下からは土地基盤について
《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
ショックランド。現時点ではこのデッキで一番高いカードですかね。
さすがにこれだけは妥協できないのと、持っていればその分デッキ作るハードル下がるのでこれは確定です
《根縛りの岩山》
チェックランド。この枠は《銅線の地溝/Copperline Gorge》と悩みましたが、5マナのカードが増えた分ファストランドのデメリットが重くなったのでこちらを採用することに。
5マナのカードを減らすのであればファストランドでもいいと思います
《寓話の小道/Fabled Passage》
フェッチランド。低予算構築なので《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》は採用できませんでしたが、予算に糸目をつけないなら山麓の方を採用しましょう。
使ってみた感想としては、基本土地が多いのとマナ加速手段が多いのでそこまで必要性は感じませんでしたが、《不毛の大地/Wasteland》環境の中で多色土地を複数採用するのはキツかったので採用しました。
小道のアンタップインが可能になることもあんまり無かったのと、アタルカの命令でのエンド時土地出しも可能なので最悪《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》でも構わないです
《山/Mountain》《森/Forest》
基本土地。今回は山5枚、森7枚のスプリットにしています。
領空のヘルカイトのダブルシンボルを捻出する必要があるため、山の枚数もあまり絞らない方がいいです
続いてサイドボード
《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
低予算の味方な墓地対策。
《フェアリーの忌み者/Faerie Macabre》との差別化としては、手札に抱えておく必要がなくハンデスに強い点、置いておくだけで抑止力としてリアニメイトのような速攻型のコンボを抑制できる点、根こそぎ追放するので墓地利用の大半をメタれる点が考えられます。
後述しますが、現在(2023/1)の環境ではブン回り前提のワンショット系デッキが結構な数おり、それに対して2ゲーム目負け先からこのカードを置くだけでこちらの土俵まで持ち込める可能性を作るために採用しています。
現状フル積みですが、メタ次第で減らしてもいいでしょう
《自然への回帰/Return to Nature》
これ1枚でアーティファクト・エンチャント・墓地の全てを見られる優れもの。一度にどれか一つしか壊せないですが、この範囲の広さはオンリーワン。トーモッドの墓所と同じく墓地対策としての役割も大きいたため3枚採用。こちらはメタがかわっても枚数は変わらないかも
《乱動する渦/Roiling Vortex》
どのデッキに対しても刺さりやすい妨害カード。ピッチスペルひしめくこの環境では優秀な抑止力として働いてくれる他、毎ターンのダメージも馬鹿にはできません。マナを立たせておく必要はありますが、ライフゲインを咎められるのもグッド。こちらも3枚
《夏の帳/Veil of Summer》
インチキカードその2。除去やカウンター、ハンデスを咎められる上に何故かキャントリップまで付いている訳が分からないカード。
律動や火を守る、通すために使いたいカード。枠がカツカツなのと渦とちがいどのデッキにも刺さるという訳ではないため2枚採用
《紅蓮破》《赤霊破》
対青の秘密兵器。その強さはレガシー環境に触れた方には言わずもがなでしょう。2種合わせて3枚採用。スプリットはおまかせで
3.プレイング
キープ基準
基本的には先手後手問わず
・マナクリもしくはアタルカの命令含む土地基盤3~4枚、4マナ以降のクリーチャー2枚以上
もしくは
・土地基盤3~4枚、野生の律動もしくはヤヴィマヤの火1~2枚、4マナ以上のクリーチャー1~2枚
がキープ基準です。
むかしむかしがある場合はこれが少し緩くなり、各役割のカードが1~2枚多い/少ない場合もキープして大丈夫です。その場合はその時足りないカードを拾いにいきましょう
キープするクリーチャーは領空のヘルカイト>進化したスパイノダーム>沈黙を破る者、スラーン≧火炎舌のカヴー>古霊招来の順番です。ただし、極端に赤マナ基盤が少ない場合はスパイノダームを優先してください
プレイング面での注意
先手の時はマナクリもしくはむかしむかしからプレイ。アタルカの命令始動の場合、1ターン目はショックランドのタップインにあてても大丈夫です
2ターン目は条件が揃っていれば野生の律動やヤヴィマヤの火をプレイ。打ち消される場合もありますが、後続のアタッカーが打ち消される方がキツいので釣り出しと割り切る勇気も必要です。
アタルカの命令始動の場合は一回ドローゴーの後相手ターンエンドに動くようにしましょう。
基本は3点+土地出しですが、何らかの形でライフゲインをされそうな場合はゲイン禁止+土地出しでも大丈夫です。2ターン目は土地出しがマストと覚えましょう
3ターン目以降が本番です。律動が出ているなら速攻か大きくなったクリーチャーで殴りに行き、命令始動からでも最低限4マナ圏の大型クリーチャーが登場します。以降はできるだけ攻め手を絶やさず攻め続けましょう。ヘルカイトが一発通れば大抵相手のライフは半分以下なので、もう一度何らかのクリーチャーでどつけば相手のライフはほぼ0です。地上のブロッカーはカヴーで燃やしましょう
サイド・サイド後
相手のデッキによって変わりはしますが、交換枠になりやすいのはカヴーと古霊招来です。特に招来は重いかつ無くても支障はない枠なので、この3枚+何を抜くかを念頭に置いて考えるのがおすすめです
サイド後の注意としては、むかしむかしの出力が落ちることを意識してください。最初のキープ基準に挙げたむかしむかしボーナスも乗らないと考えた方がいいでしょう
4.環境で戦えるのか?
結論から言うと、現在の環境だと厳しいです。
ご存じの通り、2023年2月現在レガシーの環境は白単イニシアチブを始めとするダンジョン踏破RTA走者擁するデッキが幅を利かせています
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%99%BD%E5%8D%98%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%81%E3%83%96
このデッキとしてはまあキツいのは仕方ないのですが、それ以上に増えた「イニシアチブやそれに強いデルバー系統も食えるデッキ」、即ちワンショット系コンボにこのデッキはとてつもなく不利がつきます
特にキツいのがリアニメイトで、どう足掻いてもこちらが4マナ圏以降が本番となるデッキに対して向こうは最速1ターン制圧も可能なコイツははっきり言ってメインでの安定した戦術の確立は無理ですし、サイド後の完全な対策も現状の構築では難しいです
このテのデッキは本来レガシー特有のwill採用デッキによって抑制されているのですが、現在はwill+目くらまし程度のカウンターしかないデッキではイニシアチブに轢き潰されかねないような環境です。
そのせいでwillそのものの母数が減っており、結果抑制されなくなったワンショット系コンボが増殖しているのです
この令和ファイアーズは言うなれば青メタステロイドであるため、少なくともwillだののカウンターに対しては強く出られるよう構築してありますし、ライフレースにしても大型クリーチャーによる速攻で粗方のデッキよりは有利がつけると考えています
つまりこのデッキはwillなどのカウンターありきの環境を前提としたコバンザメのようなデッキであり、宿主の威が通用しない現在は相当しんどいということです
逆に言えば現在のアンフェアデッキが幅を利かせる元凶であるイニシアチブギミックが規制なりエラッタなりされればワンチャンあるかな?という感じです。ウィザーズの良心に期待しつつ待ちましょう
5.さいごに
ここまでクソ長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
なんやかんや書きましたが、以前考えたデーモンストンピィに続く面白いデッキになってるんじゃないかなと自惚れております
今回は採用しなかった《活力の温泉/Invigorating Hot Spring》を軸とした温泉型ファイアーズもアイデアがありますので、いつか形にできればなと考えております
普段は1万円レガシーコミュニティにてよく活動しています。日々様々な面白いデッキアイデアが登場していますので、興味がある方はぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか
以上で令和ファイアーズの記事は終了です。ありがとうございました!
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