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BO1スタンダード《青単デルバー・テンポ》

1.はじめに

こんにちは。時計と申します。
前作『1万円レガシー:令和ファイアーズ』が1,500PVを突破していました

初めての投稿だったので中々アレな部分も多かった文章ですが、これほどのリアクションがついたのはとても嬉しかったです。ひとえに読んでくださった方々のおかげです。ありがとございました

「じゃあ今回もレガシーの与太構築か」と思われるかもしれませんが、今回は趣向を変えてスタンダード、それもアリーナでおなじみBO1(1回勝負)向けデッキの紹介です

ローテーションのスパンが伸びたこと、少しレガシーの方で構築やプレイングの伸び悩みが続いていることから違うフォーマットに手を伸ばしはじめたのですが、思いの外この手の解説記事が多くない。
だったら自分で書いてみるか、と思い第二回目の文章となりました

今回もよろしくおねがいします

2.デッキレシピ・カード解説

《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》

初出の方が好き

帰ってきた1マナ最強格生物。レガシーやモダンでも折り紙付きなその強さはスタンダードでも健在。
とはいえ《目くらまし/Daze》だの《意志の力/Force of Will》だのが無いこの環境ではその出力も少し控えめになっています

主な仕事は他フォーマットと同じ。序盤に出して最速変身→飛行3/2で殴り続ける、の基本ムーブは変わりませんが、運用上の戦術は下環境のそれとは少し異なり必ずしも1ターン目に出す必要はありません

ピッチスペルやインチキカードが飛び交う下環境とは違い、スタンダードのゲーム進行は非常に穏やかかつマジックの基本に忠実です。

そのため、あえて初手から出して制圧を狙うのではなく2~3ターン目にプレイすることも普通に選択肢として有効です。
順当に土地が出ている場合、2ターン目に出せば後述する《とんずら/Slip Out the Back》や各種バウンスカードでの防御が可能になりますし、3ターン目なら各種カウンターが使えるようになります。

このデッキではコイツをはるかに上回るデカブツが入っている訳でもないので、単なる先置きからの除去の的としてだけでは仕事を果たせません。
どうせなら相手に除去なり火力なりをたんまり吐いてもらえる環境づくりを目指しましょう。

それをデルバーで受け切って次項のクリーチャーにつなげられれば勝利は目前ですし、それより前に妨害を全て捌けていれば勝利は目前です

《傲慢なジン/Haughty Djinn》

傲慢っつーか嫌味

青単色になった《奇怪なドレイク/Enigma Drake》。しかも令和のカードパワーではこれに超有用なオマケがついてくるというインフレっぷり

このデッキの大黒柱と言っても過言ではないカードで、役割は文字通りのフィニッシャー。

このカードのすごさは「能力とデッキの噛み合いの良さ」に他なりません。
レシピを見てもらうとわかりますが、今回の構築ではこのカード以外に青ダブルシンボル以上のカードは入っておらず、さらにクリーチャー以外のカードは全て1か2マナです。
能力の対象外であるクリーチャー、元から1マナのカードを除けば全てが軽減対象となり、実質全てのカードが1マナとなります

これによって一度出しさえすれば妨害、維持ともに難易度がとてつもなく下がるのはプレイングの面では中々のメリットなのではないでしょうか

出す際は前述のデルバーと同じく「自分のマナコスト+1」を心がけてください。ここでもジンの効果が活きるので、4マナあれば絶対安心なのは大きいですね

出たターンは大体3~4打点なので少し心配かもしれませんが、こいつを守る過程でインスタントがなんやかんや墓地に落ちるので2ターン後ぐらいにはジーニーの如きガタイになっていることでしょう。勝利は目前です

《とんずら/Slip Out the Back》

逐電の方がいいんじゃないですかね

翻訳がイマイチパッとしないことでおなじみのカードですが、その強さは一級品。《蛇皮のヴェール/Snakeskin Veil》のような除去耐性を与えるカードと違い、こいつが付与するのはフェイズ・アウト。呪禁や被覆とは違って全体除去もかわせる他、相手のクリーチャーに使って疑似的な除去や誘発へのカウンターとしても使えるのはさすがの一言

オマケの1/1カウンターも素の打点にやや不安のあるこのデッキでは嬉しく、またデルバーに1回使えば2点火力圏外にできるのも素晴らしいですね

「三十六計逃げるに如かず」、一時的な不利に対しては逃げもまた立派な戦術の一部です。相手を煙に巻きましょう

《消えゆく希望/Fading Hope》《ローナの渦/Rona's Vortex》

雰囲気が美しい
名前が覚えられない

バウンスカード。通常より多い8枚体制なのが肝

テーブルトップのBO主流であるBO3ではいざ知らずBO1においては多少の安定感よりもブン回りこそが正義です。そして現在のスタンダードにおいては一部を除きクリーチャーがその爆発力の大部分を担っています

そこをメタったのがこのバウンスカード。テンポ損だのなんだのと下環境ではあまり重視されない効果ですが、クリーチャー1枚で2枚分も3枚分もアドをとってくるようなのをたった1枚で対処できればことスタンダードにおいては十二分な戦果です

また、現在(2023/5/23)時点でのスタンダードトップTier、ガチガチのガチカードである《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》に対してもまあまあ有効だったりします

というのも生み出すトークンに対してはバウンスが確定除去に、3章誘発のタップ効果にしても対象にとったクリーチャーをバウンスすればブロッカーにもならない木偶の坊の完成です

また、馬鹿にならないのが消えゆく希望のマナ総量3以下時に占術1ができる追加効果。デッキの半数がデルバーの誘発対象であるとはいえ、デッキトップを確認できる効果はあって損するものではありません
邪魔な飛行持ちをどかした上で3/2クロックを定着させることができれば状況はこちらにグッと傾きます

欠点としては赤単や白単のような小粒の横並びには無力なこと、登場時効果持ちには逆効果なこと、いくら便利でも所詮はアド損一時しのぎでしかないこと。要するにバウンスの構造的弱点そのままですね

最小の努力で最高の効果を狙いましょう

《かき消し/Make Disappear》《散乱光/Scatter Ray》《否認/Negate》

どういう状況?
カッコいい
実はカウンターとしては若いカード

青の十八番カウンター呪文。今回は3種10枚の採用
クリーチャーカウンターの散乱光を4積みしてるのがBO1らしいですね

解説することは特にありませんが、上述の散乱光は《本質の同化/Assimilate Essence》に変えることも環境次第では考えられます。環境におけるバトルの採用数次第でしょうか

こっちは怖い

《考慮/Consider》《衝動/Impulse》

次世代の1マナドロー
実は古いカード

こちらも青の十八番軽量ドロー。こちらは2種8枚

こちらも解説することはあまりないですね。どちらもインスタントなので基本的には相手エンドに撃ちましょうってぐらいです

いちおう傲慢なジンのパワーを上げられたり処理のシステム上カウンター探してそのまま唱えることもできるので、その時々の目的に応じて撃つことは意識しましょう。ハンデスもそうですがドロソも漫然とキャストしてはいけない気がします


以上がメインボードの解説でした。次項からは一般的な青単テンポと比較しての不採用カードについて解説していきます

3.不採用カードとその理由

《トレイリアの恐怖/Tolarian Terror》

体大きすぎて動きにくそう

スタンダードに現れたジェネリック《船乗りを滅ぼすもの/Sailors' Bane》。最小コストで出せれば純粋にスタッツズルかつ護法2も厄介という一品

しかしことBO1においてはこの「最小コストで出せれば」というのが曲者

順当に行ってもこいつを1マナで出そうとすれば最低4~5ターン目までかかります。パーミッション系デッキにおいてこの時間帯までにそれだけのリソースを吐いているのであれば相手をほぼ制圧していて然るべき、逆にそこまでで制圧できていないのであればほぼ負けです

そんな状態で護法持ちとはいえ地べたを這いまわる6/5が出てきて何ができるのかという話です。有利なら飛行持ちクロックで押し切れるし、そうでないなら単なる千日手製造マシーンになっておしまいです

つまるところ有利にせよ不利にせよゲームレンジに間に合っていないことが多いんですよね。BO3ではまた違うのかもしれませんが、短期決戦か寄り切りが正義のBO1では扱いにくいと感じました。護法2ってのもイマイチ頼りないですし、その辺もゲームレンジとの不一致に拍車をかけている気がしますね

コモンにそこまで期待すんなって話ですが

《知識の流れ/Flow of Knowledge》

かつ消えかつ結びて

5マナでコントロールしている島の数だけドローという大がかりなカード。終盤のリソース勝負でこいつを通せれば一気に勝利に近づけます

が、ここでもやっぱり前述の「ゲームレンジとの不一致」が引っかかります

青単テンポというデッキ名の通り、このデッキは毎ターン確実に打ち消しやドローでアドを稼いでいくデッキです。そして現在のスタンダードにおいてのマストカウンターや強力な置物は3~4マナ圏前後のものが多いです

そんな状況で5マナのドローで何を引っ張ってくるのか、という話ですね。今回は後半の大量ドローよりも序盤の1ドローを優先しました

こちらもBO3では状況が違うのかもしれないのであくまでBO1では使いにくかったという感じです。もっとゆっくりした環境になれば強さが発揮しやすくなると思います

《渦巻く霧の行進/March of Swirling Mist》

アジアンテイストなイラストが良き

手札コストでもXが賄えるフェイズアウト。コスト次第では自敵問わず全体フェイズアウトも狙える攻防共に狙える必殺技

悪くないカードだとは思うのですが、なんとなく取り回しが悪い。
1体を守るだけならとんずらで十分ですし、2体以上守るならカウンターを構えておいて除去を打ち消すほうが手っ取り早いです

また、相手を対象にするにしてもこっちのクリーチャーは飛行持ちなので相手のブロックを気にしなければいけない場面はあまり多くないんですよね。誘発対処にせよブロッカー排除にしても相手のクリーチャーどかすならそのために採用しているバウンスカードがありますし

手札コストで撃つ場合も、手札コストが結構重いです。基本的には知識の流れありきのエンドカード的な扱いが多いようなので、それを採用していないこのデッキには合わなかったんだと思います

《青の太陽の黄昏/Blue Sun's Twilight》《嵐風招来/Invoke the Winds》

昼の終わりか、夜の始まりか
飛んで飛んで

相手のクリーチャーを奪えるカード。嵐風招来は今流行のアーティファクトも奪え、青の太陽の黄昏はXのコスト次第でそいつをコピーできるどちらも優れもの

これは単純に枠が足りませんでした。何度か使った際にはかなり強かったのですが全体的に軽量パーミッションに寄せた結果抜けていきました

ただアグロには使いにくいカードであることは確かなのでサイドボード向きのカードだと思います。今後の環境次第ではメインに少数採用も考えられると思います

4.戦績・プレイング

戦績は上記の通り。アプリ入れる前にも何戦かやってたので多少試行回数が少なくなってますが、このデッキを組んでからはこれでスタンダードBO1にしか潜っていないので信憑性はあると思います

プレイングとしてはとにかく冷静に、パーミッションの基本に沿って動くことを意識してください

基本は土地を構えてターンを渡しカウンターかドロー。クリーチャーは守る手段とセットで出す。これを意識しだしてからは大分勝てるようになりました

環境的にはラクドス・ミッドレンジに微不利、それより遅いデッキには有利、逆にミッドレンジより速いデッキには明確に不利がつきます

BO1だけあって速いデッキが多いのが辛いところではありますが、バウンスとマストカウンターへの対処を徹底すれば勝機は一応あります。アグロが増えればもっと違う構築を考える必要があるかもしれません

5.最後に

いかがでしたか?

なんだかんだ書きましたが、このデッキ一番の売りは値段です

「一番気に入ってるのは……値段だ」

紙にしてもアリーナにせよレアワイルドカードや値段の高いカードがほとんどない(傲慢なジンとかき消しぐらい)ので、アリーナなら余ったワイルドカードで、テーブルトップなら10,000円未満で作ることが可能です

ローテーションも伸びて少なくとも向こう2年は大部分のカードが使えるのでいろんな意味でリーズナブルなパーミッション、メインで使っているのとは違うデッキが欲しい、コントロールの練習・入門がしたいという方にぜひ一度触ってほしいデッキです

最後まで読んでいただきありがとうございました

余談

普段はこちらのサーバーで活動しています。低予算でのデッキ作成だけでなく各々が考えたレガシー環境やデッキについての話やフリープレイなんかもやってます

レガシー以外にも統率者やモダンなんかの話もしているので興味がある方はぜひ一度覗いてみてください



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