読んだ村上春樹がやっぱり好きだったので紹介するよ
だいすきな作家のひとり、村上春樹さんの本から今回は二冊ご紹介。
『ラオスにいったい何があるというのですか?』
雑誌にバラバラに掲載されていた村上春樹自身の旅行記をまとめた一冊。タイトルはタイの空港でタイ人に実際に問いかけられた質問。ラオスってどこ?なにがあるんだろう。
春樹さんの小説はたくさん読んだので読み慣れているけど、主語が村上春樹本人で、実際に旅行に行った実在の体験を書いているのでいつまで経っても不思議な現象がなにひとつ起きないのが逆に新鮮。騎士団長が話しかけてきたりしないし、穴に閉じこもって考え事をすることもない。
ノルウェイの森やねじまき鳥クロニクルを執筆していた時に暮らしていた地を写真付きで見られるのでそれだけで結構感慨深い。ふむふむ、だから『羊』なんだ、とか。
とにかく世界中色んなところの話が盛りだくさん。つくづく自分が狭いところで生きていることがよくわかる。少し内容に触れると、アイスランドでパフィーという渡り鳥の子供を助けて回る話がすごく好きだ。
旅に出かけたくなる一冊です。
一人称単数
打って変わって、村上春樹な一冊。『ラオスに』が実在の世界と村上春樹だとすれば、こちらは村上春樹の世界での村上春樹と、そんなかんじ。
独特の世界観とそこで生きる人々、あるいは猿の中で渦巻くパーソナルでセンシティブな心が切実に感じられた。
自分だけの心ではどうにもうまく生きられないから、村上春樹の小説の中で描かれた心を少し借りて継ぎ接ぎした心でなんとか生きているところがぼくにはある。小説を読むという行為に意味があるとするなら、そこにある心をいつでも訪ねられることだとおもう。それが正解なのか不正解なのかは別にして。
訪れがいのある心がたくさん描かれた一冊だとおもう。
やれやれ。村上春樹さんの文章を語るときに村上春樹の文章に引っ張られないようにするのってやっぱりむずかしい。やれやれ。を抜きにするぐらいなら簡単だけど(仮に勢いで書いてしまったとしても消せばいい)、ぼくにとってすごく大事な小説家です。読んでみてほしいな。村上春樹が好きな人が身近な人だと母しかいなくてさびしいし。そんなかんじ!