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はじめての工場実習

はじめに

メーカーに採用された新入社員には、避けては通れない大きなイベントが待っている。

それが工場実習。
一定期間工場に配属され、実際に製造の現場を体験するというものである。工場研修や現場実習など、企業によって呼び方は異なるだろうが、内容はほぼ同じである。

新入社員は工場での勤務を通して、製品の生産過程や現場の環境を学ぶ………


だけでなく、工場勤務の過酷さを身をもって体感するのである。

かくいう私も先日まで数か月に及ぶ工場実習に従事しており、現場の洗礼を受けた。工場実習を振り返ると、トータルで見れば巷で言われているように「キツイ」ものではあったが、イメージと異なっていた部分や、逆に参加してよかったと感じた部分もあった。
そこで今回は、備忘録も兼ねて、工場実習で感じた特筆したい3つの事柄についてお話しする。

※あくまで個人の経験に基づいた事柄であるため、実際の工場勤務と異なる可能性があることをご理解ください。

①夜勤は睡眠がカギ

大抵の場合、工場勤務の人は日勤(昼勤)と夜勤の両方を行うことになる。それは工場実習生も例外ではなく、夜勤のシフトに入っているときは夕方~夜から出勤する必要がある。
私も、数か月の工場実習の間に夜勤を何度も経験した。

一般的に夜勤は辛いものだと言われているが、その主な理由として挙げられるのは
・昼夜が逆転し、生活リズムが狂うから
・勤務中に眠くなるから
などだろう。
生活リズムの変化に関しては、そこまで大きく影響はなかったように思う。夜勤明けに一日中寝て過ごすということはなかったし、体調を大きく崩すこともなかったため、日勤と夜勤の切り替えはうまくいっていたのではないか。
勤務中に眠くなることは少なからずあったが、あくまで一過性のものであり、ずっと眠気を感じながら仕事をすることはなかった。

だが、最も辛かったのは夜勤から帰ってきた後のことである。
夜勤後は軽食を食べ、シャワーを浴びて寝るというのが私のスケジュールだった。しかし、この「寝る」という行動が曲者だった。
まず、基本的に睡眠が浅くなる。2~3時間起きては寝るということを繰り返すことが多かった。5時間は一気に寝ていた以前とは大違いである。
また、外が明るい中で睡眠をとるため、睡眠の質も普段より良くなかった。そのため、前日の疲れが抜けきらないまま勤務に行くことがままあった。
更に、以前と違って寝つきが悪くなったり、途中で眠れなくなったことが増えた。例えば、よく寝る直前にスマートフォンを見ると寝つきが悪くなるといわれるが、夜勤中はその影響をもろに受けるようになった。そのため、夜勤中は寝る前も、途中で起きてしまった時もスマホを確認するのを控えるようになった。
このように睡眠で苦労することが多く、あまりよく眠れなかったときは、先述の勤務中に眠くなる回数が多くなった。

夜勤を乗り切るには、いかに良い睡眠をとるかが勝負となる。逆に言えば、きちんと眠れる人は、慣れれば夜勤ではそこまで苦労しないかもしれない。


②工場での業務は単純作業だけではない

これは企業や配属される工場、部署によるのかもしれないが、一概に「工場勤務は単純作業を繰り返す」とは言い切れないのは確かである。

私が配属された部署では、基本的に製品は人の手ではなく複数の設備を通して生産されていた。そして、ラインに入っている人はその設備の操作・整備・点検をはじめ、製品の運搬やパソコンへの製品情報の入力など、複数の業務をこなしていた。つまり、工場で働くからと言って「延々と同じ作業が続く」とは限らないのである。したがって、初めて工場に入る人で、配属先の業務が意外に多様だった場合は面食らうかもしれない。
実際、私もライン作業の補助や様々な雑用を任されており、一つの業務しか体験せずに飽きてしまうことはなかった。

また、業務が複数あるということは、頻繁に移動する機会があるということでもある。
それぞれの設備の操作やチェックに行くのはもちろん、製品の運搬などで移動することはよくあるので、持ち場から全く動かず作業するということは少なくとも私がいた部署ではなかった。
逆に、動きすぎるので工場勤務中に1万歩以上歩くことがざらにあったくらいである。

とはいえ、業務数は複数あるものの基本的には毎日同じような作業をこなしているため、所謂ルーティンワークであることに変わりはないのかもしれない。そして、一度覚えてしまえばあとは何も考えずにできるような作業が多いので(ミスには気を付けないといけないが)、長期間工場勤務を繰り返すと飽きてくる可能性はある。
私の場合は工場勤務が数か月間と短かったため、結果的にはあまり退屈しないで済んだのだろう。


③工場実習はお金が貯まる

入社前から人事の方に言われていたことではあったが、工場実習は非常にお金が貯まる。最初は私も半信半疑だったが、給与明細を見てとても驚いたのを覚えている。

貯まる要因の一つが、夜勤手当や残業手当がもらえる点にある。
先述のように、工場勤務には夜勤があるのが普通だ。コンビニなどで夜勤のアルバイトをしたことがある人はわかるかもしれないが、基本的に夜勤は日勤と比べると時給が高くなる。私の場合も、夜勤中の特定の時間帯は基礎時給が数割増していた。また、私の会社は夜勤に入るごとに手当が出たので、その分給与が増えた。
そして、実習とはいえ工場勤務中は残業がつきものである。私もそれなりに残業を経験したので(多い時で月30時間弱)、しっかりと残業代をいただくことができた。
この結果、残業なしだった4月の給与と比べると、額面で10万円以上も多い給与をもらうことができた。もちろん、社会保険料や所得税などでの控除はあったが、それでも新卒としてはかなりの額をいただいたように思う。
また、メーカーなので理系の院卒の人もいて、その人は学部卒の私よりも更に給与が多かったそうだ。

また、工場実習中は夜勤や肉体労働もそれなりにあったので、座学の研修を受けていた時期と比べると体に疲労が溜まっていた。そのため、休日はどこかに出かけるということはあまりなかったので、散在する機会も以前ほど多くはなかった。
収入が多くなり、支出が減るのだから、お金が貯まりやすくなるのは自明である。

工場実習は辛いものではあったが、この給与の多さのおかげで最後までモチベーションを維持し続けることができたのかもしれない。


おわりに

以上が、私が工場実習中に得た経験の中で特にお伝えしたかった点である。
この先工場実習を受ける予定のある人が、これを読むことで少しでも工場実習のイメージを掴んでくだされば、これ以上嬉しいことはない。
また、既に工場実習を経験した方や、現在も工場で勤務している方は「工場勤務あるある」として共感していただけると幸いである。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。



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