失敗しないクリニック診療所の名前の付け方
1.クリニック名・診療所名は超重要
~これからクリニックを新規開業されるドクターへ~
診療所・クリニックの新規開業にあたり、新たな患者さんが来てくれるか不安ですよね。地域の方へ向けて、チラシをまいたり、内覧会を催したり、認知してもらう努力は非常に大切ですね。実は、集患の観点からも、とても重要なのが「クリニック名・診療所名」です。近年のWeb主体のライフスタイルの変化の中、「クリニック名(診療所名)の付け方」だけで、新患の来院数に大きく影響を与えてしまうこともあります。何はともあれ、まずは、患者さんに見つけてもらわなけばならないのです。
2.WEB検索を意識した診療所名が主流に
昔から、人づての医師の診たての口コミや評判は来院数に大きく影響しますが、最近はインターネットで検索し、新たに来院する患者が圧倒的に多いのが事実です。これからは”WEB検索上で、患者に見つけてもらうこと“が非常に重要です。診療所名はSEO上、WEB検索時には非常に重要なキーワードとなりますので、その点も考慮し診療所名を決めることが必要です。ではWEB検索上、具体的にどのような診療所名がよりよいのか、集患の観点から分析してみましょう。
3.何のキーワードで検索する?
私たち患者が、新たにかかるクリニックをWEBで探すとき、まずはGoogle等でキーワード検索します。中でも最も重要なキーワードは、「地名(駅名)」と「診療科」ですね。TVなどに出演する有名ドクターでない限り院長名やよくあるイメージワード(ファミリー、あすなろ、なごみ等)で検索する方はいません。例えば、「白金台整形外科クリニック」などは、患者が「白金台 整形外科」などで検索した際に、上位に表示されやすいでしょう。まず、検索結果の1ページ目はもちろん、さらに上位表示されること、これが見つけてもらうために必要な条件です!
4.さらに、クリックしやすくする工夫
次に、エリアと診療科が合致したクリニックが検索結果のページにずらっと並ぶ中、ご自身のクリニックをクリックしてもらうためにはどうすればいいのかよいでしょうか。残念ながら、医療法上、診療所にはかなり厳しい広告規制がございますので、民間企業みたいにうまいキャッチーな宣伝文句を表示することが法律上できません。そこで診療所名での表示の工夫です。例えば、診療所名に院長名を入れますと、なんとなく責任感も感じ、顔が見える感じもして、安心感や信頼性も上がった感じに捉えますよね。またその際、漢字が連続すると堅いイメージになるのであれば、「中目黒木村眼科」ではなく「中目黒きむら眼科」などひらがなにするのもやわらかい印象になってなんか親しみやすくなりますね。
さらに苗字ではなく、名前を入れた場合、特に女医さんの場合は、「三鷹ゆきこ皮膚科」など、一目で女医さんに診てもらえるという安心感があり、これも患者にとっては行きやすくなります。病気を患う方は、ただでさえ精神的に不安です。新たなクリニック探しにおいては、”このクリニックなら信頼できそうかな“とか、”優しそうかな“といった主観的なイメージが実は非常に大事です。単純で細かいことですが、クリックのきっかけはそんなちょっとしたことが影響します!
5.診療科名の標榜も時代で変化
標榜も時代とともに変化しています。まず診療所名に、「医院」と名付ける診療所は激減し、「クリニック」が圧倒的に多くなりました。「耳鼻科」は、「みみはなのどクリニック」。「小児科」は、「こどもクリニック」「キッズクリニック」。「婦人科」は「レディースクリニック」。「皮膚科」は、「スキンクリニック」とする診療所が増えてきています。患者がどのキーワードで検索をするかをいろいろ試し分析してみて、ベストなものを選択していくことが重要です。
6.競争激化の中、専門性も打ち出し
さらに、診療科もよりピンポイントに表示する診療所も増えてます。例えば、ただ「整形外科」とするのではく、「~整形外科スポーツクリニック」「~整形外科手のクリニック」とより専門性を打ち出す名称も見られ、ピンポイントに自分の罹患している対象にマッチしたクリニックを探している患者は、特に目を引かれるのではないでしょうか。
7.法律や規制、ローカルルールに注意!
法律・規制遵守
WEB検索を意識することが重要ですが、あくまで医療法や医療広告ガイドライン遵守を前提とした話です。
主な規制には、「診療所」なのに「病院」とつけてはいけない。(病院と勘違いを誘発する「〇〇総合内科」もNG)
誇張や優良誤認などを招くものも認められません。「アンチエイジングクリニック」「ナンバーワン歯科医院」「無痛治療医院」など
事実に反する名称もNG(佐藤という医師が開設で、診療所名に「高橋医院」を付す等)
競合する既存の他の診療所と類似する名称もNG(不正競争防止法)。それが商標登録されていればなおさらです。
保健所での事前相談は必須
国として定められている法律やガイドライン遵守はもちろんですが、少し厄介なのが、管轄保健所のルールです。ローカルルールと呼んでいいかどうかはわかりませんが、地方自治体の保健所によっては、診療所名として認めていないもしくは指導するケースがございます。
例えば、京都市(保健福祉局)のWEBサイト
さらに、大阪府の診療所開設の手引きには
また、医師会によっては入会条件に遵守項目を設けています。
保健所・医師会への事前相談確認は重要
このあたりの管轄保健所でのローカルルールには、注意が必要ですね。特段法規上制限の記載がなく、他の自治体エリアで認められていたとしても、管轄する保健所で「指導する」・「原則認めない」としていた場合、そこを通すには、仮に交渉できたとしても時間と困難を要することになります。
また、各地区の医師会では会員間での協調・連携を重視しております。同じ標榜による診療圏の重複、類似診療所名による混乱、過度な競争やトラブルを避け、地域での適切な医療機関配置を願っておられます。そのため、独自ルール・遵守事項もあり、審査・面談後、最終理事会で承認されないと医師会加入ができなくなりますので、合わせて事前確認が必要です。
8.いつまでに決めなければならないか?
最終的には保健所への診療所開設届の名称欄に記載するタイミングとなりますが、実際は、下記項目の為結構早い段階で決まっていなければなりません。
医師会入会(新規開業)の際は、診療所開設の数ヶ月前(医師会により異なる・6~12ヶ月)前までに相談・必要な書類の提出を要件とし、最終理事会承認が必要
建物の看板、医療広告看板、各種印刷物(パンフレット・名刺・封筒等)、印鑑スタンプなどの準備
WEBサイトの準備
最近はWEBにて開院前に先行してホームページをUPされるケースが非常に多く、SEOの観点からドメイン名取得等含め非常に重要です(ドメイン名は早い者勝ち。後の変更も避けるべきです)。
9.あとがき
以上、あくまでWEB検索の観点より、診療所名を決めていく方法についてご案内いたしましたが、一方、どのドクターもそれぞれの想いや使命感をもってこそご開業されるかと思いますので、診療所名にそういった想いを込めることも大切かと思います。(「ありがとうみんなファミリークリニック〇○」のような診療所様も現にございます)また、大方決めてしまってから、届出時にダメ出しされないように、制限や規制には十分配慮し管轄保健所、医師会への事前相談を行うことが非常に大事ですね。
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