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カラオケ店員の日記〜誕生日サプライズ〜

2011/8/3
フロントから厨房に内線が入り、お客さんから誕生日サプライズを頼まれたとのこと。
注文は、「キャラメルビバリーヒルズというパフェに、ろうそくを19本さして欲しい」というものだった。
デザート作りのエース、フジムラ君が「どうやって19本さすん!?」と頭を抱えた。
「まず真ん中に一本さすやろ?ほんで残り18本………」と、相当悩み、シミュレーションを繰り返した。
が、数分後。
「ああ〜〜〜ムリ!!!
せめて10本にしてくれ!!!!」
と叫んだ。
お客さんと相談の結果、パフェグラスではなく、お皿にケーキ風に盛り付け、ろうそくを立てる事になった。
フジムラ君は、テキパキと盛り付けを完成させ、同じ厨房の男性陣から「おまえ、センスいいな!」と称賛された。
フジムラ君渾身の力作、センスの良いケーキ風パフェが完成し、早速ろうそくに火をつけようとした。
が、普段は喫煙者率が高いバイトメンバーなのに、今日に限って誰も喫煙者がいない。よってライターの扱いに慣れていない者同士がやいのやいのと手間取った。
1人でやっていては時間がかかるので3人がかりで火をつけるも、、
「うわ!アホや!外側のろうそくからつけたから内側つけにくい!」とかいう事態になったりもした。なんとか19本全てに火を点け、
「よっしゃ、持ってくぞ!」とそーっとケーキを持ってエレベーターまで移動したが、エアコンの風で火が吹き消された…。
慌ててつけ直そうとする我々であったが、はたと思いとどまり「部屋の前でつけた方がいいのでは?」と提案し、ロウソクには部屋の前で火をつけた。
ようやく、注文された部屋のドアを開け、3人で「おめでとうございまーーす!!」と笑顔で渡す。
お客さんの笑顔も見ることができ、サプライズは無事に成功した。
ああ、がんばってよかった。ホッとして厨房に戻ると、
「早!ハッピーバースデーの歌、うたってきた?」
「あ…」
「お前らなんのために3人で行ってん!マジか!」

サービス業とは、そういうことだ。

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