捧げる


今日で8年なんだって。
きっと解散してなかったら、今頃世界を統べるバンドになってたんじゃないかな。
まあ、あの頃も私にとってはせかいいちのバンドだったけど。
君は歌う中でいつも考えてたんだね。違うこともやりたいと、もっと自分の力で高みを目指したいと。
意見の相違、方向性の違い、喧嘩別れ。
憶測は立っても、ほんとうのことなんか分からない。
ギターの子は解散してから何ヶ月も消息不明だった。
きっと君がいなくなったこと、すごく後悔したんだよ。
自分になにかできたことあったかな、自分の歌じゃ世界目指せないのかな、って、すごく悩んだと思うんだ。
君の歌声とあの子の曲とあの子のドラムで成り立ってた素晴らしい歌だったんだ。
君を失って、自分の存在意義を見いだせなくなってしまった彼は、きっとその間も音楽を作り続けてた。
でも、君は泣いていたんだね。
自分の歌がもっと世界に行けるように、ずっと考えてたんだね。
実際に今、世界目指して歌を沢山頑張っているよね。
それはすごいことだし、きっとあなたの歌声ならみんな引き寄せられると思う。
だから、解散したこと、解散したバンドのボーカルという肩書きを無くすために頑張ってね。
でも、ひとつ言うとね、
あの子の曲じゃないあなたの歌声には、あの子と同じ土俵で歌ってないあなたは、輝かないんだよ。
間違いなくあなたが輝いていたのは、あの子の曲だった。
あの子はきっと、あなたを理解して、認めて、「こいつはすごい。自分が引っ張らなきゃ」って、思って曲を作ってたんだよ。
君が泣いていようが、苦しんでようが、いつも君の最善の道を作ってたんだよ。
それに気づけなかった貴方には、世界は目指せない。
解散してなかったら、今頃世界一だった。
あなたを否定したい訳じゃないし、あの子が天才だったと言う資格もないけれど、

あなたはいま、何がしたい?

世界目指したい?ドラマの主題歌になりたい?

それとも、あの子のところへ戻りたい?

あなたはすごい。充分すごい。
けど、あなたの最前線は間違いなくあのバンドだったと、今なら言えるよ。

今なら歌姫、やり直せるかな。

もう一度、その時はなんて言おうかな。



あなたの最前線に出会えたことを誇りに思います。
あの子の元へ帰れとは言わない。
ただ、あの子とあなたがいれば、見えない道も夢も、ぜんぶ見れていたんじゃないかな。

「あなたの泣き声、気づけなかった。」
あの子にそう思わせ続けていいのですか。

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