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「頼ること」と「押しつけること」はちがう。
自立しようとする気持ちって大事ですよね。
自分でなんとかしようとしたり,責任感を持ってやり遂げようとしたり。
(ただ,これって,心の底からそう思えかどうかによるところが大きいので,軽い気持ちで大事だよねと言えることでもないのですが…)
でも,なんでもかんでも自分でできるようになるというのはちがうと思っています。
時には人に頼ることだって大事。
「頼ること」
会社の後輩が先日,やたらと残業が多くひとりで黙々と校正作業をしているので,何をそんなに時間をかけてやっているの?と聞いたら,
外注者さんが病気になってしまって,お願いしていた仕事ができなくなったので,自分で対応しているとのことでした。
どうして他の人に相談しないのかと聞くと,「これくらいのことは、自分でやらないとと思って」と返ってきました。
自己責任のような感覚が強いと,上司や同僚に相談するという選択肢がなくなってしまうんだなということに気づかされました。
「だれか他に外注者さんを知りませんか?」
「締め切りを伸ばしていただくことはできませんか?」
こういう相談ってしづらいんだな。と。
確かに,こんな状況だったら自分でなんとかしたくなるのもよくわかります。ただ,常にそれをやり続けてしまうと,体を壊したり,精神的にまいってしまったりと悪循環が続きます。
相談できる雰囲気でないという点で会社の責任も大きいのですが,やはり自分でなんとかしようとするスタンスを持ちながらも,人に頼れるようになるということは仕事をするうえでも,生活するうえでも大事な気がしています。
というか,それが自立するということだと思うんですよね。
「押しつけること」
一方で,頼りすぎる人もいます。
特に答えを求める人。全部をやってほしい。その答えを教えてほしい。と要求する人の場合,それは頼っているんじゃなくて,もはや押しつけているにすぎないと思っています。
そういう人の場合,要求にきりがなくなるため,押し付けられる側はどこまでも時間とエネルギーを消費させられることになります。また,要求に応えるのを断るとこちらが悪者になってしまうこともあります。
そういったことに自分の労力を使うのはもったいないので,
押しつけてくる人には,極力対峙しない。というのがひとつの対策だと思います。
しかし,部下や後輩にはそうもいえないので,その場合は,
「あなたはどうしたいの?」
「あなたはどうしたらいいと思うの?」
「あなたの答えをまず考えてきて」
と言って,まずは自分で考えるように促しています。
自分の答えをまずを用意してもらって,そのうえで相談にきてもらうという流れにしています。
頼る,頼られるってお互いに
「助けてください」「なんとかしてあげたい」
という気持ちがあってはじめて成り立つものです。
インドには,
「あなたは人に迷惑をかけないと生きられないのだから、他人の迷惑も許しなさい」という教えがあります。
「人に迷惑はかけるもの」という意識が多くの人にあるそうです。
とても素敵で,個人的に好きな教えでもあるのですが,
これも,基本的には自分でなんとかしようとする考えがベースにあってほしいなとも思っています。
人に頼ってはいけない。という考えは極端ですが,頼りすぎるのもまた問題です。だからこそ,お互いに思いやることが大切だし,頼る上での心得や頼られる上での心得を意識することが必要なんじゃないかという気がしています。