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【万博公園】 大学、翔んでニフレル

大学、大雨、大遅刻

 日本中に大雨が降ったこの日は、「バスの遅延」、「電車の遅延」、「サブリミナル腹痛」の3連ドミノであった。家を出た時は1限の始業時間に着くつもりだったのに、大学のトイレを出た時点で気付けば40分も遅刻してしまっている。

 また、その1限の授業も少し特殊なのである。大学の講師にしては珍しく、遅刻や欠席に厳しい。授業の途中、講師の気まぐれで教室の扉が施錠されることもある。また、授業の中では、日本の将来を憂う言葉が5分に1回は飛び出すので、聞いていて楽しくもない。

視界良好

 もういっその事、授業飛びたいなぁ、でも出席点デカいんだよなぁと思いながら、なんとなく大学の時間割を見て、思い出した。4限が休講だったのである。5限に出なければいけない授業があるのだが、もともと2限は授業が無く、3限は出なくても良い授業だったので、1限を飛べば、間にかなりの時間的な余裕が生まれる。

 こういう時は、飛ぶしかないのである。

 徐ろに地図アプリを開いて、大学の周辺を見回す。自分の気分をカウンセリングしながら目的地を決める。とにかく疲れている、癒されたい、人が多いところは嫌、もう人間は見たくない…

ニフレルや!

 ニフレルは、大阪府吹田市の万博記念公園にある商業施設「エキスポシティ」の敷地内にある、水族館、動物園、美術館を融合させたような施設である。開園は2015年と比較的新しい。

ニフレル外観 交通網を混乱させた雨雲はどこへやら

 私は物心ついたときからの関西人なので、開園したときから「行ってみたいな」とは思っていた。だが、なかなか機会に恵まれなかったので、来園は今回が初めてである。

特別展?みたいなやつ

 私が行ったときは「あなたも愉快な生きものだ!展」をやっていて、テレビCMもバンバン打たれている。この施設は、「何年か前に行ったからもういいや」が通用しない。チケットは現地でも買えたが、オンラインでも買えたので、そちらを選択した。大人が、ひとり2200円。絵画の美術展と変わらないくらいの値段設定である。私は思っていたより安いな、と思ったがどうだろうか。

自分と似てる生き物

 この特別展では、群れを成す魚は「集団行動が好き」とか、夜行性なら「夜型の生活」など、それぞれの生き物の性格を表すプラカードが設置されていて、自分の性格と似ている生き物を探すのが楽しい。

私と性格が似ている魚 有りえない色してる

 フロアの一角に展示されていたのが、「あなたはどんな生き物だ?カード」である。自分の性格を表すカードを4つ選択する。そのカードの裏面には、その性格を持つ生き物が書かれているので、その生き物にご挨拶しておこうという企画である。いわゆる自己分析というやつで、就活中(?)の大学生としては背筋が伸びる。

ニフレルHPより引用 「愉しみ方」が愉快の愉になっているのが良き
筆者が選んだカード 人として扱いにくすぎる

 2階に進むと、ホワイトタイガーの展示がある。ホワイトタイガーの名前は「アクア」というらしい。「ひとりが好き」で「夜型の生活」を送る彼とは仲良く出来そうだと思ったが、私は「声が大きい」やつは苦手なので、一定の距離を置かせてもらう。展示室には狭い水槽があって、魚が泳いでいる。その奥に陸地がある。私が展示室の前に着いたのを見計らったかのように、タイミング良くアクアが奥の陸地から登場してくれた。

 めちゃくちゃデカい。広背筋がえげつない。

虎視眈々と魚を狙うアクア

 アクアは出てきてすぐに水に飛び込んだ。魚たちからすれば大迷惑である。まさか食べられることはないだろうけど、と思ったが、そのまさかである。家族連れの観衆の前で、ちゃんと食べた。さっきまで展示物だったものを、アクアはちゃんと食べた。

初ビーバー

 今度は生き物と人とを隔たる壁が無い展示である。ここには、私が最も会いたい動物がいる。アメリカビーバーちゃんである。というのも、私は四人組バンド「スーパービーバー」の大ファンで、一度は本物のビーバーにお目にかかりたいと思っていたのである。ただ、ビーバーは私と同じ「夜行性」のようで、この日は家族揃って「河」の字で寝ていた。それもめちゃくちゃかわいい。

こういうのを斜に構えず心からカワイイと言えるようになったのは、自分が可愛くなった証拠

 家族といえば、この日は平日の昼ということもあって、未就学児くらいの親子連れをよく見かけた。ヒトの子供も、ビーバーの子供に負けないくらいかわいい。

 たくさんの生き物に癒されてミュージアムを出て、グッズショップに入った。こういうグッズショップは、本当に欲しいものが無い時もあるが、ニフレルはグッズのセンスもかなり良い。その中でもやはり、ビーバーのぬいぐるみは絶対に欲しかった。

 恥じらいも無く、レジにぬいぐるみを連れて行く。冷静に考えて欲しい。平日の昼、1人、ぬいぐるみを買いに来る男。

 「3500円以上お買い上げの方に、動物の絵柄がデザインされた、オリジナルデザインの液体のりをお配りしてます。絵柄は10種類くらいあるんですが、ランダムで選んでます。袋の中にお入れしておきますね。」

 店員さんは不透明の袋に入れた液体のりを少しこちらへ向けたあと、丁寧に紙袋に入れてくれた。

 液体のり、、、。令和に液体のり、、、?

またビーバー

 その後、向かったのは、ららぽーとエキスポシティ。施設の中をグルグル回って、空いてそうなところでお昼を食べようと思っていた。施設を歩いていると、ある看板が目に入った。

特設のデカ看板

実は、このららぽーととラジオ局・FM802のコラボ企画で、有名アーティストが多数参加する春のキャンペーンソングを作詞作曲したのが、先述したスーパービーバーのギター、柳沢亮太大先生なのである。

 Spotifyを開いて、そのキャンペーンソング「はなむけ」を再生する。

 「届けたいものは 笑顔になりそうなもの」

 「はなむけ」の歌詞の一節。周りを見渡すと、笑顔で溢れている。休日の余裕の無さに比べて、平日は余裕をぶっこくショッピングモールの顔が結構好きだったりする。

 言葉も、モノも、空気感も、良くも悪くも誰かに届いてしまう。どうせ届けるなら、笑顔になりそうなものを。

 家に帰って、ニフレルで買ったグッズを開封する。そういえば、シークレットの絵柄の液体のりを貰ってたっけ。開けてみると、ビーバーの絵柄だった。

 届けたいものは、笑顔になりそうなもの。そういう繋がりを大切にしたい。

もうちょっと写真撮るの上手だったら良かったのにね。でも上からのアングルが一番可愛いのよ。

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