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【パワプロ風能力】西田有志は実際どれくらいスゴいのか?

 高校生の時分にバレーボールと出会ってから、バレーボールが好きである。それまでチームスポーツは野球しか興味がなかったが、テレビでバレーの日本代表が試合をやっていれば見るようになった。

 ただ、思うのである。有名な選手以外、どんな特徴があるのか分からない!もうちょっと分かれば、選手交代の意図とかも分かるのに!

 野球における打率や防御率のように、成績というのは長くその競技を見ていないと感覚的に良いのか悪いのか分からなかったりする。 

 ただ、私は野球を部活などでやったことはないが、「プロ野球スピリッツ」や「パワフルプロ野球」をプレイし、選手の特徴を覚えた。

 高校では周りの人間が「ウイニングイレブン(現:eフットボール)」や「FIFA」のスマホゲームでオンライン対戦をしているのをよく見た。

 そういったゲームから選手のことを知るという人も多いと思う。

 バレーボールはどうか。ゲームはあるのか。ハイキュー界隈しかない。

 だから、SVリーグの選手を知りたいと思っても、
・現地に見に行ったり、スーパープレイ集を見たりして、「なんかスゲえ」と思う
・記事やテレビの特集を見て「なんかスゴいらしい」と思う
 これ以外に選択肢がない。

 だったら作ろうと思った。バレーボールをもっと面白く、分かりやすくするツールを。

ここから先は数学のややこしい話も多いので、「分からん!」となった方は、目次の「この計算によって弾き出した能力」まで飛ばしてもらって良い。

評価する能力

 バレーボールのプレーの一連のフローを考えると、評価すべき能力が見えてくる。

バレーのプレーフロー
 サーブ→レシーブ→トス→アタック→(ブロック)→レシーブ→…

 セッターのツーアタック(レシーブされた球をそのままアタックする)などの例外こそあれ、基本的にはこのような流れである。

 よって、評価する能力は、「サーブ」、「レシーブ」、「トス」、「アタック」、「ブロック」とする。

ポジションごとに必要とされる能力

 バレーボールにはいくつかのポジションが存在する。そのポジションごとに主に必要となる能力も違うので、一覧にしておく。

オポジット (攻撃専門)
 サーブ、アタック、ブロック
アウトサイドヒッター (万能)
 サーブ、レシーブ、トス、アタック、ブロック
ミドルブロッカー (前衛)
 サーブ、アタック、ブロック
リベロ (後衛)
 レシーブ、トス
セッター (トス役)
 サーブ、トス、ブロック

 「セッターはアタックをしない」とか、「オポジットはレシーブをしない」と言っているわけではない。あくまで、「評価するのに十分な成績のサンプル数がない」のである。サンプル数が少ないと極端な評価になりやすいので、これを除外しているのである。

評価の算定方法

 選手の能力を評価する基準として個人成績を用いるが、「アタック決定率が60%」と言われたところで、アタック決定率の相場がどのくらいで、この選手がどんな立ち位置なのか非常に分かりづらい。なので、私は独自に作成した「バレー偏差値」を使うことにする。

 私は統計の専門家ではないので、ざっくり説明する。
 偏差値とは、「テストなどにおいて、平均点を50、標準偏差を10したとき、平均からどのくらいの差があるか」を示す値で、標準偏差とは、「テストの平均点に対して、全員の点数にどれくらいのばらつきがあるのか」を示す値である。

 偏差値は、良くて70、悪くて30、くらいの漠然としたイメージがあると思うが、これは別に固定ではない。計算式をイジれば、良くて100、悪くて0のような極端なものを作ることもできる。

 私は、「バレー偏差値」を以下のように設定した。
・規定到達者の平均成績は偏差値60になるようにする。
・シーズン別成績で歴代1位の成績が、偏差値100となるように調整する。
・対象となるデータは昨季(2023ー2024シーズン)の1年のみ。
・昨季Vリーグでプレーしなかった選手の能力は、ネーションズリーグ2023の成績で別に評価する。

 つまり、ある能力が「バレー偏差値」60ならば、レギュラー級。70ならば主力級。90を超えれば歴代最高レベル。逆に、60を下回る場合は、レギュラークラスの平均的な選手に比べて引けを取っていると言える。

サーブ

 「サーブ効果率」という指標を用いる。

 「サーブ効果率」とは、サービスエースやサーブミスだけでなく、レシーブされたものの相手のチャンスにさせなかったサーブを「効果」のあるサーブとして成績に加味したものである。

レシーブ

 レシーブと一言に言っても、「レセプション」と「ディグ」がある。「レセプション」はサーブレシーブのこと、「ディグ」はスパイクやフェイント攻撃などのレシーブのことである。男子日本代表のリベロ・小川選手(ジェイテクト)は、レセプションが得意で、山本選手(大阪ブルテオン)はディグが得意という差があったりする。

 SVリーグの公式サイトに載っている成績は、「サーブレシーブ成功率」つまり「レセプション」しかない。よって、これをレシーブ力として採用する。(本当は分けたい…)

トス

 トスの評価は本当に難しい。SVリーグの成績には、トスを評価するものが一つも無い。なので、仮にセッターは80、リベロは70、アウトサイドヒッターは60とする。

アタック

 「アタック決定率」を用いる。アタックには、スパイクやフェイントなどがあって、この値が高ければ単に強打を打てるということではない。より得点能力の高い人がこの数値が高い。

ブロック

 「1セットあたりのブロック決定本数」を用いる。ただ、バレーの試合におけるブロックの得点の割合は少ない。つまり、サンプル数が少ないので、年度ごとにばらつきが大きくなる。なので、改善の余地がある指標である。

総合評価

 総合評価については、各能力の平均を総合力として設定しようと考えていたが、これではリベロのような専門ポジションの選手の数値(レシーブとトスの平均)が、アウトサイドヒッターのような万能ポジションの選手の数値(5能力の平均)に比べて高くなりやすくなってしまう。

 なので、「各能力の平均」に「各能力を20で割ったもの」を足し合わせることで調整することとした。これによって、アウトサイドヒッターの「万能感」を能力値に加味することができる。

この計算によって弾き出した能力

 さて、極度の物好きしかやらないような地道な計算の末に弾き出した選手の能力をご紹介しよう。(主に日本代表の選手)

西田有志(大阪ブルテオン)

 サーブ76、アタック76、ブロック64で、総合値は83。補足しておくと、各能力の数値は歴代最高レベルを100、主力級を70、レギュラー級の平均を60とした時の値である。

 西田選手はワールドクラスのオポジット、ビッグサーバーと評価されるだけあって、サーブとアタックの能力がとても高い。他チームのオポジットの選手と比較してもトップレベルの攻撃力のある選手である。

 それっぽい能力値を引き出すことができたので、私もご満悦である。

小野寺太志(サントリーサンバーズ大阪)

 サーブ61、アタック81、ブロック73で、総合値は83。

 パリ五輪でも日本代表のミドルブロッカーとしてプレーした小野寺選手の評価は上の通り。サーブこそ西田選手に劣るが、アタック、ブロックの数値が高い。

 全体的に、アタック決定率はミドルブロッカーが高い傾向にある。この原因は、攻撃面においてオポジットやアウトサイドヒッターは打数が多いサイド攻撃を担うのに比べて、ミドルブロッカーは不意打ちの速攻を担っている点にあると考えられる。

富田将馬(東レアローズ静岡→大阪ブルテオン)

 サーブ66、レシーブ80、トス60、アタック53、ブロック56で、総合値は77。

 富田選手は、日本代表のアウトサイドヒッターとして、前回のネーションズリーグにも出場。石川祐希が後衛に下がった際の守備固めとしての出場が多かった。上の評価を見ても、レシーブの能力が高いのが分かる。

仲本賢優(大阪ブルテオン)

 サーブ54、レシーブ68、トス60、アタック90、ブロック51で、総合値は81。

 仲本選手は日本代表候補にも選ばれた選手で、能力値を見ても、良い選手だと分かる。とりわけ攻撃力が高く、先に紹介した富田選手とは違うタイプのアウトサイドヒッターであることが分かる。

まとめ

 いかがだっただろうか。選手の特徴がより視覚的にかつ俯瞰的に分かるツールを作ることができたと思う。

 今回は数人の選手のみを紹介したが、今後、各チームの選手の能力値を一覧にして紹介する記事も上げようと思っている。

 この能力表を見ながら、現地やテレビでバレーボールを観戦し、選手一人一人の強みやそれを活かしたチームプレイを体感して楽しんでほしいと思う。

おまけ(その他の主な日本代表選手の能力)

高橋藍(サントリーサンバーズ大阪)
※ネーションズリーグの成績に基づく
※特別扱いで「トス」は60→70に変更
山内晶大(大阪ブルテオン)
高橋健太郎(東レアローズ静岡→ジェイテクトスティングス愛知)
宮浦健人(仏リーグから復帰→ジェイテクトスティングス愛知)
※ネーションズリーグの成績に基づく
山本智大(大阪ブルテオン)
小川智大(ウルフドッグス名古屋→ジェイテクトスティングス愛知)
関田誠大(ジェイテクトスティングス愛知)
※特別扱いで「トス」80→90
深津旭弘(東京グレートベアーズ)

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