清潔な味 | ソウル食い倒れ旅 前編
清潔な部屋、清潔な服。
「清潔」の用途ってたかが知れていたけど、私はソウルで初めて「清潔な味」に出会った。
ソウルに行ったら食べたいものがたくさんあった。それは雑誌POPEYEのソウル特集を手にしたから。
そこには、魅力的な料理の写真と食べたくなる文章が所狭しと並べられていて、雑誌を開いては韓国料理への思いを募らせていた。
ソウルではそんなPOPEYEさまさまを持ち歩き、空腹の時間がないほど食い倒れる予定!!が、実際はそんなに思い通りに行かず、帰国後から今の今まで常にリベンジ欲に燃えている私のソウル滞在期をここに綴りたいと思います✨
(追記:思ったより長くなってしまったので、前編と後編に分けました。画像アップロードしたらガビガビになっていてしおれています。)
1.【MAA】信頼の味・信頼の店主
ソウルに行ったら絶対に行くと決めていた店。1番行きたくて、そして1番教えたくない店でもある。
こちらはPOPEYEに紹介されていた【OLEMUS】の姉妹店。(OLEMUSは新店舗のMAAのため現在は休業中)
OLEMUSは「味のワンダーランド」と平野紗季子さんに言わしめたお店で、そんなお店の店主が作るスイーツはどんなものだろうと興味津々で向かった。
ラズベリーのソースがとても濃厚で、「借り物じゃなくて本物だ!」って思いました。
もともとラズベリーは好きだったけど、こんなにラズベリーって美味しかったんだ!新しい発見をした気分だった。
甘酸っぱいいちごとクリームに、こんなにカルダモンを浴びることってないと思うくらいの贅沢な量のカルダモン。間違いなく美味しかった。
どうです?写真とメニュー名だけで絶対に美味しいと思いませんでしたか?Yes!すごく美味しかった!
OLEMUSは、韓国留学していた前田エマさんもHanakoで絶賛していたので、激混みしてたらどうしようと思っていたけど、実際行ってみると雨の日と時間帯も相まってか、店内には私たちともう1組しかいなかった。
静かな店内、外から聞こえる雨音。
MAAには雨が似合う。
「1番教えたくない店」ってのは、お客さんが増えてがやがやして欲しくないという、なんともわがままな理由...。この美味しいお菓子を、あの静かな空間で食べられた、という体験が凄く良かったから。
注文の時しか話さなかったけれど、それだけでも伝わる店主の優しい雰囲気が店内に漂っていて、それはスイーツの味にも現れていた。
インスタに投稿される新スイーツが全部「絶対美味しいに決まってる」メニューで、とても信頼できる。次ソウルに行った時も絶対に行きたい。OLEMUSの再開にも期待。
住所:ソウル特別市 西大門区 延禧洞 433-6
Instagram:@kaunis.maa
2.【THANKS BOOKS】韓国の本はここで買う
海外に行ったら現地の雑誌やZINEを見てみたいと思っていた私にとって、POPEYEに「本好きが信頼を置く人気店」として紹介されていたここはうってつけだった。
小説、イラストレーターによる作品集、グッズ、ZINE、雑誌。たくさんあった。本を読めるようにスタンディングテーブルも置いてあった。良いなと思った本だけを置いているんだろうな。
でもね、全然わからない。何が書いてあるか全然わからない(笑)
ハングル自体は読めるけど、文章がすらすらと頭に入ってくるほど韓国語の勉強をしていないので、良さそうな雑誌を見つけても全部暗号に見えてしまって...。
その困難や手間暇を乗り越えてでも読みたい!という気持ちが自分にはまだなかったので、結局何も買わなかった。
韓国語の文章を理解できたその日には、ここで本を買えたらいい。
住所:ソウル特別市 麻浦区 西橋洞 399-7
Instagram:@thanksbooks
3.【スジョン粉食】日本とは違う味
韓国の冬ってすごく寒いって聞きますよね。
寒すぎて凍ってしまったソウルに流れる川、漢江の上を猫が歩いてるってニュースのミームがあるくらい。アイスを店の外で売っても溶けないってくらい。日本よりも格段に寒いソウルの冬。
でも、次はそんな冬に行きたいってチャレンジャー精神が今生まれてる。それはここのカルグクスの美味しさとありがたさを身をもって体感したいから(!)
ソウルにたくさんある市場の中で向かったのは広蔵市場。市場の通路の真ん中に、どーんと屋台のような形で飲食店が点在している。ここ【スジョン粉食】も同じ。カウンターにずらっとお客さんが座り、目の前で料理が次々と作られるのをみんな、膝を揃えて待っている。
と書いたら、静かそうな雰囲気が伝わってしまいそうですが、訪れたのはお昼の時間帯だったのに、屋台周辺はみな、「軽く1、2杯引っかけてきました?」と言わんばかりの賑わいだった。
そんな賑わいの中で、彼らと肩を並べ席に座り食事ができたこと、なんだか嬉しかった。そわそわしたけど現地の人と同じ視線でいられた気がした。
ここで食べたのは、日本で言ううどんのようなカルグクスと、餃子のようなマンドゥ。
すごく優しい味。体に染み渡る。日本のうどんは、鰹節や昆布、煮干しなどの出汁だけど、こちらの汁は違って、なんか、こう、、わからないけど(諦めた)、日本の出汁とはまた違った優しさだった。
あと麺ね、麺。こちらの店主がその場で麺を伸ばすところから作っている。
ふと顔を上げたら、そこには手元ではなく外の通りを見ながら麺を切るノールックオモニがおりました。(POPEYEにもノールックで切るわよ〜って書かれてた、笑ってしまった)
この優しくて染みる味は、冬の凍てつくような寒さの中では、それはそれはもう暖炉のような温かさをくれるのだろうと思う。
肉入りとキムチ入りの2種類、これがすごく美味しかった〜〜〜目玉出た。
餃子のような感じだけど、あの美味しさはなんなんだろう?「次の日にまた行ってやろうか」と思うくらい感動した。
冬になったら、みんな鼻や耳を赤くしてさぶ〜〜と言いながらこの席に座るのかな、と想像した。それ、私も体験したい。
でも、ビビンカルグクスとか、ヨルムネンミョンとか、辛くて冷たい麺も食べたいな〜〜。何回行けば良いんだ。
住所:ソウル特別市 鍾路区 礼智洞 2-1
4.【美しい茶博物館】空間も味も綺麗な店
店名にまず惹かれるこちらのお店、POPEYEではなく、Hanako Webにて、前田エマさんが訪れていた記事を見て知りました。
韓国名は【아름다운차박물관】
아름다운という部分が、日本語で美しい・綺麗という意味で、この아름다운(アルムダウン)って言葉が個人的に好きです。響きが澄んでいて綺麗だな〜と思うし、意味もその印象通りで。
だから、この言葉を店名に冠していること、そして圧倒的紅茶派の私、期待大で向かいました。
紅茶を使ったかき氷に、コンデンスミルク、クルミやアーモンドなどのナッツ、餡。
↑もう美味しい。この説明だけで幸せ。
紅茶のかき氷、紅茶のクッキー、紅茶のケーキ。紅茶のお菓子ってだけで食いついてしまうモンスターこと私、絶対に頼むと心に決めていた。
紅茶のかき氷に餡ってあまり見ない組み合わせな気がするけど、この餡が粒が残りながらもとろっとしていて美味しかった〜〜〜そこにナッツとコンデンスミルク、間違いない、幸せになることが決まっている。
見た目の生地は白く、かぼちゃの黄色はどこにも見当たらなかったけど、口に入れるとかぼちゃの味がするから、その裏切りは美味しさを加速させるよねと心の中で思った。
(かぼちゃ以外にもさつまいもがあって、韓国語でさつまいもは고구마(コグマ)。可愛い。)
「胡麻」に惹かれて頼んでみたら、出てきたのは真っ黒!餅が見えないくらい真っ黒な餅!
このお餅が柔らかすぎず堅すぎず、ちょうど良い。つきたてのお餅みたい。でもびよ〜んと伸びることはなくて、あくまでもちもち。柔らかさが絶妙。すりごまの香ばしさ。
こういう胡麻の餅って食べたことあるから、食べる前にある程度味の想像ができてたんだけど、その想像を超えて美味しくて。
そういう想像を超えた味ってなかなか出会わない。だから出会えた時ってすごく嬉しい。初めてのソウルは想像を超えた味に出会えたことが多かった。
そしてそして主役、紅茶。
私が頼んだ紅茶の名前を覚えていなくて、メニューの写真撮りゃ良かった〜って後悔してるんですが、王道のものを選んだ気がします。出てきたのがこちら。
テーブルに運ばれてくると、店員さんがパフォーマンスしてくれるんですよ。
最初に淹れたお茶を茶器の上からかけて、隙間の空いた下の台に流れていった。
せっかく淹れたお茶が目の前で何の迷いもなく流されるのを見た私は、教科書のように分かりやすく驚いた反応をしていたと思う。
店員さんの所作に目を奪われて、「これが中国式の淹れ方なんですよ〜」という彼女の言葉に興味津々だった。詳しい工程は、もう、覚えてないけど(小声)、いくつかの工程を経て丁寧にお茶を淹れてくれました。
香りが豊かで、でも味はすっきりしてくどくなく、飲みやすかった。紅茶は豊かな飲み物だなあ、と思う。
人が淹れてくれたお茶ってだけで嬉しいのに、その綺麗な工程を見せてくれたから尚更嬉しくて、ここの紅茶は私に背筋の伸びるような思いをさせた。
どうでしょう!「美しい茶博物館」の名にふさわしい紅茶とお菓子たちですよね!!!👏
時間帯にもよると思うけれど、私が訪れた平日の18時はお客さんの数が程よく、ゆったりとした時間を過ごすことができた。店員さんは少しの日本語を話しながら丁寧にメニューの説明をしてくれて、お店に流れる時間の穏やかさも相まって、韓国という異国のお店にいることを忘れてしまった。
博物館、というだけあって紅茶が鉱物や標本みたいに瓶に入れられて展示されていた。すごく、綺麗だった。結構、というかかなり良いお値段がして買えなかったのだけど、紅茶が好きな方には一度足を運んでもらいたい。きっと楽しめるし満たされた気持ちになると思う。
住所:ソウル特別市 鍾路区 仁寺洞 193-1
ここまでが前編です☑️
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます...!
カフェMAAのスイーツ、広蔵市場のカルグクスとマンドゥ、美しい茶博物館の紅茶とお菓子。そのどれもが優しい味だった。くどさなんてなくて、澄んでいて、店主の優しさをすごく感じました。
この記事のタイトルにあるように、ソウルで出会った味が「清潔な味」だと気づくのは、後編にて!
今回ここに書いたお店は1日で全て回りました。ちなみに胃袋は、まだまだ余裕でした✨
後編は、食に加えて、建築とソウルの街並みについても少し書きたいと思います。ではまた〜。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?