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競馬大学補講:エフフォーリアに見る競争馬の加齢と引退

馬は「賢く」なったら引退です。体力的なものよりも、
精神的なもので引退する馬が実際は圧倒的に多い。

馬は好きで走ってるように
人間中心の解釈をする人もおられますが、
実際ずっと馬の世話をしてみれば分かりますが…

というか…そういう経験のない人でも
人間に当て嵌めれば当たり前かも知れませんが…
馬は嫌々走らされています。
馬が走るのが好きだというは、
自由に自分だけで
好きな時に走るのは好きな馬も多い
ですが
重い荷物(人間)を乗せて、
無理矢理競争させられるのが
好きな馬なんて殆どいないと思います。
(最終的にはゼロ)

人間に置き換えて考えてみると分かりやすいです。

人間は考える葦である。
人間は知性の生き物だから
人間は勉強が好きだろう。
という
馬に対する偏見と同じ偏見が
人間に対してあるとします。

それでその知性を試す競争…
つまり
中学高校大学入試に置き換えて
考えると非常に分かりやすいです。

人間でも入試が好きな
受験勉強が好きな人って
ごく稀です。
特に賢くなって視野が広くなると
しんどくなる
集中できなくなる
他のことがやりたくなる。
これは馬の競馬と全く同じです。

自我の芽生えてない
中学入試は
親に言われる(馬で言うと騎手に
言われる)から
勉強をゲーム感覚でも
なんでもやって頑張れますが

これが競走馬でいうと2歳から3歳
(笑)

自我が芽生えて賢くなると
受験勉強なんてくだらない
勉強、学問と言えるのか?
他のことをやりたい
自分には合ってない…等々
邪念が入るのです。
「賢く」なってしまった(笑)
人たちは。
受験勉強を真面目に
やらなくなります。

これで
やらなくなるのは
引退しないといけない競走馬です。

もしくは仕方ないからやる
人生の何か目的のためであったり
当面いい大学に入っておいた方が
選択肢が広がるだろうかと
自分を騙して楽しいものだと
自己暗示をかけて頑張る。
→これが
古馬になっても頑張るタイプです。
でもやがて限界がきて
受験勉強以外の楽しいことをしたく
なります。
これが競走馬の引退。
受験生の引退です。
(医学部受験の多浪生を見ていると
よく分かります。)

本当は馬は走りたくない。
人に追われて、重い荷物を背負って。
人間の入試と全く同じ
知性を持った動物だからって
皆が入試が好きだと思ったら大間違い。

それを人間の競馬という遊びのためのエゴで
馬の習性や性格を利用して競争に向かわせているんです。

周りに馬がいたら闘争本能をだす馬
後ろから他の馬に追いかけられたりすると逃げようとする馬
恐怖を与えないと走らない馬
各々の方法で競争のスイッチが入ってある一定期間
本気で走る。
そうやって競馬は成り立っているんです。
人間都合で。

このそもそも競馬で走りたい馬なんていない
ということを理解しおかないと
大変な間違いが生まれると思います。
馬にとって競馬で走るメリットなんて
何もないですよね?(笑)

競馬の予想においては特にそうですが
この馬なんで走らなかったの?
っていう原因の1つとしてメンタル問題は
かなり大きな問題としてあります。

競馬の話に戻していくと

追い込み馬を展開が
向くからとかいう人間の都合で
いきなり逃げさせたりしても逆効果。
ある程度やる気が出たら
(今日は走らなきゃいけないという諦めがついたら😁)
動き出す方が絶対いい馬もいます。
一頭で気分良く走る方が
やる気スイッチが入る馬もいる。
それぞれ個性と年齢による賢さの変化
によって
とるべき作戦は異なります。

馬が競馬を分かってきてしまうと
本当に厄介なことが始まるんですが。
人間が騙して走らせているので。

時々ネットで色々な書き込みを見ると
馬をバイクや車感覚で
書かれる方がいますが
それは大きな間違えです。
人間が指示を出して
馬が反応するまでに
馬によって
個々にタイムラグが違いますし
言うことを聞かない馬もいる。
バイクのようにハンドルは切れないですし
バイクと違って
レースをやめようとする馬
引っかかってしまう馬
色々いるんです。
それを誤魔化し誤魔化し
騎手があの手この手で
やる気を保たせて
ゴールさせる
それが競馬なのです。

馬の気持ちを無視するのが
最悪の騎乗で
私はそれが1番嫌いです。
そもそも嫌なことをさせてるのだから
せめて気分良く走らせてあげてくれと
思うのです。

年をとって馬がズブくなるというのは
「賢く」なって
走りたくないなあっていう
気持ちが増すということです。
そして段々人間を騙すというか
本気で走らなくなってくるんです。
嫌気がさしてきて。
それが引退時期を早めます。
加齢で体力的に筋力的に走れない
というよりは
精神の問題が先にきます。
大体の馬は七歳八歳までは
筋力的には問題なく走れます。

先日行われた宝塚記念でいうと
パンサラッサも人間都合で
逃げ馬をやってますが…
本当に毎回走るのが嫌になってきて
なかなか前に行かなくなってきてるのが
分かると思います。
押して押してタイトルホルダーが待ってて
くれて(笑)やっとハナにいく…
これはもう嫌なんです。
あの逃げて
心臓がバクバクになって苦しい思いをするのが
嫌なんです。
だから行きたくない。
でも逃げさせられる
もー嫌だけど
行くしかないーーーって
パンサラッサは引っかかるんです。
それを急に騎手に抑えらても
言うことを聞く訳はないです。
馬としては決死の覚悟で走り出したので。

エフフォーリアも
急に足が遅くなったわけではなく
走ること自体に嫌気がさしてる。
大阪杯で分かりました。
これは大変だぞ……と私は思いました。
人間は自分を納得させる理由を
適当につけたいので
コースの不適性
輸送が苦手
早熟……
なんて
勝手なことをいいますが……。
そんな問題ではないです。
エフフォーリアの場合。

メンタル面
私はこれは重症だなと思ったので
当然宝塚で本命なんて
打てないのです。
八分九分凡走するだろう
とは思っていました。
ブリンカーを付けたって、騙されないぞと
馬は思ってると思いますし
そもそもなんで調教からつけたの?
って私は思います。
レース当日
急につけて
馬を騙すから効果があるのであって
エフフォーリアくらいの賢い馬になると
調教でブリンカーが効果があったって
喜んでるのは
人間だけで
次は(レース本番)は騙されてはくれません。
馬鹿な馬なら効果があるのですが。

この全てのリセット
嫌な競馬を忘れさせるのが
放牧の大きな目的だったりもします。
しばらく間隔を開けることによって
嫌な競馬を忘れさせて
また走らせる。

人間が歯医者や病院で痛い思いをしても
また間隔があけば
痛みを忘れて歯医者や病院にいけるのと
同じです。

ただ、これも年齢を経るにつれて
馬が賢くなるにつれて効かなく
なってくるんです。
そして賢い馬はレースで力を
抜くことを覚える。
人間に駆り立てられ
恐怖で走っていた競馬が
実は本気で走らなくても
特に嫌なことは起きない
ということが分かってしまうんです。
ステイゴールドなんて
賢い馬で
ちょっと本気で走ったら
あとは馬が遊んで全く本気で走っていません
でした。競馬を分かってしまっているんで。
でも海外に連れてかれた時は
初めての飛行機……諸々で
競馬とわからない内に走ってしまうので
全力で走って勝ってしまうんです(笑)

エフフォーリアが
今後復活できるかは
エフフォーリアに上手く競馬を
忘れさせることができるか?
騙せるか?ということです。
それができれば、また少し誤魔化しが
効くかと思いますが
もうメンタル的に引退が近づいている
ことは確かです。

欧米の競馬では
この馬のメンタル面は
非常に重要視されています。
映画「シービスケット」で
シービスケットは他の馬と目が合うと
やる気をだす
みたいな描写があって
それに合わせた作戦がとられています。

日本でも
田原成貴騎手が
逃げ馬だったマヤノトップガンを
「馬が前にいきたくない
そういう気持ちになってる」
ということで
当時はマスコミから非難を浴びましたが
追い込み馬に替えて
というか
馬の1番気分良く走る状態で走らせて
天皇賞春では
誰もが驚く見事な追い込みで
サクラローレル以下を差しきりました。
田原騎手は本当に
馬の気持ちを第一に乗る騎手で
それが時に奇抜な作戦に見えますが
非常に理に適った
素晴らしい騎手でした。
人間都合で決めた脚質なんて
完全に無視して
馬とのコンタクトの中で
乗り方を決めていく
それが数々の奇跡の勝利を生んだんだと
思います。

私も
馬の気持ちを考えず
前半急かさない方が
いい馬を
馬場が有利だとか
展開だとかで
強引に人間都合で乗るような
騎手が本当に嫌いです。
結局そういう競馬は負けるのですが。

馬と身近に触れあったことが
ない方は
競馬は脚の速さ
持ちタイム
対戦相手との戦績
コース適性
血統……諸々で決まると
思われる方が多いのですが
実際は
馬のメンタル面というのは
非常に競馬に大きく影響するんです。
人間のごり押しで
いつも作戦を決めて乗ってた馬が
もう諦めて馬の自由に走らせて
展開が向いたら勝ってしまったとか。
逆に
いかに欺し欺し乗るかが大切だったり
とか。

鞭を嫌がる馬もいれば
真っ直ぐ走りたくない馬もいる
大外のラチ沿いに行きたい馬もいれば
レース途中でやめたくなる馬もいる
実際は
全ての馬が競馬で全力で走れてる
わけではないので
毎回着順が変ったり大穴があいたりするんです。
このメンタルを読むのは
本当に難しいというか
無理なのですが

私はこの馬はこういう作戦で
乗ったら走るのでは?というのは
常に考えていて
その通り騎手が乗ってくれると
本当に大穴をあけて
高配当をとれることがあります。

それが的中としては1番嬉しいですが
実際……
騎手の方が何も考えて無いというか
その馬のことをあまり考えてない
出走馬全馬だったり自分の馬の研究が足りなくて
適当に乗られるケースが非常に多くあります。

そして
その馬に絶対やってはいけない
作戦や乗り方をされると
流石にそれはカチンと来ます。
騎手もプロなんだからしっかりやってくれと
思います。勿論、調教師等にそう思うこともあります。
ある馬の1番いい条件に使わない
よく分かってない調教師とか。
それは馬が可哀想。

話は逸れましたが
エフフォーリアの復活については
非常に難しいところに来てると
思います。
馬が賢くなってるので。
これを
まずは放牧で遊ばせて
いかに競馬を忘れさせられるか
嘘でもいいから
走るのって楽しいよって
錯覚させられるか
これに全てはかかってると思います。
調教の動き云々は
もう気にする馬でもないです。
走れば皆強いのは知ってる。
要は当日
エフフォーリアが
どういうメンタルで走るか
これに尽きると思います。
武史ちゃんが悪いわけではないですが
多分馬もこの人が乗ったら競馬
みたいなことは分かってるので
騎手を替えてみるというのも
一つの作戦かも知れません。
上手い下手ではなくて
そういう効果も乗り替わりにはあります。

もういずれにしても
引退と隣り合わせの局面にきてると
思いますが。

馬に催眠術がかけられたら……
うまくいくのですが

ご聴講ありがとうございました!
このような内容に興味のある
競馬、馬初心者の方は
現在第三講まで進んでいる下の講義を
どうぞ、です


(おしまい)



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