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熊、立て籠もり。


 昨日ネットを見ていたら、スーパーに熊が居座って出ていかない、精肉売場を荒らされて肉が残っていない!とのニュースが。

 おおお。
 これ、実は私の地元でね。秋田県なんだが、実家からは車で20分ほどの場所なんだ。

 人間の食事の味を覚えてしまった以上、処分は止むなし、と私は思う。

 秋田県鹿角市には「スーパーK」という熊がいてね。
 ツキノワグマなので人間は食べないはずが、なんの間違いか人間を襲い、食べてしまった。
 結果、4人の男女が亡くなったんだよ。

熊は一度、味を覚えると同じものを食べたがるというよね。 その二の舞は避けなくちゃいけない。


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 何年か前に「熊嵐」(吉村昭)という本を読んだのね。 それはいわゆる北海道の「三毛別ヒグマ事件」をベースにしたノンフィクションでね。
 
 内容としてはなかなか残酷で血腥いものなので、ここには書かないけど、この自然が人間の世界を侵食しつつある現代、もう一度、今こそ読まれるべき本であると私は思う。

 特に「熊の駆除反対!可哀想だ!」など叫んでらっしゃる方には是非とも読んでいただきたい。
 きっと違った世界が見えると思うし、刺激的な読書体験になるよ!

 ヒグマの事件はまだある。 そう、あの有名な「福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件」ね。 これは書籍化されていないけど、なかなか鬱になる内容だ。ひどい。

 私も登山や山菜採りの経験は多少あるのだけれど、これは本当に身に積まされた。
 とはいえ、熊にはまだ遭遇してないんだけど。


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 今回のスーパーに熊立て籠もり事件は、人間による「根曲がり竹」(山菜)の乱獲が原因かもしれないとのことだった。
 熊たちが冬眠前に食べるものがない、その結果として人里に降りてくる。

 根曲がり竹は各地で食べられている山菜で、タケノコを細長くしたようなもの。
 私の実家では煮付けに入っていたり、お味噌汁に入っていたりしていた。
 そんな庶民的な食べ物だったんだけど……

 いつからか、それが急に高級食材になった。
 水煮にしたあと、瓶詰めや缶詰めにすると高く売れると。

 昔は山菜採りに行ったら「採り尽くさない」が不文律だった。
 食べられる分だけ、一芽は残す、踏み荒らさない、それは今も守られているのだろうか。

 お金欲しさに深く山の奥へ分け入った結果、遭難してしまう人も多いと聞く。
 拝金主義のもたらした波及効果はたちどころで、人里どころか深山にまで及んでいる。
 もうそれはブーメランで私たちのところに返ってきているといえるんじゃなかろうか。
 だからといって、田舎の爺ちゃん婆ちゃんを責めることはできないけどね。
 彼らも熊も、拝金主義の犠牲者だから。

 かといって、シーシェパードみたいな環境活動家や、駆除反対派が正しいとは私にはどうしても思えない。
 彼らに一度、聞いてみたいんだよ。
 あなたの家のインターホンを、お腹をぺこぺこに空かせたヒグマが押したらどうしますか?ってね。
 その身を捧げると迷わず答えて実行するならば本物の思想家だ(その答が正しいかどうかはまた別としてね)
 安全地帯から高みの見物で正義を気取るのは誰にだってできる。
 それこそが卑怯者だ。

 そういう例は他にもたくさんある。
 魚でいえばニシンがそうだ。あまりに乱獲が進んだ結果、今ではあまり食卓に上がらなくなった。ハタハタもそう(ただ、大分数としては回復傾向にあるらしい)
 そのうちにサンマもそうなるんじゃないかな。

 私たちにできることは、はっきり言ってあまりない。
 ただひとつあるとすれば「分をわきまえる」ことくらいだと思う。
 いや、わきまえざるをえなくなるのかも。このままだと。それもいいか。


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 先ほどの熊立て籠もりの件。
 まだ熊は立て籠もっているらしい。

 さっさと銃でも撃って追い出してしまえばいいのだけれど、住宅地では銃は撃てないのだそうだ。
 環境省が法改正を検討しているらしいけどね。

 やれやれ、困ったもんだね。
 安全を守るために作ったはずの法律が、今度は自分たちの手足を縛ってる。
 不謹慎だけど笑ってしまうよ。
 なんだ、それともこの熊はそれを知っててのこの振る舞いなのか。

 法律、つまりは人間のつくったルールで縛れるのは人間だけなんだ。
 熊には法律は関係ない。お金も税金も関係ない。

 人間、あまりつけ上がると「自然」にその鼻先をへし折られることになるぞ。
 人間は「自然」のなかに生きる、ただの生き物でしかないのだ。食物連鎖の頂点でもなんでもない。
 それが証拠に人は熊に食べられているし、現状、スーパーに熊はまだ居座っている。

 きっとこれから経済活動は縮小する。人口だって減る(移民を入れなければ)
 でもそれでいい。
 私たちは大きくなりすぎた。

 とりあえずは、熊よ。もうお腹は膨れただろう。
 地元の人たちも買い物したいだろうから、山へ帰ってくれよ。
 頼むからさ、分かってくれよ。

 私たちは途方に暮れているんだよ。

 
 

 

 

 
 
 

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