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東山魁夷『年暮る(としくる)』 京都の四季を描いた名作

東山魁夷『年暮る』

文豪の一言から生まれた連作

京都の四季を描いた連作『京洛四季(けいらくしき)』シリーズ。
東山魁夷ファンなら誰しもが知っている京洛四季シリーズは東山魁夷と親交のあった文豪・川端康成のある一言から生まれたと言われています。

「京都は今描いといていただかないとなくなります」

この言葉の意味合いには、都市の発展や開発によって徐々に失われてしまうであろう当時の思い出の景色を描き、後世に残してほしいという思いがあったのでしょう。
私たちの世代でも、幼少の頃と今とでは街並みががらりと変わったことを実感させられます。
便利な世の中になったのも良いですが、今よりも不便ながらも楽しい日々を送っていた当時のことも、改めて思い返してみると良い時代だったなと思えてきます。

東山魁夷『年暮る』

京洛四季シリーズの締めくくりの作品

東山魁夷が昭和43年(1968年)に発表した、京都の四季折々の風景を描いた連作画の冬の景色を描いた作品が今回ご紹介する『年暮る』です。
定宿にしていた京都ホテル(現・京都ホテルオークラ)から描いた大みそかの京都の街並み。
しんしんと降り積もる雪、雪化粧を纏った京都の街並みは普段の慌ただしい時間の流れを忘れさせてくれるような、ゆっくりとした穏やかな空気を感じさせてくれます。
一年の終わりと始まりの境界線。
この絵の前に立つと、様々な思いを抱き年を越す人々の息遣いが伝わってくるようです。

さいごに

絵は見る人によってどう感じるかは変化してきます。
その絵を見てどう感じるか、どう読み解くかということに正解はありません。
何か1枚でもいいので、好きと思える絵を探してみてください。


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