新たな一歩を踏み出す決意『絲綢之路 パミール高原を行く』平山郁夫
玄奘三蔵の足跡を辿った平山郁夫のシルクロード取材は、2000年の12月31日に奈良薬師寺の玄奘三蔵院に大唐西域壁画を納めたことで大きな節目を迎えました。
『絲綢之路 パミール高原を行く』
この作品はそれに満足することなく、新たな一歩を踏み出す決意を表すべく制作されたと言われています。
遥かな峠へと向かうラクダの隊商が描かれた当作品は、平山郁夫のこれまでの幻想的な背景描写とは異なり、荒々しい岩場が鮮明に描かれています。
現実の厳しいシルクロードと、平山郁夫自身が歩んできた画家としての人生の道、これから進もうとする新たな画家としての道が重ね合わせられているかのようです。
作品の舞台として描かれているのは中国とタジキスタンの国境に近い、崑崙(こんろん)山脈に足を踏み入れた標高4000メートル近い地点。
かつて玄奘三蔵がインドからの帰路で通ったのではないかと考えられているルートです。
崑崙山脈は古代中国では仙界とも呼ばれ、八仙がいるとされてきた神聖な山岳とされてきました。
描かれている場所から見ても山頂は遥か彼方に見え、険しく長い道のりを歩んできたが自身も頂点には未だに達していないという、平山郁夫の謙虚さと果ての無い向上心も感じ取れる作品です。
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