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吸血鬼親子

これは私の恐怖体験記です。
この季節にピッタリ….夏過ぎたわい!

私が小学校二、三年の時の話です。
当時は金曜ロードショーなどの映画で吸血鬼ドラキュラ伯爵など、割と怖い映画がよくやってました。
もちろん、まだ小学生なので本当に吸血鬼は存在するものと思っていました。
それを見ながらいつも思ってた事は、逃げ回るよりとっとと、吸われて仲間になる方が怖い思いをしなくていい!とそんな発想を持っておりました。

逃げずに「さあ、お吸い!」と首を差し出す的な事を。

とある日、家の近所に住んでいたかなえちゃんがクリスマスの日に言いました。
「友達の通っている日曜学校でクリスマスパーティをやるから来ないって誘われたから海風ちゃんも行こう!」と。
二つ年上のかなえちゃんとその友達のあやのちゃんと三人で隣町の教会に行きました。
私にとって、日曜学校とはなんぞや?と言う世界。
まして、教会?キリスト??の世界です。

小さな街の教会にはかなえちゃんの友達が来ていました。
その友達はとても大人びていて、凄く細くて目がクリックリで、綺麗な顔立ちの女の子でした。
私だけが初対面でした。
教会では讃美歌を歌い、そして、お菓子が配られクリスマスの行事をしていました。

かなえちゃんはその教会にいた綺麗な顔立ちの友達の家が直ぐ近くにあるのでそこで遊ぼうと言う事になりました。

家は少しだけ古い家でした。
忘れたけど、そこで四人で何かをして遊んでいたのです。
楽しく遊んで少し時間が経った頃に、その家のお母さんがその子を呼びました。名前は忘れたけどレイコちゃんとしましょう。

「レイコちゃん、ちょっとこっちへ」
奥から、レイコちゃんと似た線の細い綺麗なお母さんがワンピース姿で首にはスカーフを巻いていました。
あの時代、近所のおばちゃんは普通にエプロン姿で歩いていたり、ワンピースなんて他所行きの格好に近い時代。
それなのに、家でワンピース。そして首にはスカーフ。
私はドラキュラの映画をそこで思い出してしまいました。
首を隠している、、、
スカーフで首を、、、
もしや、首に二つの穴があるんじゃなかろうか、、
ドラキュラの吸ったあの跡が、、

だいたいアーメンとか十字架とか身の回りには無かった。
十字架🟰ドラキュラ伯爵。
私の中ではそのお母さんはドラキュラ伯爵夫人にしか思えなかった。

帰りたい。
吸われる。
まだ、まだ、、仲間にはなりたくは、、ない。

レイコちゃんはお母さんに呼ばれて奥の部屋に入った。
そう、磨りガラスの引き戸の扉の向こうへ。

だいたい、遊んでる最中に子供を呼び出すか?
私は磨りガラスの向こうに映る二人の影をガン見していた。
何をしているんだろう、、、

レイコちゃんは戻ってきた。
なんと、戻って来たレイコちゃんの首にはお母さんと同じスカーフが巻かれていた。

うわ、、これ吸われた
ぜってーに吸われたわ
だから吸った二つの穴を隠す為にスカーフを巻いたんだ。
絶対そうだ。

なんで、遊んでる最中にわざわざ呼び出して、
子供の首になぜ今、スカーフを巻くのか!
私はもうそこから遊べなくなった。
レイコちゃんは吸血鬼一族だったんだ、、、

私は、「かなえちゃん、先に帰るね私」と告げ、猛ダッシュで自宅へと急いだ。
この日あった事は絶対、誰にも言ってはいけないんだ。
幼い私は自分にそう誓い、無かった事にしようと幼いながらに思った。

それから数年経ち中学生になる頃、たまたま洋画で吸血鬼ドラキュラの映画を見た時にふと、恐ろしい出来事を思い出したのだけど、
映画の中の話だと分かった時にレイコちゃんの事も思い出して考えてみた。

あのスカーフはなんだったのか、、
一つ考えたのが、レイコちゃんは喉が弱く、風邪気味かなにかで、お母さんが首を冷やさないようにわざわざレイコちゃんの首に巻いただけだったのかもしれないと。
子供にスカーフ、、、謎なままだけど、そう思うしか他には無かった。

風邪か、吸血鬼一族か。
大人になった今でもふと思い出す恐怖の出来事でした。

レイコちゃんとお母さんの外見が美しかったのも恐怖を掻き立てる一因であったことも違いない。

レイコちゃんがたとえばドスコイ!みたいな体格でお母さんもオカン!って感じなら、ここまで記憶には残って無かったはずなのに。

随分と大人になった私はクロス✝️のイヤリングがお気に入りだったりする。


この首は吸わせない。

おわり


おまけ…よくよく考えれば、既に仲間なのに吸うか?
それに十字架が怖いはずのドラキュラが教会に通うのか?
なんて事は幼い子供には分からないのだ。
そんな私の恐怖体験記でした。

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