父の肝臓がん~女子の生き様~
父が肝臓がんになった。治す方法を探してがんの専門書を買い込み、ネットでも調べた。出てくる情報ははっきりとした数値で表されていない民間療法の類であやしいものばかりだった。それでも、そのときお金に余裕があったらそんな民間療法に手を出していたかもしれない。良くも悪くも、ウチにはお金がなかったのでそんな民間療法に手を出すことはできなかった。
がんセンターにセカンドオピニオンを受けにいったとき、その時の医者に肝臓移植という手もあったが、父にはもうそれさえもできない、手遅れの状態だと告げられた。
もし、肝臓移植が出来る状態だったなら、私か兄の肝臓を移植するのが適切だっただろう。父は、そんなことはしなくてもいいと言いそうだが、父を助けられなかったと悔やみ、もしかしたら私は自殺していたかもしれないなと考えることもあった。
良くも悪くも父の状態は選択肢がもうない状況で、私たちにできることは父を最後まで看取ることだけだった。
ネットで調べてみると、親ががんになり、親のために肝臓を与えるかどうか悩んでいる人々がかなりの数いることがわかった。究極の選択に悩まされている人々がいることを父のがんを通して知った。
皆が平穏な日常をたんたんと生きているわけではないことを知り、改めて命の尊さを知ることになる。
がんはなった当人や家族には多大なダメージを与えるが、関係ない人にとってはありふれた不幸の一つだなと感じていた。
父の死は本当に辛く悲しい出来事であったが、私だけの不幸ではないと思い、乗り越えようと思った。
次は、母の番である。母はレビー小体型認知症を患っている。予後があまりよくない病気である。親より早く死ななかっただけでも、親孝行だと思って非力な私は生きている。
みんなさけては通れない親の死を受け入れながら生きていると思うと頭が下がる思いだ。
生きていることそれ自体が奇跡なのだと思い、生きていくしかない。
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