〔167〕ポストWWⅡは初期がブレトンウッズ体制、中期がペテロダラー体制、晩期がドルペッグ人民元 4/11修文
〔167〕ポストWWⅡの体制は、初期が「ブレトンウッズ体制」、中期が「ペテロダラー体制」、晩期が「ドルペッグ人民元」
本題からともすれば離れがちなので読者諸兄姉を惑わせると思いながら、ペテロダラー論を書いてきましたが、ここらで仕上げたいと思います。
ポストWWⅡは昭和二十一(1946)年から令和三(2021)年まで実に七十五年も続きましたが、その中に三期あり、初期が「レトンウッズ体制期」で昭和四十六(1971)年を以て幕を閉じ中期に遷ります。
中期はご存じ「ペテロダラー体制期」で、諸兄姉見られる通り、今やすでに終わっていますが、経緯をつぶさに見ると平成七(1995)年が画期的な年であったことがハッキリ見えます。それを如実に表すのが、日本円の「実質実効為替レート」(指数)です。
「実質実効為替レート」とは、ドル/円やユーロ/円など二通貨間の為替レートでは捉えられない特定通貨の実力を測るための総合的な指標です。ここで挙げるのは日本円と日本の貿易相手先の通貨との為替レートを、貿易額によって加重平均したもので、任意に定めた基準年度を100とした指数であらわされます。
「三井住友DSアセットマネジメント」の調査による「実質実効為替レート」は以下の通りです。
BIS(国際決済銀行)および日銀(1993年以前)の発表データに基づけば、1971年8月に58.41であった日本円の「実質実効為替レート」(2010基準)は1995年4月に150.84とピークを付けた後は下り坂となり、令和四(2024)年4月にはピークから56%も下がっている。
「ニッセイ基礎研究所」は、日本円が史上最も価値があった1995(平成七)年を基準(100)とすれば、令和四年4月の円の「実質実効為替レート」は44・1と言っており、上記と一致しています(当然ですが)。
「三井住友DSアセットマネジメント」によれば、1970年から1995年にかけて日本円の実質実効為替レートが上昇した原因は、➀貿易黒字の大幅な拡大、➁「プラザ合意」による円高是正、➂日米貿易摩擦の深刻化、としています(この期間落合の言う「ペテロダラー期」です)。
これらの原因によって「日本円はかなり長期にわたり主要通貨に対して過大評価されてきた」と主張する「三井住友DS」は「その後日本円の実質実効為替レートが低落に転じたのは、バブル崩壊後は日本円の強さが原因で、国内景気の低迷とデフレ長期化となり、その結果、日本円の過大評価が修正されて今日に至った」とも語っています。
要するに、日本の実質実効為替レートは2021年11月に67.79と約50年ぶりに1972年の水準に戻り「元の木阿弥」になったが、1970~1971年には50台だったのだから「これからもっと下がることもある」というのです。
その論調は日本の没落を愉快がっているようで、裏返せばアメリカの「通貨覇権」を是とする心底が見え透いています。
あたかもこの二年間にわたりTBSの『報道1930』で「ウクライナ事変」を解説してきた慶応大広瀬教授や防衛官僚らの一方的なプーチン・ロシア罵倒のようなものですが、いずれもバイデン・アメリカの「通貨戦略」または「ロシア解体戦略」に服従せんとする意思が露骨に見え透くので嫌な気分になります。
ポストWWⅡ時代をアメリカに軍事依存してきた日本ですが、本稿で述べるようにポストWWⅡはすでに終り、世界はWWⅢ時代に入っています。
今こそWWⅢ時代に処する国是を定め、「通貨」も「対露外交」も日本独自の政策を立て実行せねばならぬ時機、と落合は思いますが、諸兄姉はいかがでしょうか?
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