〔80〕時務随想 ウクライナのダム決壊は「天の逆手」6/12
〔80〕白頭狸の時務随想6/12 ダム決壊は「天の逆手」
天正十三(1585)年三月に紀州名草郡の太田城に立て籠る太田衆に対して豊臣秀吉軍が行った「太田城水攻め」は、1590年の武蔵国忍城水攻め1592年の備中国高松城の水攻めとともに「日本三大水攻め」とされている。
水攻めとは「流水路を堰き止めて流れを変え、敵城の周囲に導いて敵方を水没させる戦術」を謂いますが、これとは別に「敵城への給水路を断って敵方を飲料不足に追い込む戦術」をも意味します。
前者の場合には、敵城の周囲に水を貯めるための堤(土手)を築くのが定法ですが、その目的は謂うまでもなく、敵城開城後にわが領域となる地域に与える損害を最小限にするためです。
水攻めは彼我の戦力が拮抗して戦争が長引くことを避けるために短期決着を目的として行われるもので、当然ながら当該地域の戦後の状況を予め想定したうえで行われます。
数日前にウクライナ南部の巨大ダムが決壊しましたが、原因は「爆破による人為的破壊」とみる見方が有力です。問題は犯人捜しですが、事態がまだまだ明確でないので、今から起るのは推定による犯人捜しと、東西陣営による相互非難です。
当然、犯人を➀ロシア側とする説と②ウクライナ側とする説、および➂ウクライナの背後勢力(バイデン米大統領)が考えられますが、白頭狸がただいま見ているユーチューブで、テレ東の豊島晋作は、①②の両説を挙げたうえで、「損得で之を観る時、ウクライナ側の受けた損害が大きい」、と語っています。つまり、犯人がロシア側であることを仄めかしている豊島は、西側(ウクライナ+バイデン・アメリカ)の立場から、事態を見ているのですが、その態度はこれまでの日本のメデイアからすれば、当然予測されたものです。
なにしろ岸田内閣が早々に対ロシア断交に踏み切って以来、日露は準戦争状態にあるわけで、政体の免許のもとで公共電波を利用させて貰っている日本のメデイアがロシア側に左袒するわけはありませんし、公正中立を貫くはずもありません。
豊島は「被害を受ける地域がウクライナであるから、加害者はロシアである」との論理を以て判断の基準としていますが、白頭狸は「豊島が被災地と強調する地域がはたしてウクライナ領と言えるか。実質的にロシア領ではないのか」との疑問を以前から持っています。 旧ソ連の分割に際して、ロシアの国力が劣化したことに付け込んだNATO側がクリミア及び周辺地を分割してウクライナ共和国を建てたことが、「この地の歴史と民族に照らして正当といえるか」、ということが問題の根本にあるからです。
「水攻め」は古来兵法の一つで科学的な法則があり、これに照らせば犯人はおのずから明らかで、今回のウクライナ南部のダム破壊は「天の逆手」といって差し支えないと狸は思います。「天の逆手」が出現した以上、間もなく鷺烏戦争は決着するでしょう。
それが歴史の法則ですが、ことの真相が明らかにされるまで国際政治上の理由から数十年かかる筈です。今これを深く論じた場合、強力な宣伝によって形成される予定の「世論」と相剋して世人を迷わせることになりますから、狸はこれ以上論じません。
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