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〔49〕稽古23 劫財の性情と実例(3/31に文言章句の修正あり)

〔49〕稽古23  劫財の実例
 白頭狸が平成二十(2008)年に六十七歳を以て交入した第七運の天干は乙で生剋名は劫財です。劫財の性情は、亀石氏によれば次の通りです。
   独立独行 自我剛気 破財破壊 小利大損 兄弟身内
   朋友知己 剋夫剋妻 反抗不遜
 
 今になって思えば、思い当たることは多々あります。
 というより、まさにこの通りです。まず「独立独行・自我剛気」ですが、白頭狸が成甲書房の社主田中亮介さんから単行本の著作を勧められたのは、たしか平成二十三(2011)年の暮れの頃です。
 それまで会ったこともなかった田中さんを紹介してくれたのは、たしか天童竺丸君だったと思います。

 田中さんに歴史書を書きたいと申し出た処、「それはもちろんだが、その前に金融経済の書を」ということで書いたのが、『金融ワンワールド』で、平成二十四(2012)年四月三十日に出版しました。
 その直後に狸が岩手県常陸大宮市に出張したのは、陰陽神社の氏子連が復元した豼貅像の奉献碑の碑文を作成した狸が奉献式で氏子代表となることをを依頼されたからです。
 奉献式に出席した狸は、その夜腎臓結石の発作に襲われ、這う這うの体で紀州へ戻りましたが、一カ月も経たぬうちに発作が再発し、和歌山県立医大付属病院にて数か月に及ぶ闘病生活を余儀なくされました。入院が長引いたのは腎臓結石に加えて、重度の糖尿病と肝臓癌が見付かったからです。
 自覚していなかった宿痾がこの入院により発見され、手術によってを取り除くことができたおかげで、白頭狸は今日も生存して陰陽五行を説くことができるので、まことに陰陽神社の御神威に感謝するばかりでございます。

 入院中に読んだ渋沢栄一編『徳川慶喜公伝』を基にして退院後に書いたのが成甲書房の落合秘史シリーズ第一巻『明治維新の極秘計画』で、発刊は平成二十四(2012)年十二月ですからもう十年経ちました。
 『明治維新の極秘計画』を書いているうちに、幕末維新のシナリオがしだいに浮かんできて中心人物が定まってきました。それが青蓮院宮(のち中川宮・尹宮・久邇宮)朝彦親王です。
 以前國體舎人が伝えてきた時は、意味不明のため、先送りしてきた話が俄然気になってきました。それは「久邇宮良子のナガと大塔護良親王のナガは同じ意味」と言うもので、全く以て「謎のことば」です。

 御高承の通り、久邇宮は明治維新で大活躍した伏見宮朝彦親王が立てた宮家ですから北朝皇統のカナメです。一方の大塔宮は誰しも知る南朝皇統の中枢ですから、それが同じ意味とは如何なる意味か?
 後から思うと、これこそ「国體秘事伝授」のなかで最大の重要事項を示唆したのですが、謎を解けぬままに何年かを経てきた狸は、シャーロック・ホームズがワトスンに語った言葉を思い出しました。「洞察を尽くした結論が常識からしてあり得ない時は常識が誤っているのだ」という言葉です。
 つまり、この答えは次の内のどれかしかない。護良親王が北朝なのか、伏見宮が南朝なのか。或いはそもそも南北朝など存在しないのか?
 これを洞察した白頭狸が、その結論として会得した日本史最深奥の秘密、すなわち南北朝の強制統合の秘実を明らかにした『南北朝こそ日本の機密』を白頭狸が発表したのは、平成二十五(2013)年四月のことです。丁度十年前ですね。
 南北朝強制統合のことは、その後も中森護主宰の戦略思想研究所の落合塾で繰り返し述べていますし、大塚浩一さんがDVD『活字に出来ない落合秘史 3 南朝天皇・北朝天皇の機密~明治天皇すり替えの極秘計画』を作成して発売しています。
 ところがこの書を発表したら、旧知の藤原肇博士から「くだらない本を出すな」と言われて白頭狸は唖然としました。聞くに、都立上野高校の歴史上矢野健太郎および某と並ぶ「数学の三天才」といわれた藤原博士が京都大学の入試で不合格になったのは、日本史の問題に南北朝関係のことが出たからだそうです。
 何人かの天皇の名前を知らなければ答えられない問題を「愚問」と非難した答案用紙を提出したために落第した藤原肇さんは、国立二期校の埼玉大学に入った、ということです。
 狸より三歳上の藤原さんが受験したのは昭和三十二(1958)年のこととなりますが、当時もその後も、大学入試の日本史の問題に南北朝時代のことを出さないのが慣例と聞く狸は、この逸話を聞いた時にすこぶる奇異の感がありました。
 昭和三十二年に狸が入学した桐蔭高校では教職員の間に左翼旋風が吹き荒れていました。そもそも南北朝問題は皇統の正閏に関わるもので、勢い皇室(いわゆる天皇制)批判に及びます。反日史観が勃興していた当時、入試問題に南北朝問題を出した出題者はいかなる史観に立っていたのか?
 それはともかく、白頭狸が初めて唱えた「南北朝強制統合説」は日本史学上初めての史論ですから、藤原博士のみならず、心中これを冷笑する向きが多かろうと思いましたが、かといってこれをスルーしたのでは、日本史そのものがこの先も誤ったまま停滞を余儀なくされ、巨額の国費と多大の時間の空費を日本社会にもたらすことになります。
 それを放置するわけにはいかぬと思う狸が「自ら顧みて直くんば千万人と雖も吾往かん」と腹を括ったのは、まさに劫財の性情で、ことに「独立独行 自我剛気」はこれを暗示したものと見て間違いありません。

 ここ迄が例によって無料領域です。この後は明日に追加しますから、お待ちください。

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