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〔46〕白頭狸時務随想 シリコン銀破綻の余波が拡大伝播
〔46〕白頭狸の時務随想 シリコン銀行破綻の余波が拡大伝播
シリコンバレー銀行の破綻が飛び火して経営危機に陥ったクレディ・スイスの救済を引き受けたUBSが、クレディ・スイスが発行していた劣後債のAT1債を無償償却すると決定したことで、AT1債を大量に保有すると見られるドイツ銀行の経営危機が騒がれています。
AT1債は株式と債券の中間的性格のものですが、BIS規制で必要とされる自己資本比率の計算では自己資本に算入されるので、株式資本を増やしたくない銀行が、貸出額を増やすためにこれを利用するのです。
銀行の資本構造の中核となるのは株式資本で、次がAT1債による債務、さらに一般的な債務が続き、資本構造の最も外側にあるのが預金です。
銀行にまさかの事態が生じたときの弁済順位はこの逆で、原則的にAT1債の方が株式より弁済順位が優先されます。
ところがスイスの金融当局は、クレディ・スイスの経営再建に際しこの原則に従わず、クレディ・スイス株主に無償償却と引き換えに幾ばくかのUBS株式を与えるが、クレディ・スイスのAT1債所有者には何も補償も与えないことを決定したのです。
欧州の銀行行政当局は三月二十日、経営破綻による損失の負担は債券所有者より株主が先という原則は変わらないと表明し、イギリス・香港・シンガポールの中央銀行も同二十二日、管轄地域の銀行が破綻した場合は、従来の弁済順位を絶対に守ると発表しましたが、クレディ・スイスのAT1債が無価値になったことに衝撃を受けた各地の債券投資家は、他の銀行にもクレディ・スイスと同じ危険を感じたため、ドイツ銀行やHSBC、UBS、BNPパリバのAT1債に売り注文が殺到しました。
問題は、ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行がクレディ・スイスのAT1債を大量に保有している、との観測があることですが真相は未詳です。
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