〔56〕白頭狸の時務随想 ヘリコプター墜落の相似象
〔56〕白頭狸の時務随想
さる四月六日午後四時ころ、沖縄県宮古島付近を飛行していた陸上自衛隊のヘリコプターが墜落して搭乗していた第八師団長坂本雄一陸将らが行方不明です。
ニュースでこれを知った白頭狸の胸に響いたのは、令和二(2020)年一月二日、台湾北部の山間部で視察に向かう沈一鳴参謀総長(62歳)が搭乗したヘリコプター「ブラックホーク」が墜落し、参謀総長ら八人の死亡が確認されたことです。
十三人を乗せて飛行中のヘリは、離陸から13分後、現地時間の午前8時7分に基地との交信が途絶し、新北市付近で機影がレーダーから消えました。
折から台湾では同月11日に総統選と立法委員(国会議員)選の投開票を控えておりましたが、自衛隊のヘリコプター事故も、四月九日と同二十三日の統一地方選挙を控えている中での事件です。 総統選に再選を目指して出馬していた民進党の蔡英文総統は三軍の長として事故原因を早急に調べるよう指示し、総統選は蔡英文の圧勝に終わりました。
事件の翌日、イランの革命防衛隊コッズ部隊の司令官ソレイマニ将軍が米軍の斬首作戦により殺害されると、その連想から、沈一鳴参謀総長も斬首されたとの憶測が一部で起きました。
この両事件に日本人は全くの無関心で、ユーチューブでも論評を見た覚えがありません。国際的な関心も広がることなく、すでに忘却されてしまいましたが、白頭狸は当時からこの事件に強い関心を抱いてきました。
理由は、連合艦隊司令長官海軍大将山本五十六(没後に元帥府入り)が昭和十八(1943)年四月に撃墜され、またボルネオ守備軍司令官陸軍中将前田利爲(没後に任大将)が昭和十七(1942)年九月に搭乗機が墜落したこと、を想いだすからですが、洞察するには材料不足で、まだ思う所がまとまらないため、これ以上の発言はこの段階では慎むこととします。