出会い
結婚しようと決めてからは、
わりとすぐに夫と出会い、交際1年で結婚した。
そして、順調に子どもも授かることができた。
初めての出産は大変なのだけど、
私にはさらに大変なことが追加された。
予定日の20日ほど前に転んで左手首を骨折をしたのだ。
病院で手首を治してもらい、産婦人科に行った。
赤ちゃんに問題はなかった。
しかし、ギプスをした手では産後が大変なので、
急遽、実家に帰ることになった。
あー、まいったなぁと思い、準備をしていると、
夜になってお腹が痛くなり、
すぐに産婦人科に行って診てもらった。
予定日はまだ先だか、もうお産が始まりそうだと言う。
骨折した手のことがあるから、整形外科のある大きな病院を紹介してもらい入院することになった。
病院に着いて、その日はそのまま眠った。
朝になり、一旦家に戻った夫が仕事前に寄ってくれたが、まだ産まれる気配はない。
夫は仕事に行き、私はベッドで寝て待つ。
結局、夜になって陣痛が来て6時間ほど痛みに苦しみ、日付が変わる前に分娩室に呼ばれた。
そして、苦闘の末、息子は生まれた。
へその緒を切って、看護師が
胸にそっと乗せてくれた。
私は静かに息子を抱きしめ、目を瞑った。
そして、息子が成長して結婚するまでのシーンを
一気に想像し、しあわせが体中に広がった。
その小さな命の温かさに涙が溢れた。
夫と二人で幸せに浸っていると、
看護師が来て、
すぐに泣かなかったので異常がないか
検査をすることになったと言う。
そして、息子はどこかへ連れて行かれた。
しばらくして夫婦で別室に呼ばれ、
主治医の説明を受けた。
脳の検査をしたところ左脳に空洞があることがわかり、体に麻痺が出るかもしれないと言われた。
難しい説明は頭に入ってこなかったが、
「麻痺」という言葉だけが頭に残った。
ツーーーーーーー
無の時間が過ぎる。
・・・どうゆうこと?
胃のあたりにぐにゃっとした塊が
動いた。
主治医が障害の程度としては、
重くはないけど軽くもない感じかなと
ボソッと言う。
同席していた別の医師が
まー、歩けるようになる子はいっぱいいるから
と明るい感じで言う。
はぁ、、、と言い、固まってしまった。
私の胃のあたりにある気持ちの悪い塊が
さらに大きくなった。
それはその後、何年もわたしの体に居座ることになった。