アカシの小さな冒険 第9話

彼はスマホを取り出し、以前彼女のスマホに入れ込んだアプリを使って確認した。した。「どこにいるんだ…」と小さく呟きながら、画面を注視する。しばらくして、アプリが示す彼女の現在地は福岡の中洲、繁華街の中心地だった。「中洲か…厄介な場所にいるな。」

中洲といえば、屋台が並ぶ風情豊かなエリアだが、同時にスナックやキャバクラなど風俗店も多く、暴力団関係者が出入りしている可能性がある。「慎重に動かないと…」彼はそう思い、ある準備を始めた。

翌日、彼は自衛用の装備をバッグに詰めて家を出た。偏光サングラスにヘッドホン、それに少々特殊なアイテムも持っていた。装備が必要になる場面を想定し、備えていた。

「さて、行くか…」

昼過ぎ、彼は中洲に到着した。アプリの指示に従いながら、櫛田神社前駅で降り、目的地へと足を進める。駅前は広く開けた大通りが続き、まだ日中ということもあって人通りも多い。

「普通の街に見えるけど、油断は禁物だな。」彼は周囲を警戒しながら歩き続けた。

しばらくすると、橋が見えてきた。その先は狭い路地が入り組み、スナックや風俗店がひしめいている。まだ日が高いため、店の多くは閉まっているが、どこか不穏な空気が漂っていた。

「ここだ…」

アプリが示す場所に到着すると、彼の目の前には古びた雑居ビルが現れた。ビルの外観はどこか荒れており、長い間手入れされていないようだった。「ここにいるはずだ…」彼は心の中で確認し、ビルの中へ入った。

「1階か…」ビルの案内板を確認すると、彼女がいると思われる場所は1階にあった。彼は廊下を歩き、奥にある一つの扉の前にたどり着いた。

「ここだな…」

彼は深く息を吸い込んでから、手元の装備を確認した。偏光サングラスをかけ、イヤホンを首に装着。これで少しは安全だろう。

「…よし」

彼は姿を小さくし、そっとドアの隙間を覗き込んだ。中は暗く、静寂が支配している。緊張が彼の体を包む中、心臓の鼓動がやけに速く感じた。

「いるのか…?」

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