2024.6.16清宮海斗vsゲイブキッド
人間の感情と言うものはとても自分勝手なもので、あれだけDDTこそが真のプロレスだ。自由こそがプロレスだ、と散々と嘯いていたが、なぜか今日はその自由とやらが、感情を逆に不自由にさせていた。ここ最近の新日本やNOAHにみられた「いや、おもしろいんやけど…」という煮え切らない感情が沸いた。でもどうしてこうなったのか答えはわかっている。
きっとホンモノの気迫に当てられたからだろう。
こちらの魂を震わせ、昂らせた。リング上の魂と見ている自分の魂とが共鳴し合ったかのような。ホンモノとはこういう男にこそ相応しいと思った。メッキが…とまでは言わないが、ど真ん中を進むホンモノには敵わないと思わせられる。それほどまでに今日のゲイブは素晴らしかった。やっぱり自分がプロレスに求めてるものは「感情」なんだと強く理解した。現代のプロレスにおいてそれを見せる手段は本当に増えたと思う。仲間を裏切ってもいいし、踊ったっていい。なんならキスしたっていい。
でも彼は様々ある選択肢の中からストロングスタイルを選んだ。それが1番プロレスだと信じ、理解し突き進む。なにも疑わず真っ直ぐに進むからこそ彼の感情もまた真っ直ぐにこちらに届く。昔見て憧れたプロレスラーに1番近い形。
「コレハノアデスカ?」彼は叫ぶ。彼にしか叫べない言葉を。この生きづらい現代を、なにか歪になり始めた現代を、彼なら、彼のプロレスなら再び真っ直ぐにしてくれるんじゃないか。そこまでを思わせるような力が宿っていた。今日の試合を見て率直にそう思った。ありがとうゲイブ。そして彼は言うだろう。「ドウイタシマシテ」
2024.06.16
彼はいつか棚橋弘至を救うだろう。
なぜなら彼は絶対に忘れないから。