肩の上の都
ニッコが今晩満月であることを教えてくれたから私はうっきうきで夜を待っていたのだ。けれどもいざ夜になって見るとダイダラポッタラが月を隠してしまって全く面白くない。ダイダラポッタラの肩のほうがぼんやり光って青白く、肩の輪郭が薄い光に浮き出て、大きな肩に生える木々のざわざわが遠目に見えるようだった。あの巨人の肩にも風が吹いているのだ。お婆が昔、巨人の肩には都があると話してくれた。嘘かほんとか分からない。都から眺める月の景色は、いったいどれほど美しいだろう。
ニッコが今晩満月であることを教えてくれたから私はうっきうきで夜を待っていたのだ。けれどもいざ夜になって見るとダイダラポッタラが月を隠してしまって全く面白くない。ダイダラポッタラの肩のほうがぼんやり光って青白く、肩の輪郭が薄い光に浮き出て、大きな肩に生える木々のざわざわが遠目に見えるようだった。あの巨人の肩にも風が吹いているのだ。お婆が昔、巨人の肩には都があると話してくれた。嘘かほんとか分からない。都から眺める月の景色は、いったいどれほど美しいだろう。