ココが変だよ!? 日本の広告業界 〜プロダクションマネージャー篇・前編〜
※かなりプロダクションに寄った内容です。少しわかりにくいかも・・・。
※今回も長くなってしまったので前編・後編に分けました、、
■私がPMからPになったきっかけ
私がプロデューサー(以下P)になったのは、28歳の時でした。
会社から「もう指名されるお客さん(CR)がいるのなら、プロデューサーの名刺を持ちなさい」と言われ、その時は断りました。
自分はPに向いてませんと。
当時はプロダクションマネージャー(以下PM)として、とてもやりがいを感じていました。監督やスタッフといいものをつくるための司令塔となって信頼されることは、本当に楽しかったのです。
そして、Pになって成功するイメージが全く持てなかったのもあります。
今となっては、Pの素質も多少はあったのかなと思います(笑)。
独立する際は、もしうまくいかなかったら、フリーのPMとしてガシガシ働こうと思っていたくらいです。
それくらいPMの仕事が好きでした。
今でもPMとして、いい仕事すると思います(笑)
■日本と海外のプロダクションマネージャーの違い
ここからが本題です。
日本のCMプロダクションに在籍している人数は、PとPMが大半を占めます。
制作業務の人員に割合を絞ると、Pが3割、PMが7割くらいでしょうか。
つまり、プロダクションにおける最も多い職種はPMということになります。
優秀なPMが入ってこない(育たない)と、その会社の未来はないです。
しかし、そのPMがどんどん辞めていく現状があります。
そんな中、日本と海外のPM作業の違いをまとめてみました。
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例によって、上図は多少大げさに書いています。
日本でも、PMとラインプロデューサー(以下LP)が分業するパターンも多々あると思いますが、大きくは、PMの仕事として日本で認識されている内容だと思います。
一番の違いは、海外はPMの仕事を、LPとエージェンシープロデューサー(以下Ag-P)と共に、細かく分業しているということです。
海外では、PMはProduction Supervisorという正式名称になります。
PMアシスタントはProduction Coordinatorとなり、さらに業務を分担します。どちらもフリーランスです。
最も大きな業務はスタッフやロケ地など、条件定義・支払いや契約まわりの書類整理で、ここをしっかりこなすことが優秀なPMの条件となっているようです。
また、日本ではLPが独立した職種として認識されておらず、 その役割もフワッとしています。裏を返せば、海外ではPMやLPは、一生続けられる職種として、年齢問わずプロフェッショナルな職種として認識されています。
※上図では省略しましたが、(エグゼクティブ)プロデューサーも日本・海 外ともにいます。が、そこの役割も違ってきます。またそれは追々書いていこうと思います。
やはり、日本ではPMが担う仕事量が多すぎます。
そしてPMの年齢も若く、担当するには経験値が圧倒的に足りないことが多いです。 本来なら、それくらいの責任と仕事量があるのです。
■なぜPMが辞めていくのか
前述したように、仕事量が膨大にあることも大きな理由なのですが、最も大きいのは、PMがスタッフの「人生」を左右するという責任を負えない(負う経験値がない)ということだと思います。
PMは、プロフェッショナルである監督や各スタッフのクオリティを担う重要なポジションです。その仕事で生計を立てているプロを相手に、経験値が浅いPMが架け橋になると、どういうことが起きるのか。
レストランに例えると、
→せっかく美味しい料理を作った(作ろうとした)
→ホール(PM)のミスで料理が冷めてしまった(もしくは作れなかった)
→美味しくない(=期待していたのと違う)
→次からは違うシェフ(スタッフ)にお願いしよう。
→そのシェフにはオーダーがこなくなる。
フリーランスである監督やスタッフは、ひとつの仕事の評判が人生を左右します。当然、架け橋となるホール(PM)には厳しくなります。
人によっては、自分の味を守ることを第一に考え、無理難題を言ってくる人もいるでしょう。
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そんな時、それらを解決する手段を持ち合わせていないと、予算が膨れ上がりプロデューサーから責められ、人生がかかっているスタッフからも当然怒られる。
コミュニケーション能力がモノをいう部分もありますが、そのスキルは非常に高度なものを求められます。
さらに、仕事量が膨大なため、仕事も雑になってまた怒られる。
そして、ワークライフバランスが取れず、プライベートにも影響がでてくる。
精神的にも肉体的にも、まさに負の連鎖です。
問題点をまとめると、
・PMの作業量が膨大であり、体力的に疲弊してしまうこと。
・若手がPMを担当する現状と作業内容の重さ(責任)に解離があること。
・ワークライフバランスが取れずプライベートが犠牲になってしまうこと。
・高度なコミュニケーション能力を問われ、自信をなくしてしまうこと。
・PMやLPが独立した職種として認められていないため、Pになれない劣等感を生み出してしまうこと。
では、これらの問題点を解決するためにどうすればよいのか。
※もちろん、イキイキと仕事を楽しんでいるPMもたくさんいます。
ヤバい仕事ばかりではないことを、補足しておきます。