演劇未経験の私が1年で自分で脚本演出をしたVR演劇の公演をした話(前編)
こんにちは、maropiです。
11月23日〜26日にVRChatで行われた演劇やパフォーマーのお祭り「メタシアター演劇祭」にてmaropi工房という団体で「チョイス」というVR演劇を2公演、無事行うことができました。
多くの方にご覧いただき、またありがたいことに嬉しいコメントを沢山いただき本当にありがとうございます。
これまで稽古の様子についてのnoteを書いてきたのですが、このnoteではVRではもちろんのことリアルでも演劇未経験だった私が、どういった経緯で約1年の間で自分で脚本、演出を行ったVR演劇の公演をするに至ったのかを備忘録的にまとめていきたいと思います。
自分でも1年前にはこんな経験ができるとは全く思っていなかったですし、まとめながら改めて自分の運の良さを痛感したので、こんな事もあるんだなぁという気軽な気持ちで読んでいただけると嬉しいです。
VRChatを初めてすぐにVRマクベスの企画に出会う
私がVRChatを始めたのは2022年4月で、きっかけはPS5の抽選が当たらなかったからそのお金でQuest2を購入したという、なんともたまたま。
あの時PS5が当たっていたら演劇に触れる事もなかったし、ましてや脚本なんて書いてなかったと思うと面白い。
しっかりとVRChatにドはまりした私は、色々なゲームワールドに行ってみたり改変してみたり、ダンス等のイベントに参加していました。そこでパフォーマンスをしている人をみながら、自分も何かやる側になりたいなぁ、と漠然と思っていたわけです。
そんなときにたまたまTwitterでぬこぽつさんの
「VRでマクベスをやりたいので役者オーディションやります」
とのツイートを見かけました。
これが全ての始まり
演劇なんてやったこともないし、何なら見たこともない。なのに当時の私はなぜか「これだ!!」と思いすぐに応募しました。
そんな私でしたが演者として迎え入れてもらえ、ドナルベイン役、そしてマクダフの息子役としてVRマクベスに参加しました。
7月から稽古が始まり、公演日の11月末までの稽古の日々はほんと楽しくて、仲間と一緒に演劇を作り上げていくことの面白さをこの時初めて感じることができました。
そして公演時の緊張感や、公演後に見に来てくれた方々からいただいたコメントは今でもはっきり覚えています。
そしてVRマクベスの公演が終わった後、私の心の中には
「自分でも演劇を作り上げてみたい、何なら自分でオリジナルの脚本を書きたい」
という思いがふつふつとこみ上げてきました。ただそうは言っても演劇にVRマクベスでちょっと触れただけ、ましてや脚本なんて書こうとしたこともない。ゴリゴリ理系の私が書いたことのある文章といえば小学校の頃の日記くらいのものでした。なのでこの時はまだ
「いつかは脚本書いてみたいなー」
くらいのものであった気がします。
初めての脚本執筆「挟まる」
そんなこんなでVRマクベスに関わる前のVRChatライフに戻って行った私だったのですが、2023年を迎える年越しのタイミングでVRChatにて色々な方にあいさつ回りに行っていた際、VRマクベスでダンカン王役をされていた、ふじよしさんとお会いしてVR演劇の話になりました。
その時なぜか私はふじよしさんに対して
「私、オリジナルの脚本書くのでふじよしさん良かったら出演してください」
と口走る。
今思うとここで口走ったことをきっかけに脚本を書くための行動を取り始めていたと思います。とりあえず宣言するって、新しいことをはじめるには意外といい方法なのかもしれません。
口走ったからにはせめて1本は書いてみようと決めたのですが、何をどうすりゃ脚本書けるのかわからない。そこでまずVR演劇関連のDiscordサーバーにて脚本ってどうやって書くの?と聞いてみることに。それにVRマクベスでお世話になったyoikamiさんやWATARUさんが反応してくれ、推薦図書や他の人の脚本を読むこと、そしてとにかく書いてみて周りに読んでもらうといったやるべきことを教えていただきました。
そのあとは言われた通りに色々な脚本、戯曲を読み漁り、脚本の書き方についての本を読んだ上で、まずは一本脚本を書き上げてみようとしてできあがったのがこの
でした。(短くてサクッと読めるので良かったら読んでみていただけると嬉しいです)
書き終えた後、色々と教えていただいたわけですし、せっかくだからyoikamiさんとWATARUさんに書いたものを読んでもらうことに。ありがたいことにここでお二人が優しく対応してくれたからこそ、この後も執筆を続けようと思えたのだと思います。
公演に向けて役者、スタッフを集める。しかし、、、
そのあとせっかくだからこの脚本で公演しちゃおう!と思い、VRマクベスで関わった方々やフレンドに演者、スタッフをお願いして人を集めたのですが、
何からやっていいのかわからん
よく考えたら私、VRChatでイベントすら開いたことがない。そもそも演劇をやるにあたってのタスク以上に他にもやらないといけないことがありすぎて何から手を付けていいのか分からなくなってしまい、人を集めてから放置するというなんとも申し訳ないことに。
そうこうしているうちにリアルも忙しくなってしまい、挟まるの企画はこのまま自然消滅となってしまいました。この時改めてVRマクベスをやり遂げたぬこぽつさんの凄さを改めて体感しました。
その後も短い脚本は書き続ける
「挟まる」はお流れになってしまったわけですが、1本書ききれたことで脚本執筆に対する少しの自信を付けれた私はせっかくだから公演はしないにしても脚本は書き続けることに。
その時ちょうど、よく行っていたワールドであるクエスト集会所が2023年6月でなくなるということで、なにかクエスト集会所にちなんだ脚本を書きたくなり書いたのが
この時ちょうどバーチャルライフマガジンさんがTwitterにて#クエスト集会所のタグを付けて思い出をみんなで共有しよう!というイベントをやっていたのでそれに乗っかりこの脚本はTwitterで公開をしました。
ほんの少しですが脚本を見てくれた人や感想をくれる方も出て、人にみてもらうって結構良いかもと思い、改めて自分の書いた脚本で公演したいなぁと思いを募らせることとなりました。
メタシアター演劇祭開催決定、そして出演応募へ
そんなことを思っていた2023年8月、いよいよ今回の公演を行う場所となる「メタシアター演劇祭」が本格的に始動し始めました。
実は私もメタシアター演劇祭には運営として関わっていたのですが、関わりながら自分も出演したいなーと思い続けていました。なんたってこれに乗っかってしまえば私が公演を行おうとして挫折した要因であるイベントとしての企画やステージはメタシアター演劇祭側が用意してくれる。私にとってはこれ以上ないチャレンジできる環境でした。そして8月10日、いよいよメタシアター演劇祭の出演者募集が開始されました。
応募したい。ただこの時点では脚本は何も書いていない。でも出たい。
「よーし、とりあえず申し込んじゃえ」
ということで出演団体としての申し込みを募集開始された日に勢いでしてしまいました。申し込みのフォームには公演内容について記載するところがあったので、何も書かないわけにもいかず、そこにはその時ふと思いついた
「レストランでプロポーズする話です」
とだけ書いていました。
脚本の大筋決定と役者募集
申し込んでからはもう書くしかないということで脚本を書き始め、とりあえず登場人物とプロットを用意したところで、一番の課題である役者募集を開始することに。
ここではメタシアターのDiscordサーバーにて役者募集のチャンネルがあったのでそこで募集をかけました。ただ脚本も決まっていなかったので
「明るく楽しい職場です!」
という居酒屋の求人のような募集の仕方をしたような気がします。そんな求人にも関わらず、幸運なことにリアルでの演劇経験のあるaawayさん、SuzuQuiさん、しじみーぬさんが応募してくれました。ほんとに運が良すぎる。
そしてそれと合わせてVRマクベスでご一緒し、白紙座というインプロの劇団でも一緒に活動していたきゅぞりるさんには個別に声をかけさせていただき、これで演者が無事揃いました。
ただこの時点で9月頭、そしてスケジュール調整したところ初稽古は9月中旬以降に。ほぼ全員がはじめましての状態から2ヶ月で本番を迎えなければいけないといった状況でした。今思うと割と切迫した状況のような気がするのですが、当時の私は
「まぁ何とかなるやろ」
となぜか全く焦っていませんでした。脚本もまだ書いてないのに。
後半へ続く…
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