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「さよならの続き」に於ける成瀬ミキという人物(ネタバレ含む)

はじめに

本記事ではNetflixで絶賛配信中である「さよならの続き」で坂口健太郎演じる成瀬和正の奥さんである成瀬ミキに焦点を当てていく。
前準備としてストーリーをかなり大まかにではあるが振り返ろうと思う。

大まかなストーリー

物語は2組の男女を中心に展開していく。
幸せの絶頂にいる菅原さえこ(有村架純)と中町雄介。
可能性の低い希望を夢見ながら旦那である成瀬和正(坂口健太郎)の闘病生活を懸命に支える成瀬ミキ(中村ゆり)。
そんな対照的な2組の男女がとあるバス事故をキッカケに交わっていく事になる。

菅原さえこと中町雄介を乗せたバスが雪崩に巻き込まれ中町雄介が植物状態となったのだ。(おそらく)
雄介は生前臓器移植提供に同意しており、雄介の心臓が成瀬和正へと移植される。
そうして和正は闘病生活を脱するのだが、控えめな性格が社交的になっていたり、嫌いだったコーヒーを好きになり、弾いたことのないはずのピアノを弾けるようになっていたりと様子がおかしい。そして何より、菅原さえこを愛おしく想ってしまうようになっていた。
和正は自分を見失い、周りも和正と関わっていくうちに和正と自分を見失っていく。その中でそれぞれが苦しみ、もがき自分なりの答えを出していく。
これはかなり大まかなものであるからまだ観ていない方は是非観ていただきたい。

成瀬ミキ

次に成瀬ミキ視点でストーリーを見ていく。
成瀬ミキのアプローチによって結ばれた2人。控えめな和正と対照的に成瀬ミキは明るく、強い女性だった。
きっと病に倒れる前からミキが守る側のような、支え続けるような関係性だったのだろう。であるから闘病生活が始まろうと関係性自体に変化はなく、変わらない2人。ただ病がもたらす悲しみ・絶望は和正はもちろんの事、ミキにもあまりにも大きすぎる物だった。
それでも小さい希望を見つめ続け、和正にも示し続けたミキ。
そんな2人にやっと光が差した。移植手術が決まり、成功したのだ。
この時ミキは安堵と、やっと報われた幸せと、そしてこれから自分たちを待っているであろうまだ見ぬ幸せに心踊らせたに違いない。
だがそんな期待は予想だにしない形で裏切られる事となった。

I want you back

元気になり戻ってきた和正。だが目の前の和正は自分の知る彼ではなかった。
とても印象的なシーンがある。それは退院を祝して和正とミキがハワイへ旅行に行った時の事だ。

ピアノを弾いた事のないはずの和正が空港に置いてあるピアノで演奏を始めたのだ。
和正の演奏に盛り上がりを見せるオーディエンス。ただその中で和正とミキの2人だけは怯えや悲しみをごちゃ混ぜにしたような表情を浮かべる。
和正は自分が自分でない感覚、ミキは最愛の人が自分の知る最愛の人でない予感に怯えていたのだろう。
そしてその怯え、予感を和正の分まで振り払うかのように。最愛の人が変わらず自分の知る最愛の人である事を確認するように。ミキは明るく「かーずっ!」と言って和正の手を握る。

ちなみにこの時和正が弾いたのはジャクソン5の「I want you back」だった。

長く、苦しい闘病生活を乗り越えて。やっと最愛の人との幸せが待っていると思っていたのに。帰ってきた最愛の人は自分が知るその人ではない予感。彼の心にいるのは自分ではないという予感。無視をするにはあまりにも大き過ぎる予感。
それでもミキは、ミキの愛は強く。だから愛してしまう、愛せてしまう。
失った物を取り戻せると信じて。

最後に

ミキと和正の行方、その他の登場人物達が辿り着いた答え。
是非確認していただきたい。



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