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金融政策決定会合を予習中 ① (愚痴日記 第11日)

また、先輩キャスターのMに意地悪された。

日銀の植田和男新総裁のデビューとなる、2023年4月の金融政策決定会合。

会合が近づく中、スタッフルームにやってきたM。

「新総裁が前任の黒田総裁の金融政策を引き継ぐのか、方針を転換するのかが最大の関心事だ。比較するためには、黒田前総裁の金融政策を知っておく必要があるよ。」

 そういうとMは、『当面の金融政策運営について』という、日銀の広報文を私のデスクに置いた。
 2023年3月10日、黒田前総裁による最後の金融政策決定会合の決定内容が記されているらしい。

 え、教えてくれるの?
 方針転換?
 やさしくしてくれるの?と思ったら、
 Mはそのままスタッフルームを出ていっちゃった。

 何だよ・・・。教えてくれるんじゃないのか。
 仕方なく、公表文を読んでみた。

「日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。」

 これが、新総裁の下で、変更されるのかどうかって事ね。

 ふむふむ・・・と思いつつ読み始めたけど、すぐにフリーズした。

『(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。 長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。』

 何これ?
 理解不能なんだけど。

 その後も「長短金利操作の運用」とか、「資産買い入れ方針」とか難解な項目が続き、「イールドカーブ」、「指値オペ」などと、見慣れない用語の連続。   
 
 私がフリーズしていたところに、プロデューサーのSがやってきた。
 バラエティ番組希望の私を経済番組に引っ張ってきたから、とても恨んでる。でも、前回はいろいろ教えてくれたので、私の評価はちょっとだけアップした。

「金融政策決定会合の公表文、まったく意味が分かりません。」

「また、思考停止か。まあ無理もない。いきなり公表文を読みこなすのは大変だ。なので、ポイントだけ教えておこう。まず、公表文の最後に注目するんだ。」というS。

『日本銀行は、2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。』

 そのまま、読み上げてみた。

「これが日銀の金融政策の基本方針だよ。この間、日銀が経済のエアコンを動かしてるって教えたよね。」

 覚えているよ。
 日記にも「日銀はエアコンの操作係」って書いたからね。

「この2%がエアコンの設定温度、その実現手段が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」ということですか?日本経済の室温である物価が2%になるまで、エアコンで暖める金融緩和を続けるという・・・。」

「その通り。金融緩和には2つの方法がある。ひとつは金利、エアコンの強さの操作で「長短金利操作」と呼ばれている。もう一つが経済活動の燃料であるマネーの供給量を増やす「量的・質的金融緩和」だ。」

「部屋が暑くなる、つまりインフレになったら、エアコンを強くして冷やし、デフレになってきたら、その逆の操作をして暖める。日銀はこれをやっているんだ。」
「金利には今日借りて、明日返すといった短い取引に適用される「短期金利」から、5年、10年といった「長期金利」まで、いろいろあるから、これを組み合わせて操作するんだ。」
「公表文の最初に戻ろう。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)とあるね。イールド(yield)は金利のことで、短期金利から5年、10年という長期の金利を並べたときの曲線がイールドカーブなんだ。で、これを一体的にコントロールしようしているわけだ。」

うう、一杯一杯になってきた・・・。

「で、短期と長期の金利は何か?ってことだけど、もう一杯一杯だろう。」とS。

今日はこのあたりにして、
明日、また教えてあげよう。

助かった・・・。
この先は明日聞くとして、今日はもう寝ます。

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