【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア…5
【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア5
~~~~~本編~~~~~
〇教会・ヴァンパイアの書斎
【SE:時計が丁度を示す音(ボーンという音)】
そろそろ時間か?
馬車はもう来ているな。
【SE:カーテンを開けて外を見る】
…今、出て行った男…いったいどういうつもりだ。
礼拝堂で話すだけでは飽き足らず、住まいの方にも出入りしていたとは…
あとで使用人たちに許可なく人を立ち入らせるなと叱っておかねば。
まさかと思うが俺に隠れて娘と会っていた訳ではないだろうな。
まったくちょっと甘い顔を見せると人はすぐにつけあがる。
【SE:ドアをノックする音】
開いている。
【SE:ドアの開く音】
(美しく装った娘が入って来る)
(自分が想像していたよりも美しくなった娘に見惚れてしまう)
(呟く)
これは…なんと…美しくなった。
まさかここまでになるとは想定外…
(気持ちを切り換えて)
教えたようにここまで歩いて来い。
ゆっくりを優雅に…そうだ、相手の顔を見て微笑んで歩け。
【SE:足音】
本番もこれなら大丈夫だろ。
最後に…誰かに声をかけられても絶対に自分から頭を下げたり声をかけたりするな。
向こうが傅いたら初めて手を出して微笑むんだ。
それまでは絶対に自分から動くな。
「なぜ?」自分から男に媚びるのは身分の低い女か娼婦だ。
淑女は絶対に媚は売らない。
ましてお前は俺のパートナーとして出席するんだ。
いいか覚えておけ…俺に恥をかかせるような真似だけはするな。
首を差し出せ。
今夜のパーティーはヴァンパイアが主催だ。
お前は見た目が変わっただけでなく、その身から漂ってくる血の匂いまで極上に変わっている。
このまま他のヴァンパイアが近づけばきっと虜になって何が起きるかわからん。
特に若いやつらはどうしても手に入れたくなる。
その為にお前には俺のものという刻印を刻む必要がある。
いつもとは違うから耐えろ、絶対に逃げるな。
【吸血開始】
(今回の吸血は刻印を刻むという普段とは違う意味合いを持ちます。その点を頭においてお願いします)
(台詞は無しです)
【吸血終了】
これでいいだろ。
あとは…
【SE:引き出しを開ける音】
このネックレスをつけたら終わりだ。
今日に間に合うようにサイズ調整させていた。
あまりの美しさに目を奪われたか?
今のお前ならこの輝きに負けない美しさがある自信をもて!
さあ時間だ出かけるぞ。
【SE:二人の足音・ドアの開閉音】
【少し間を空けて】
【SE:ドアが開く音とともになる華やかな音楽】
堂々と胸を張って微笑め…顔が引きつってるぞ。
まったく田舎娘に逆戻りするなよ。
【SE:足音】
大丈夫だ、お前はここに居る誰よりも美しい。
見ろ周りの男どもがお前に見惚れている。
微笑んで返してやれ…今のお前は昨日までのお前とは違う。
完璧な淑女として振る舞え。ここでのお前の失敗はすべて俺の失態になる。
だから…下を向くな。
「恥ずかしくて顔があげられない」だと…
まったく…そういう恥じらう姿もまわりの奴らには新鮮に見えるんだろう。
(主賓と挨拶を交わすヴァンパイア)
本日はお招きいただきありがとうございます伯爵。
はい、楽しませていただきます。
【SE:BGMがワルツに曲が変わる】
曲が変わったな…
(普段とは違う好青年的な感じで)
お嬢様、このわたくしとダンスを一曲お願い出来ますか?
では、お手をどうぞ…
【SE:ゆっくりとフロアの中心まで歩く】
教えた通りに…俺に任せて優雅に踊れ。
いつものように可憐に優雅に…
ふっ…お前の美しさの周りが見惚れているぞ。
もっと優雅に…軽やかに…
続けて踊っていたから疲れたか?
汗ばんでいるな…
匂いでわかる。
少し休むか…
ここに座っていろ。何か飲み物を頼んできてやる。
【SE:足音】
(振り返り娘の方を見ると)
俺が離れた隙に男どもに寄って来たか…
あの美しさと漂う気品からどんな男でも欲しがるだろう…
(少しイライラして)
それにしてもやたら馴れ馴れしいな…
あの娘が誰の連れなのかわかってないのか?
あいつもなぜああやって無駄に愛想を振りまく、きちんと言い聞かせてきたのに…
(娘に近づくとそれまで周りに居た男たちはさっといなくなる)
ほら飲み物だ…
俺が戻った途端に蜘蛛の子を散らすようにいなくなるとは(笑)
まったく根性がない男どもが。
お前…なぜあいつらに軽く愛想を振りまいた。
言ったはずだぞ、男に媚びるような真似はするなと…
これは帰ったらお仕置きが必要だな。
それを飲んだらもう一度踊るぞ…
まわりにお前が誰のものなのかきちんとわからせてやる。
この娘は俺のものだとな。
【SE:華やかな音楽でフェードアウト】
〇教会・ヴァンパイアの書斎
【SE:ドアの開く音】
【SE:椅子にドサッと座る音】
どうした…そんなところに立って…
お前も慣れないパーティーで疲れただろう。
自分の部屋で休め…
それにしてもあの男ども最後までお前を狙っていたな。
それだけ最高の淑女になったというわけだ。
だが今夜の様に誰彼構わず微笑みかけるな。
ここへ…
(手招きしてそばに呼ぶ)
【SE:足音】
(顎くいして顔を近づける)
お前は俺が作り上げた最高の淑女だ。
見た目も中身も…その辺の貴族の令嬢など太刀打ち出来ないほどのな。
誇りの思え、俺に選ばれたことの…
(頬を赤らめ素直に頷く娘を愛おしいと思わず抱き寄せてキスをする)
【SE:リップ音】
(娘の自然にキスをした自分に戸惑う)
…もう部屋に戻れ…
いいからさっさとこの部屋から出て行け。
【SE:走って部屋から出て行く】
(椅子の深く座りなおして額に手を当てる)
俺は何をしているんだ。
この間からなんとも言い難いこの気持ちは…
モヤモヤする…
まさか⁈この俺が人間の小娘を本気で…
そんなことはない…その程度の女など今までも沢山相手にしてきた。
あの娘をここに置いたのもただその血が美味かったからだ。
それ以上でもそれ以下でもなかった…はず…
それはこれかも変わらない。
あの娘はあくまでも俺の所有物…ただの餌…
本当にそれだけか?
ならさっきのキスは…自然と愛おしいと思えたあの気持ちは…
【SE:猫の鳴き声】
お前はいったい何者なんだ。
どうしてこんな時に俺のそばにいる。
【SE:サイドテーブルの本が音を立てて床に落ちる】
これはシスターの日記…いつの間に…
【SE:本のページをめくる】
これは…
~~~~~回想開始~~~~~
〇過去の教会
俺はここを出て行く…
怪我もすっかり良くなったしいつまでも世話になっているわけにもいかない。
怪我して倒れていた俺を助けて、血も分けてくれた。
俺もまさか教会に世話になるとは思わなかった。
これも全部、シスターあんたのおかげだな。
馬鹿な事を言うな。ずっとここに居られるわけがないだろう。
…それ以上は言うな、黙れ。
俺はヴァンパイア、お前は神に仕えるシスター。
そんな俺たちが…
それこそ神に対する背徳行為以外のなにもでもない。
俺が知っている中でもあんたは血も身体も最高の女だよ
もしも…あんたが…いや何でもない。
俺の正体を誰も知らない?
(笑)知ってるよ。俺たちに何かあったのかそこのにいるマリアが全部見ていたさ。
さすがに十字架があってマリア像のある教会には俺はいられない。
無くなればいいのって…本気で言っているのか?
まあそれでも俺は出て行く…
【SE:抱きつれる音】
離せ…俺にはもうあんたは必要ない…
人間の男を愛せ、普通の男と幸せになれ…
これで…最後だ
【SE:リップ音】
(突き放して背中を向けて)
俺を待つな…忘れろ…
【SE:出て行く足音・ドアの閉まる音】
【SE:激しく物が壊れる音】
~~~~~回想終了~~~~~
〇現代
今のは…
(笑)だからここにはマリア像がないのか…まさかシスターが破壊したとはな…
【SE:猫の鳴き声】
(笑)ずっと猫の中にいたんだろシスター…
愛しい男の子孫である俺が同じ過ちを起こさないように…
こいつはなぜ…出て行ったんだ。本気でシスターを愛しているなら…
一緒に生きていく方法なんてあるだろ…それを…
なんだ…お前、俺がこいつと同じだと言いたいのか?
俺なら愛した女は絶対に手放さない…ただそんな女に出会っていない…だけだ。
俺は…その男とは違う…
欲しいものは自分から奪いに行く…
【SE:椅子から急に立ち上がって椅子が倒れる】
確かめる…この気持ちを…
【SE:猫の鳴き声】
お前はついてくるな…ここにいろ…
【SE:ドアの開閉音】
【SE:娘の部屋のドアをノックする】
起きているか?入るぞ。
【SE:ドアの開閉音】
電気も付けずにもう休んでいたのか?
【SE:近づいてベッドの座る】
ちょっと話をしないか?
【SE:起き上がる娘】
お前に聞きたいというか…言いたい事…がある。
俺は…その…女なんてただの餌としか思ってこなかった。
実際に女など血を吸ってその気になれば一晩相手をさせればそれでよかった。
どんなにいい女でもずっと長くいたいとか…
思ったことも考えたこともなかった。
お前だってたまたま好みの血だったからここへ置いただけだ。
…わからないんだ。なぜお前の事になると心がざわめくのか。
確かにお前は他の女とは違う。
気持ちが血の味に直結していて吸うたびにコロコロと味わいが変わる。
笑ってる時、怯えている時、悲しみにくれている時…
まるでお前の表情とリンクするように。
「わからない?」それはそうだろうな…きっと俺だけがわかる違い。
でもそれだけじゃない…その正体がもしも俺が…
それで聞きたいんだ…お前の気持ちを…
お前はどうしてここに居る。
俺が言うのもおかしな話だが…逃げることも出来ただろう。
でも一度も逃げようとしなかったのは何故だ。
淑女にするとお前にきついレッスンの受けさせた。
失敗するたびに怒りお前を泣かせた。
それでもそばにいるのは何故だ?
あぁ~グダグダと俺らしくない。
返事はいらない。
【SE:抱きしめる】
…誰にも渡さない、ずっとこうして俺の腕の中にいろ。
そして俺だけに抱かれろ…
…わかってる。
お前は今夜、(俺だけの)大人の女になるんだ…
次の満月の晩に契約を交わそう…
そうすればお前は永遠に俺のそばに居られる。
このまま身を委ねろ。
【吸血開始】
(お任せです。誓いのキスの代わりに吸血します。
本来はキスシーンの方が綺麗で纏まるのですが…
まあヴァンパイアってことで血を吸ってください)
【吸血終了】
(自然に違和感なく囁く)
愛してる…ずっと一緒に居てくれ…
【SE:娘をベッドに寝かせて…服を脱がせようとする】
(ハンターたちが襲撃してきます)
【SE:大勢の人の足音】
【SE:銃声】
【SE:乱暴にドアを開ける音】
(ドアに向かって怒鳴る)
だれだ!
【SE:銃声】
その顔はあの時のハンターか?
なぜ、今になってここへ…
ん…その後ろに居るのは…まさか…
(娘の顔を見て)
お前が手引きしたわけではないな?
そこの男、この娘を利用したのか…ふざけた真似をして…
【戦闘開始】
(ハンター側は銃。ヴァンパイア側は接近戦(体術))
(戦闘シーンは基本お任せですが、台詞を合間にお願いします)
(ヴァンパイアは娘をかばっての戦闘になります)
俺の後ろから離れるな…絶対にお前を守る…
小賢しい(こざかしい)奴らめ…
…さすがに腕利きのハンター、このままでは埒が明かないか…
お前そこのベッドの影に身を隠していろ。
…大丈夫だ、心配するな…さっさと片づける。
(笑)はぁ日が昇る?それがどうした。
残念ながら俺は最高の血を飲んでるからな朝日を浴びても平気なんだよ。
思惑が外れたか?残念だったな…
(敵の銃口が娘に向かう)
(それに気づいてとっさに敵の前に飛び出る黒猫)
(咄嗟に娘をかばう)
【SE:銃声(娘に向かって放たれる)】
【SE:猫の叫ぶ声】
お前ら…死ぬ覚悟はあるんだろうな…
この俺をここまで怒らせたら生きてここを出られると思うな…
(ここから指定の台詞はありませんのでとにかくブチ切れてください)
【戦闘終了】
はあ…はあ…これで全員か?
あの男がいない…怖気づいて逃げたか?
【SE:家が燃える音】
きな臭い…この匂いは…
(ドアノブに手をかけるSE:ドアノブを回す音)
熱い!
【SE:ドアを開ける音】
あいつら教会に火を?
力では勝てないから火あぶりにでもして、俺たちの息の根を止めるつもりか?
ここからは出るのは無理そうだな…
仕方ない窓から飛び降りるか…
(窓際に移動)
くっそ!下で待ってやがる。
飛び降りたら狙い撃つつもりか…
どうすれば…
【SE:猫の鳴き声】
どうした…
そのチェストに何か
【SE:重い棚を動かす音】
これは…外に通じているのか。
…ついて来い迷っている暇はない。
ここで死ぬ気はな。
【SE:二人の足音】
あのドアを出れば…
【SE:ドアが開かない】
くそ…錆びついてるか。
【SE:重いドアが開く音】
開いた…
〇教会の裏の森
ここは教会の裏…
(火の海の教会の目の前にして駆け寄ろうとする娘)
やめろ!危ない!
今、近づいたら火に巻き込まれるだけじゃない。
わかっているだろ。
あそこには生き残りのハンターがいる。
もしも見つかれば容赦なく射殺されるぞ…
奴らに見つかる前にここを離れる。
教会が朽ち果てるの見ていてもしかたない。
(娘は窓を指さす)
窓?まさか中に誰か残っているのか?
…あの部屋はさっきまで俺たちが居たんだ。
誰も残っているわけがない…
あの人影は…まさかシスター…でも猫はここ…
【SE:猫の唸り声】
イタっ…憑依してない…こいつは普通の猫だ。
ならあそこにいるのが…
全く馬鹿な女だ…けっきょくここで終わるんだな…
だがシスターのおかげで俺は大切な物に気づいたんだ。
感謝している。ありがとう。
ハンターには俺たちがあの火の中で死んだと思ってもらうことにしよう。
ここから遠くはなれた地へ行けば決して奴らには見つけられない。
この手を離すなこれからはずっと一緒だ。
お前は永遠に俺だけもの、そして俺もお前だけのものだ。
ジ・エンド