【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア…2
【吸血鬼×運命】神父はヴァンパイア2
~~~~~本編~~~~
○教会・庭園(夜)
【SE:庭を歩きながら】
ずいぶんと荒れて寂しい庭だな、お前はどう思う?
話し掛けられたくらいでなぜお前は後ずさる?
まったくイチイチ怯えた顔をするな。
めんどくさい。
まぁ、お前のことなどどうでもいい。
この庭の事だ。
(薔薇のツルを見つけて…)
薔薇のツルが残っているところを見ると昔は咲いていてのか…
そうだ、誰か腕のいい庭師を連れてこい。
ここを薔薇の庭園のように華やかな庭にしたい。
お前が庭の手入れをする?
ほぉ難しいこの品種の薔薇も育てられると…
この地域にはない薔薇だがそれでもなやれるというならやってみろ。
だだし最優先は俺様の世話だということを忘れるなよ。
それが出来ないのなら庭師を雇え。わかったな。
そろそろ人が集まってくる頃か…
なぜここでは「ミサ」と言わないか?
さぁな、俺がここに来た時にはもうその言葉は使ってはいなかった。
ここは十字架もマリア像も無い教会だ。
別段「ミサ」なんて言葉を使わなくても困らない。
今はヴァンパイアである俺様に血を捧げる場所に変わったんだ。
なおさら「ミサ」なんて言葉とは程遠いだろ。
行ってくる。お前はここから出るな。
【SE:足音】
【SE:トビラの開く音】
○教会・懺悔室
神に懺悔をしなさい。
これまでの罪を悔い改め、明日からは気持ちも新たに皆のために尽くしなさい。
それを神も望まれるのです。
【SE:トビラの開く音】
今夜は男だけか…
ったく男の血など吸っても美味(うま)くない。
ましてジジィの血などいくら腹を満たせてもこっちからお断りだ。
【SE:廊下で物音がする】
誰だ…
【SE:猫の鳴き声】
なんだ猫か…
ん?なんで教会に黒猫などいる?
【SE:走ってくる足音】
どうしたそんなにキョロキョロして…
探し物はこの黒猫か?
(黒猫を差し出す)
なぜ黙っている…じゃあ外に捨てるか。
どうせ野良猫だろ。
お前…なんで泣きそうなんだ?
(呆れて)
まったく…はじめからそう言えばいいだろ…
さっきも言ったがイチイチ怯えるな鬱陶しい。
ほら、受け取れ…
寝室に入れない条件でいいなら黒猫はここに置いてやる。
苦手でも嫌いでもない。
興味がないだけだ。そんな小動物など餌にもならん…
部屋に戻る。あとで部屋の来い。
【SE:トビラの閉まる音】
○ヴァンパイアの寝室
【SE:扉をノック】
入れ…開いている。
ここへ来て首を差し出せ。
今夜は多めだ。じっとして耐えろ。
髪が邪魔だ。かきあげろ。
邪魔だからといって絶対に切るな。
ただし、手入れが悪い。
流れるような艶やかな黒髪が好みだ。
覚えておけ。
【吸血開始】
(お任せします)
ん?味が薄い。
お前ちゃんと食事はしているか?
フーっ
これではいくら吸っても足りない。
今夜はこの辺で止めておく…
【吸血終了】
もういい、部屋に戻れ。
(呟く)
仕方ない少し外へ食餌(しょくじ)に行くか…
【SE:倒れる音】
どうした…あのくらいでフラフラするとは困った娘だ。
おい、こんなところで転ぶな…
意識がない。たったこれだけで貧血…
(少女を抱き上げる)
だから血が薄かったのか…
仕方ない部屋で寝かせてやるか。
○少女の部屋
【SE:ベッドに寝かせる】
よいしょっと…これでいい…
(目を覚ます)
起きなくていい。そのまま寝ろ。
滋養のあるものを準備するように言っておく。
ちゃんと食事はしろ。貧血もそうだが痩せすぎだ。
エサのお前が倒れるようでは必要な時に血を吸えない。
初めて吸った時のような甘く濃い血が好み。
それ以外ならここに置いておく意味はない。それを覚えておけ。
【SE:猫の鳴き声】
黒猫か…
あの娘、少し身体が冷たいようだから一緒に寝て暖めてやれ。
それくらいならお前でも役に立つだろ。
【SE:トビラの閉まる音】
しかし不思議な黒猫だ。
普通の猫ならヴァンパイアを怖がるか牙を向けてくるのに普通にすり寄ってくる。
まさかあの猫もシスターの様にこの世のものではないのか?
(笑)それならそれで面白い。
【SE:歩く足音】
【シーンチェンジ・別の日】
○教会・庭園(夜)
今夜は月明かり綺麗だ。
庭園の薔薇も香りがいい懐かしい
【SE:強い風が吹く】
お前…今日はずいぶんと美味そうな匂いがするな。
この前とは違うつよい香り…。
早速、この月明かりの下で頂くとするか。
こっちに来い…
自分から髪をかきあげるようになったか。
【吸血開始】
(お任せします)
ほぉ、今夜はずいぶんと甘美な味。
お前もずいぶんと素直になった。
ここ艶やかな黒…手触りはベルベットのようだ。
お前はもっと美しくなれる。
【吸血終了】
褒められて嬉しいのか?いつもより頬が上気してしている(笑)
ならいつでも求めらるよう努力しろ。
【SE:猫の鳴き声】
なんだまた猫か…
散歩してから部屋に戻る。
この薔薇でお茶を入れてくれ。久しぶりに飲みたくなった。
この娘…今は幼いが…大人になれば美しい娘になりそうだ。月光に照らされた横顔が今夜はとても美しくみえる。
お前、これから毎日この薔薇のお茶飲み、薔薇で作った水で全身を磨け。
質問するな言われたようにしろ。俺様の言うことには黙って頷け。
そのうち全身から薔薇の香りが漂ってくるようになる。
甘い血の匂いと薔薇の香り…
透き通るような肌とベルベットの黒髪…
これもまたシスターのおかげか…
想像よりもはるかにいいものを手に入れたようだ。
(高笑い)