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Silent

12月25日

カップルにとって特別な日

俗に言うクリスマスというやつだ

○:あ〜寒い

そんな日に何が楽しくては俺はここにいるのだろうか

○:クリスマスケーキいかがですかー

今日はクリスマスケーキの販売のアルバイトをしている

今日はというか、クリスマスイブの昨日もしていた

彼女彼氏がいる人達はこんなことはしない

もちろん俺にはそんな相手がいないからここにいる

この時期になると街が賑やかになるように感じる

色々なところが光っていて騒がしい

だからといって嫌いという訳ではなくむしろ好きな方だ

イルミネーションの光は俺の目にも映る

誰の目にも映るのだ

とても綺麗だ

女:もう片付けちゃおうか

○:はい。わかりました

そうバイト先の人に言われパイプ椅子と机を片付け始める

?:、、ここで何してるの?

そう言われて顔を上げると彼女と目が合った

○:よっ

そう言って手を上げ挨拶をした


飛:何してるの?

俺の挨拶を無視して同じことを聞いてくる飛鳥

○:ケーキ売りのバイト

飛:なんで?

○:暇だから

飛:ふ~~ん😏😏

○:なんだよ

飛:彼女いなくて暇してるって事ね


そう言って小悪魔のような顔をこちらに向けてくる

○:、、、うっせ、、

そう小声で返答し作業を続けた

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女:余ったケーキひとつ持ち帰りな

そう言って箱を渡された

○:2つも食べれないので、、

飛:ありがとうございまーす

断ろうとする俺の横から割って入ってくる飛鳥

○:まだ居たのか

飛:悪い?

○:別に悪くないけど

女:2人で食べてね

飛:はい!

そう元気に返事をし俺の手を引く飛鳥に逆らえず、軽くお辞儀してその場を立ち去った。

○:ケーキあげるよ

飛:なんで?

○:2つも食べれないから

これは本音だ

甘いものは好きだが2つも食べれる気はしない

それに飛鳥には彼氏がいるからちょうどいいと思った

飛:私も2つはいらな~い

○:彼氏さんと食べればいいだろ

飛:え~

そう言って気まずそうな顔をする飛鳥

飛:実は別れちゃったんだよね~


イルミネーションを見ながら、でもどこか遠くを見ているかのような目でそう呟いた

飛:○○はクリスマス好き?

○:急になんだよ

飛:答えてよ

○:あぁ〜クリスマス自体はあんまり

飛:だよね~。じゃあ冬は?

○:冬は好きかな

飛:なんで?

○:う〜ん。星綺麗だし、街も綺麗だから?

飛:ここじゃ星見れないじゃん笑

飛鳥の言った通り東京の夜空は星が見えない

○:なんで?

飛:何が?

○:なんで別れたの?

話の流れで、なるべく自然に質問をした

飛:なんでかな?

そうとぼける飛鳥

飛:とりあえず○○の家まで行くぞ

○:、、まぁいいけど

飛鳥は車の中ではただボーッと外を眺めているだけだった

飛:相変わらずもの少ないね

○:別にいいだろ

飛:クリスマスツリーの一つや二つくらい飾りなよ

○:クリスマスツリーは2つもいらないだろ笑

飛:それはそう笑

そう言って笑う飛鳥の笑顔は高校の時から変わっていない

こうやって飛鳥と一緒に笑う日がこのまま続けばいいと思った

もしサンタがいるならそれを願いたい

飛:早速ケーキ食べよ!

そう言われ箱の中のケーキを机に並べる

飛:わぁ~結構美味しそうだね


そう言ってケーキを見る飛鳥の目はとても綺麗だった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

飛:食った食った

まるでおじさんみたいだ

飛:それじゃあ私は帰ろうかな

そう言う飛鳥の手を思わず掴んでしまった

○:、、、

飛:何?

不思議そうにこちらを見つめる飛鳥

○:いやっ、、送るよ

手を離して玄関に向かった

飛:、、、ねぇ○○

そう呼ばれ振り返った

飛:ずっと言えなかったこと、今日は言えると思う

急に話し出した飛鳥

○:どうしたの、頭でも打った?

そうおどけてみる

飛:ちょっと真剣に聞いて

語尾を荒くする飛鳥に萎縮してしまった

○:ごめん、、、


飛:ずっと好きだった

○:え?!

飛鳥にずっと言って欲しかった言葉を言われ驚いてしまう

飛:高校の時から

○:えっ?!ほんとに?

飛:なんで嘘つく必要があるの?笑

そう笑う飛鳥

○:でも、彼氏がいたんじゃないの、、

飛:あぁ~あれね、嘘なんだ

○:なんでそんな嘘を、

飛:強がっちゃったんだよ!わかるだろ

そう言って小突かれる

○:いてっ!

飛:言う事ないの?

○:あ、、えっと、、

飛:モジモジするな!

○:はい!、、、ずっと好きでした

飛:それだけ~?😏😏

○:あっ、つ、付き合ってください

飛:言うの遅すぎ

そう言ってまた小突かれた

飛:ずっと気持ち気づいてたから

○:え?!

上手く隠せているつもりでいたがどうやらそうではなかったらしい

飛:○○も気づけよな

○:えっ、、

飛:普通好きじゃない人とドライブデート行かないぞ

今までの日々はデートだったのだと気づき嬉しくなった

○:全く気づかなかった

飛:鈍感だからね笑


また変わらない笑顔を向けてくる飛鳥のことをさらに好きになった

飛:じゃあクリスマスデートするぞ~

○:えっ、、何するの?

飛:ドライブ

○:またかよ

飛:つべこべ言わず早く行くよ

強引に手を引っ張られ玄関に誘われた

これから先も飛鳥に振り回されるのだと悟った

それでも、それがいいとすら思った

クリスマスの星に願った願い事が叶った

あまり好きじゃなかったものが好きになる

そんな予感がした



…end

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