メンバーに上手にものを教える方法

マネージャーさんとお話をしていると、一生懸命にやっているのに、あと1つのアクションが欠けていて、とてももったいないと思うことがあります。

その代表的な例が、メンバーへのモノの教え方です。今日はこのテーマについてお話をしたいと思います。

"インプットは、アウトプットしたときに初めてインプットされる"

これ意味わかりますか?

人は話を聞いたときに分かった気になってしまうことがあります。

しかし、それを人に説明しようとしたときに、うまく言葉にできなかったりします。

これすなわち、わかったつもりになっていたけれども、実際はわかっていなかったと言うことです。

知識習得には

①知る。

②わかる。

③行う。

④できる。

⑤分かち合う

の5段階があり、それぞれの段階には大きな段差があると、昔、株式会社アチーブメントの青木社長から教わりました。

では、①知ると②わかるの違いは何でしょう?

"分かった"とはどういうことでしょう?

それは、自分が誰かに説明ができるかどうかだと教わりました。

研修中に私はよく以下のようなストーリーを伝えます。

2人の2年目の社員、Aくん、Bくんがいます。

1年目を終えた時点での、2人の実績、能力には差がなく、全く同じだったとします。

4月にAくんの部署には、1年目の後輩Cくんが配属され、AくんはCくんの教育担当に任命されました。

一方、Bくんの部署には1年目の配属がなかったので、2年目になった。Bくんは年次としては1番下のまま1年間を過ごします。

さて、3年目になった時に、Aくん、Bくんは、どちらの方が成長をしているでしょうか?

と言う問題です。

これに対し、Bくんと答える方もおられます。

理由を聞くと、後輩の面倒を見る事に時間を取を取られることがなく、自分の仕事に専念ができるからとの事。

確かに、人にモノを教える事は時間も手間もかかりますので、もしかしたらそう言うケースもあるかもしれません。

しかし、この文脈での私の回答は、A君です。

何故か?

Aくんは、後輩のC君にいろんな事を質問をされるたびに、一生懸命に教えようとがんばります。そして、そのたびに自分が曖昧で上手く説明が出来ないと言う事に直面し、もう一度、基本を調べ直し、それを理解した上で、C君に伝えます。
これが度々繰り返されるので、A君は、なんとなくやっていた基本的な動き、分かっているつもりになっていた基本の動きを、きちんと分かった上での動きに変えられるからです。

何度も言いますが、インプットはアウトプットしたときに初めてインプットされるのです。

だから、人に教えることの多い管理職や先輩の方々には「教えっぱなしにしてはダメですよ」とお伝えしています。

「必ず、相手が何を受け取ってくれたのかを問い、相手にアウトプットしてもらうことを基本形にしてください」と。

経験上のお話をお伝えすると、例えば、私がメンバーに「今から2つのことを伝えるね。1つ目は、〇〇〇〇〇〇で、2つ目は× × × × × ×だよ」と教え、受け取ってくれたことを確認すると、2つを完璧に答えられるメンバーは実際それほど多くありません。

多くのメンバーは後から言った× × × × × ×のことは、言えますが、最初に言った〇〇〇〇〇〇の事はすっかり抜け落ちてしまう事が、普通だったりします。

最初から10伝えたことを、10受け取れるメンバーはまずいません。

人は情報を落とす生き物です。

更に、人は勝手な解釈で情報を曲げる生き物です。

一通り教えた後に、後にアウトプットしてもらうことで、目の前のメンバーが何を受け取ってくれて、何を落としてしまったのか、さらには間違えて理解をしてしまったところはないか、などが確認できるのです。

それがわかれば簡単です。

落としてしまった大事な情報があれば、

「ありがとう。今〇〇〇〇〇〇の部分は完璧だった。けれども、2つ目の× × × × × ×は、すっかり抜け落ちてしまっていたね。今日私が伝えたかった事は2つ。1つ目は〇〇〇〇〇〇2つ目は× × × × × ×。どちらも大事なので、しっかり覚えてね」と繰り返せば良いだけです。

メンバーが自分の解釈で情報を曲げて受け取ってしまった場合にも、その場でそれがわかれば、「ごめん。私の説明が悪かったみたいだね。× ×の部分は、※ ※※ ※ ※ ※ ※じゃなくて× × × × × ×だからね。間違えないでね」と、その場で修正ができます。

更には、人は忘却の生き物です。

忘却曲線を発表したエビングハウス博士によれば、人は何もしなければ、1時間後には聞いた事の約40%、 24時間後には約75%を忘れてしまうとの事です。何もしなければ殆ど忘れるのです。

本人に聞いた事をその場でアウトプットをしてもらう事は、思い出して、頭の中で整理して、声帯を震わせて言葉を発し、その言葉を自分の耳で聞く、という幾つもの脳への刺激を与える事になります。結果、脳への定着=記憶に繋がります。即ち、忘れにくくすると言う効果もあるのです。

と言うことで、メンバーに何かを教えたら、必ずその場でアウトプットをしてもらう。
研修や講義に参加する際には、メンバーにはアウトプットすること、例えば、終わったら学んだ事を職場に返ってみんなにシェアする事など、を前提に学んでもらうことを覚えておいてください。

今日はこの辺で失礼します。

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