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遠退く意識

はじめてのSM

キスもSEXも嫌いだった私の変化

「はじめまして」
駅のホームに御主人様を迎えに行き、初めて会ったあの日。メールとも通話とも違う緊張感、胸の高鳴り、高揚感、安堵感、行き交う感情で私の身体は熱くなり、脳に酸素が行き渡らない

心臓が鼓動を鳴らし目と目が会う瞬間、
震える手に熱い肌が触れる瞬間、
固く閉ざした唇が貪るように交える瞬間、
御主人様に初めて性感帯を刺激された日、
私は生理で出血していた

はじめて見る鞭、はじめて見る荒縄、SMという世界を知らない私に御主人様は丁寧に説明し、不安をすべて取り払い、身体を委ねる快楽を教えてくれた、滴り溢れ落ちるソフトクリームのように溶かしてくれた
濃厚で甘美な時を包み込むように与えてくれた

仰向けで過ごす甘い時の中に、ふと御主人様の優しい笑顔が消えた。首筋に手を触れ、力を入れる御主人様。私は苦しみ踠く事もなく、こころ安らぎ、視界が少しずつ狭くなり、御主人様の声は聞こえるのに、意識がスッっと遠退いた

後に聞いたら白眼を剥いて気絶していたらしい…御主人様から意識を反らした自分を悔いた、御主人様との性行為の時間をひとときも逃したくない私がいる

私の目の前には、さっきより優しい笑顔で見つめてくれる御主人様がいる

赤黒く焼ける熱い背と高まる胸を感じながら
私たちの「はじめまして」は終わった

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