創作SS:軋む恋
表紙画像はMicrosoft Designer Image Creator にて生成。
プロンプト「古びた木造アパートの一室 中央には古びたレコードプレイヤー 水彩画」
Geminiの創作SSです。
軋む恋
雨音が窓を叩き、部屋に薄暗い影を落とす。
古びた木造アパートの一室で、
彼女は一人、窓の外を眺めていた。
街灯の光が雨に滲み、
まるで彼女の心が揺れているようだった。
部屋の中央には、
古びたレコードプレーヤーが置かれている。
埃をかぶったレコード盤を慎重に取り出し、ターンテーブルに乗せた。
針を落とすと、かすかなパチパチというノイズと共に、
懐かしいメロディーが流れ始めた。
この曲は、彼との思い出が詰まった一曲だ。
初めてデートした日の帰り道、彼の家で一緒に聴いた曲。
レコード盤に指を滑らせ、何度も何度も繰り返し聴いた曲。
窓の外には、かつて彼と手を繋ぎながら歩いた並木道が見える。
街灯が照らし出す並木道は、まるで時間が止まっているかのようだった。
「きっと、またあの懐かしい音が聞こえる。」
彼女はレコードジャケットを見つめながら、そう呟いた。
彼の笑顔が目に浮かぶ。
一緒に笑った日々、喧嘩した日々、
そして、別れの日。
すべての記憶が鮮やかに蘇ってくる。
レコードプレーヤーから流れる音楽は、
彼女の心を揺さぶり続ける。
レコードプレーヤーの針が
レコード溝に引っかかるように、
彼の思い出が、彼女の心に引っかかっていた。
まるで、彼が今、この部屋にいるかのように。
「もし、もう一度会えたら、何を話すだろう?」
彼女は自問自答を繰り返す。
でも、もう二度と会うことはないのかもしれない。
そんな現実に打ちのめされそうになる。
レコード盤の最後の音が鳴り終わると、
静寂が部屋を包み込んだ。
彼女は深呼吸をして、レコードプレーヤーの電源を切った。
この部屋で二人は多くの時間を共にした。
喜びも悲しみも、すべてを分かち合い、
この部屋は二人の愛で満たされていた。
軋む床の音は、二人の過去の証。
そして、今は、二人の未来への不安を告げている。
雨は上がり、窓の外には虹がかかっていた。
彼女は窓を開け、深呼吸をした。
軋む恋は、決して終わりを迎えるものではない。
それは、形を変え、新たな章へと続いていく。
「きっと、またあの懐かしい音が聞こえる。」
そう信じながら、彼女は未来へと足を踏み出した。
おしまい
山根あきらさんのお題でした。
「タモリスト文学大賞」は私とってハードルが高いので、
応募しないことにしました。
最後まで記事を見ていただき、ありがとうございました。