小津安二郎の『お早よう』
<シネマでTOLK&本deコミュニケーション⑫>
火曜日は午後1時~「体育館で筋トレ」の予定になっているので、身支度して出かけようとした。が、ふと今日の1時~BSのNHKは何かな?…と思い番組を調べたら、小津安二郎監督の『お早よう』。観たい。「小津安二郎」は何作か観たが、これは知らない。
(小津監督はロンドン映画祭サザーランド賞・紫綬褒章・日本芸術院賞などを受賞。映画界の重鎮。当作品は50作目。2本目のカラー)
ジャケットを脱いで、またコタツに入った。
私がその名をよく知っている笠智衆・佐田啓二・久我美子・沢村貞子・杉村春子ら出演の昭和34年(1959)作品。
多摩川の新興住宅地に並ぶ木造住宅と鉄筋コンクリートの建物で暮らす大人たちと子供たちの何気ない日常の物語。
子供の兄弟はテレビに夢中。自宅にはテレビがないので近所の家で観ている。「買って」とねだるが、買ってもらえない。
昭和34年といえば、私は小学6年生。母が入院という事情で私は3年生から大阪府南河内郡の田舎の伯母の家で暮らした。伯母の家にはテレビがなかったので、私もよく近所の家で観せてもらった。「てなもんや三度笠」とか「すちゃらか社員」とか。
番組の名を打ち込んで、驚いた。覚えていた! 子供の頃のことって覚えてるもんなんですね。いまは昨日の昼に食べたものを思いだすのも時間がかかるのに。
テレビ観賞は本当に楽しい娯楽の時間だった。今の子供たちがゲームをしたりスマホをいじったりしている時間より、数倍愉しかった(と思う)。
中学生になって大阪市内の実の母の家へ帰ったが、テレビは無かった。
映画の最後は、父親がテレビを買い、子供たちは大喜びする。
わが家も、母が勤めていた会社の社長さんが新しいのを買ったので、古いのを頂いた。
テレビが届いた日、そりゃあ嬉しかった。最初に観た番組より、その前に画面に映った……ピーチクパーチク何とかって音楽と歌そして鳥が出てくるコマーシャルが印象に残っている。
映画のなかのズラリ並んだ同じような木造住宅を観て、母と一緒に暮らした家を思いだした。
一軒の木造住宅が2世帯長屋になっている。各戸に低い木造りの塀があり庭は広い。庭にはダリアとカンナが咲いていた。今も、ダリア・カンナの花の名を口にすると、ズラリ並んだ2世帯長屋の木造住宅団地を思いだす。
マッチ箱のような小さな家だけれど、縁側があり玄関とは別にキッチンから出る裏口があり、好きな家だった。
その好きな家で大好きなテレビを毎日観ていた。
その後も今も、私は大のテレビ好き。当時の衝撃的な喜びが深く心に残っているからなのかもしれしない。
同じ年代の人なら覚えていますよね? 「パパは何でも知っている」「うちのママは世界一」という海外ホームドラマ。「ララミー牧場」には夢中になった。まじめ家長(名はスミスだった?)より流れ者だったジェスが好きだった。
映画にはフラフープもチラと登場。抱っこちゃんは出てこない(年代がちょっと違う?)。映画を観ながら一気に時代がさかのぼり、私は小学生に戻った。
94分の映画。観終わったら体育館へ行くつもりだったのに、昼食で日本酒を飲んだからか眠くなり、コタツでちょっと居眠り。そのまま夜まで眠ってしまった。