自転車で転倒した

<ヨーコお婆の喜怒哀楽⑥>


年をとると、突然なにが起こるかわからない。
今回のことは、歳は関係ないのかもしれないが、思い返しても何が起こったのかわからないし、反射神経が悪かったのかもしれない。やはり歳のせいだと思っている。

昨日、隣町の体操教室に行くために、いつものように自転車に乗って、いつもの道を行った。
高速道路の上が急な上がり坂と急な下り坂になっていて、下るときはいつも自転車が古いので、「ブレーキ大丈夫ですように」「タイヤ大丈夫ですように」と祈りながら下っている。昔、乗っている最中にブレーキが利かなくなったことがあるし、この道でタイヤがペチャンコになったこともあるので。

枝をすべて切り取った桑の木の前を通り、「少し葉っぱをいただいて桑茶を作りたかったのに……」と思いながら、クワの木の前を通り過ぎた。
ここで、何が起こったのかよくわからないのだが、一瞬……

「あっヤバイ!  溝にはまりそう」と感じ、「何とか溝にはまらなくて済むだろう」と思ったのに、次の瞬間……自転車は倒れた。

溝に入ったから倒れたのだろう。でないと倒れるはずがない。でも、自転車を溝から出した憶えはない。溝にはまっていない? では、どうして倒れたの?

はっきり覚えているのは、倒れる寸前、飛行機の轟音がして空を見上げた。
数年前に天井がグルグル回る良性発作性頭位めまい症というものを発症して以来、毎日軽いフラツキがあるので、頭を大きく動かしたから大きなフラツキが起こった?

溝にはまりそうと思った瞬間、なぜ自転車を止めなかったのだろう? どうして溝から離れなかったのだろう? 全然車は通っていないから道の真ん中へ出て行っても危険ではなかった。車に迷惑もかからなかった。
また、なぜ「溝にはまらない。大丈夫」といつものように祈らなかったのだろう。
家を出る前は玄関で、「何も危険なことは起こらない、無事に帰ってこれますように」と祈ったのに。

溝にはまりそうと感じてから、転倒するまで1分くらい。瞬間のことだった……。

打撲状態で脚が痛いし腕も痛い。ハンドルで打ったのか胸あたりも痛いし、体操教室はやめて家に戻った。

私は歳とった。68歳のとき、テニスコートで転んで肋骨を骨折したのに、そのまま30分くらいプレーを続行していた。かなり痛いということに気づいてもサポーターを巻いて一人で電車に乗って帰った。

歳とったから用心するに越したことはない。が、前回も休んだから(この教室は月2回だけ)今日は参加したかったのに……情けない気分だった。

時間が経ってから思い返しても、何が起こったのかよくわからない。
先日、ヨガ中に強いフラツキ=メマイがあり、帰りの自転車がちょっと怖かったが、まったく大丈夫だった。
車を運転しない私は何処へ行くのも自転車なので、これまでに、車と接触しそうになったり、「今のはかなり危なかった」って思い返したら怖かった、危険だったということもいろいろあったが、すべて大丈夫だった。

なのに、空を見上げたぐらいで、なぜ?

むかし不思議なことがあった。ガソリンスタンドの前を通ろうとした時、いきなり車道から乗用車がガソリンスタンドへ。驚いた私は溝の中にはまってしまい、自転車に乗ったまんま歩道に戻った。
しかし、そんなことがあるだろうか? あれは夢だった? 想像? 記憶違い?

車と衝突したわけではない。この程度で済んでよかった。ありがたい。
今回決めたことがある。自転車に乗っているときは絶対に空を見上げないこと。
  


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