ぽこピーランドとVRC hatビジター
ぽこピーランドとVRC hatビジター
甲賀流忍者!ぽんぽこさんとピーナツくんのテーマパーク「ぽこピーランド」が1年の制作期間を経てVRChat上のワールドとしてオープンした。Vtuber活動の集大成とも言える。VRChat上のテーマパークとしては完成度は過去最高ではないだろうか。
入り口に入るとファンファーレの音、園内のにぎやかなBGM、観覧車にジェットコースター、お化け屋敷、ちょっと怪しい占いコーナーと遊園地らしい華やかなラインナップが並ぶ。入り口にお土産ショップがあり、そこでカチューシャやかぶりものを身につけて園内を回ることができる。
ぽこピーらしいコンテンツもある。ピーナツくんが推しているサウナでととのったり、ぽこピー資料館でお二人のYoutuberとしての歩みを振り返ったりもできる。
とにかく画期的なのは、コレが無料で365日、いつでも誰でもWindowsPC
かVR機器を持っていれば入れるということだ。園内の様子は#ぽこピーランド というハッシュタグをつけて呟けば世界に楽しさを発信できるし、何か困ったことがあったら#ぽこピーランドSOS でSNS上の誰かが助けてくれる。とにかくサポートが手厚く、しかもそれを専任のスタッフがやっている訳ではなく、有志のファンが相互扶助的にやっている。
かくいう私も、VRChat初心者でよわよわノートPCから遊んでいるため、写真の撮り方、画質を落として動作を安定させる方法等、得られた知見を同ハッシュタグで共有し、少しでもお役に立とうと頑張ってみた。ありがたい事に、沢山の人が見てくれていて、ぽんぽこさんご本人も引用RTで紹介してくれたので、どうやらお役に立てているようだ。
とにかく初日はみんな優しくて、それが嬉しくてついつい私もできる範囲でお役に立ちたくなってしまったのだ。お化け屋敷では怖い所をずっと同行してくれた方がいたし、ガチャガチャコーナーでは、出てきたガチャを一緒に並べてニコニコしながら手を振ってくれた方がいた。嬉しかった。
VRChat自体は以前に数度使ったことがあって、コロナ自粛で集まれない時に忘年会に利用したこともあった。とはいえ、ログイン回数も10回程度だし、総プレイ時間も10時間程度だろう。
VRChatはプレイ時間や貢献度によってユーザーランクというものが存在する。最初はみんなビジター、そこからNewuser、User、Known User、Trusted Userとランクが上がっていく。ネームプレートが色分けされていて、誰が見てもパッと見で、そのユーザーがどの程度VRChatをやりこんでいるか、VRChat自体に慣れているかどうかわかるようになっている。
ぽこピーランドで遊んでいると、まだMetaQuestがOculusQuest時代だった頃にデバイスを買った友人がJoinしてきてくれて一緒に遊んでくれた。いつのまにかHaritoraxまで導入し、全身フルトラッキング、ボイスチェンジャーで女性の声になり、話し方や相槌まで柔らかく女性のようになっていた。改変モデルも自分で作成してアップロードして使用しているらしい。
彼(彼女?)と一緒にランドを回り、サウナに入っていると「はぁ〜、あっつい、あついね〜」と言い出した。本当に暑いらしい。VRの世界にいると、VR感覚というものが芽生えるそうだ。VRの世界で触られたら本当に触られた感覚があるし、暑いビジュアルの場所にいったら本当に暑く感じるらしい。聞くと彼の場合はコレは徐々に培われるものではなく、ある日突然芽生えたらしい。
クロスモーダル知覚というものがある。5感はそれぞれ独立して働いているものではなく、目や耳から入った感覚が他の五感に影響を与えるというものだ。コレは学習性のものだと思う。梅干しを見て酸っぱい感じがして唾が湧いてきたり、汗をかいたキンキンに冷えたビールを見て、喉を潤す感じが想像できたり等だ。VR感覚がある日突然芽生えるというのはVR世界の学習によるものだと思う。梅干しを見て酸っぱい感じがするけど、練り梅やのし梅を食べた事が子供ではクロスモーダル現象が起こらない。しかし、世の中を色々経験してきた大人は練り梅やのし梅を見ても酸っぱいことが感覚的にわかるので、クロスモーダル現象が起こる。VR感覚とは、思うに練り梅やのし梅でも酸っぱいと思えるくらいにVRの世界で経験を積んでクロスモーダル知覚に“目覚めた”状態ではないだろうか。
話は少し変わるがVRChatには“お砂糖”という文化があるらしい。お互いが美少女アバターで息がかかるくらいの近距離で撫であったりいわゆるイチャイチャする状態だ(違っていたらスマン)私もフルトラッキングの友人に撫でてもらったが、多幸感がすごかった。
さて、ここで大事なのはVR感覚が芽生えている人が撫でてくれるというのはどういうことか、という事だ。現実世界では女性の頭を撫でてヨシヨシする事の是非がSNSでよく議論されていて、される方はヨシヨシされて嬉しかったり嫌だったりするだろうが、する方だって(嫌われたらどうしよう、拒否されたらどうしよう)という内心の恐怖を乗り越えてヨシヨシしているハズなのだ。VR感覚が芽生えた人にとってVR内でヨシヨシしてくれるという事はそれなりのリスクがある行動を敢えてとってくれているという事で、そのありがたみを噛み締めたいと思う。
とはいえ、私はまだVR感覚が芽生えていない。デスクトップ版ユーザーだし、ビジターだし、この世界での経験が足りない。VR感覚については「理解はできるが共感はできない」というヤツだ。
とはいえ、コレを理解している事で無用なトラブルを避け、VRChatの世界に比較的容易に適応していく事ができると思う。友人に聞くと「近すぎるのが苦手な人もいるねぇ」とのことで、コレはもう現実の世界と一緒でパーソナルスペースを侵害される事を嫌う人も当然いる。ぽこピーランドでもベテラン(Known User勢)の人達の集まりに加えて頂いたことがあるが、彼らはとにかくゆっくりとまとまって移動し、目線の移動もゆっくりで、なおかつ個人のパーソナルスペースを侵害しない距離を常に保っていた。
私のようなデスクトップ版ビジタープレイヤーはとにかく色々見て回りたくてShiftキーを押しながらダッシュで移動しがちだが、ベテラン勢ほどダッシュしたりしていなかった。現実世界でも、目の前の人がいきなりピョンピョン飛び跳ねながら猛然と駆け出したら怖いし、急に突っ込んできて自分の鼻先に立たれたら怖い。
なんとなくだが、ベテランユーザーほど、“自分が他のユーザーからどう見えるか”を意識している感じがする。そして不文律のその場の雰囲気をとても大事にしている感じもする。
ビジターの自分は言ってみれば日本にやってきたガイジンのようなものだと思う。日本という国はややこしい不文律が沢山あり、それを守ったり破ったりすることに感情のエネルギーを沢山使う。ただ、ガイジンはその不文律のルールを知らずに神社でやたらフラッシュを焚いて写真を撮ったりして、悪意なしにルールを破ってしまう。
もちろん日本人だってルールを知らないガイジンには(しょうがないよな、ルールを知らないんだし)って寛容になれるけれど、ルールをきちんと調べてきて、守ってくれるガイジンには尊敬の気持ちが湧くし、自然と優しく接したくなる。
なので、「自分が優しくされたいから」というまぁまぁ不純な動機ではあるが、この世界のルール、お作法を少しずつ学んでいきたいと思う。
最後に、一緒にぽこピーランドを回った友人に
#川床泥酔部
に連れて行ってもらった。到着し、友人による私の紹介が終わるとみんな「ビジターさんが来たぞ!囲めー!」と歓迎し、優しくして下さった。コレはとても嬉しくもあったし、まぁビジター=ガイジンだから多少の粗相は許しましょうね、という相互確認でもあったと思う。
いつかガイジンからちゃんと文化圏の人になりたい。ただ前提として、VRChatは優しさに溢れていて居心地の良い場所だと感じるので、まぁ周りのみんなの厚意に甘える形にはなっちゃうんだけど、あんまり肩肘張らずに時間をかけて気楽に馴染んでいけたらいいな、と思う。
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