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#3【丘の上の社宅団地のお話】(昭和50年代)野良犬の名犬ジョリィ

その団地群の丘には、
たくさんの野良犬達が暮らしていました。

調べてみると、
昭和時代の野良犬は、社会問題として
様々な課題があったようですが、
私の思い出の中では、
野良犬達は、「一緒に遊んだ仲間」という記憶です。

昭和50年代の田舎では、
のんびり暮らす野良犬が
日常に溶け込んでいませんでしたか?
でも、野良犬や放し飼いは、
犬達にとっても人間社会にとっても
良いことではなかったはずです。

子どもの目には、野良犬達と遊ぶ楽しい部分だけが
見えていたのかもしれません。

私が幼稚園年長〜小学1年生くらいの頃に
住んでいた団地群には、推定で
10頭近くの野良犬達がいました。(多分)
10頭が常に群れていたら怖いのですが、
そんなに群れていることはなく、
1〜2頭で、
それぞれのナワバリ?にいました。
ナワバリは、団地です。

その犬達の中で、しっかり記憶にあるのは2頭です。
秋田犬のように大きな茶色いオス犬
おそらくビーグル犬のメス犬です。

子ども達は、思い思いに犬達に名前を付けていました。
私たちの団地だけでなく、
丘全体には何棟もの社宅団地がありましたから、
団地ごとに子ども達が多勢いて、
そこにも犬達は出かけて行ったり住んでたりするので
団地ごとに呼ばれる名前は違っていたのかもしれません。

私達の団地の子ども達は、(少なくとも私は)
大きな秋田犬のオス犬を、『プール』
おそらくビーグルのメス犬を『ジョリィ』
と呼んでいました。

なんで『プール』?
ぐーーーっと脳内タイムリープして思い出してみると、

この大きな秋田犬がいつも居た場所は、
坂道を挟んで斜め向かいに建っていた、
うすいエメラルドグリーン色の団地の
駐車場でした。
この団地は、1階が駐車場になっている
ピロティ構造で、
この駐車スペースの片隅に
彼はいつもゆったりと寝そべっていました。

そこには
「モータープール」という
看板があったような記憶があります。。
ひらがなもカタカナも
その頃には読めていたような?
(「ひらけ! ポンキッキ」という子ども番組で
読み書きを覚えた子どもでした)
一緒にいた年上の友達が読んでくれた?
そこからの「プール」なのか?

もう一つの記憶。
その秋田犬は、とても大きくて、
まるで泳ぐプールのように
大きい。と思っていたような。

団地の友達と遊んでいて、
「プールと遊ぼう!」となったら
まず必ずこのピロティに探しに行きます。
すると、だいたい寝そべっていて、
ゆっくり頭を起こして、私達を迎えてくれました。

ジョリィと呼ばれていたメス犬は、
私にとっては
出会った時からジョリィでした。
2つ年上の幼馴染のサエコちゃん(仮名)が
ジョリィと呼んでいました。

ある日、
幼稚園の保育時間中に、園庭で遊んでいて、
社宅団地の丘に住んでいない友達と
ジョリィの話になりました。
そこで、
「ジョリィじゃないし!」「ジョリィだし!」と
呼び方の相違で口喧嘩になったことを
思い出します。

プールもジョリィも、色んな場所で
子ども達や地域の大人達に
愛されていたのだと思います。

メス犬のジョリィは、とてつもなく賢い犬でした。
私が小学一年生になった春、
ジョリィは、あの大きな土手に穴を掘って
その中で子犬を産み、育てていました。

毎朝、学校に行く前に、
友達と一緒に土手に行って、
ランドセルを置いて、
巣穴に上半身を頭から突っ込んで、
「ミューミュー」と泣いている
まだ目も開いていない子犬達を
引きずり出して、両手に抱っこしていました。

学校に行かなきゃだけれど、
可愛くて可愛くて
ずっと抱っこしていたかったです。

ジョリィは、子ども達に子犬を外に出されても
全然怒りませんでした。
そう言えば、
ジョリィが怒ったところを
見たことがありません。

ジョリィはこの時以前にも
何度か出産していて、
私達も子どもながらに
子犬と母犬の関わり方や
子犬の育ち方を見て知っていました。
(ジョリィが賢いことは有名で、
彼女が産んだ子犬はすぐに
もらい手が見つかっていた記憶があります)

ある日の放課後、
土手の下にある公園に、
(土手の下には、新しくて大きな公園がありました)
友達と遊びに行きました。

あろうことか、
ジョリィの巣穴から子犬を勝手に連れ出しました。
(多分、ジョリィは留守でした)
まだ自力では歩き回れないような
小さな子犬をお腹に乗せて、
椅子型のブランコに乗っていました。

友達と私と
それぞれ一匹づつ
お腹に子犬を抱いて
ブランコに揺られながら
おしゃべりをしていたと思います。

しばらくして、
私が抱っこしていた子犬が
私のお腹の上で
う◯ちをしたのです。

(苦手な方は申し訳ありません。
ここから、う◯ちの話になります)


私のジャンバーに
う◯ちが付着しました。
まだ母犬のお乳しか飲んでいない子犬なので
量は少しですが、状態としては緩めです。
隣で見ていた友達も、
「だいじょうぶ?」と心配してくれていましたが、
私は全然平気でした。

常日頃、ジョリィの子育ての様子を
見ていましたので、
母犬が、子犬のお尻を舐めて
排便を促し、きれいにしてあげることを
知っていました。

そこで、私は、思いっきり大声で
「ジョーーーリーーーーー!!」
土手に向かって
「ジョーーーーーーリーーーーー!!」

ジャンバーに付着したう◯ちを、
ジョリィに舐めてもらおう作戦です。

何度も何度も名前を呼んでいると、
なんと!
ジョリィが土手の方から
足早にタタタターーーーっと来てくれたのです。
一目散に私の(子犬の)ところに来て、
そして、私のジャンバーを
舐めてきれいにしてくれました。

うそのような本当の話なのですが、
ジョリィは、この時怒らずにいてくれましたが、こんな小さな子犬を巣穴から連れ出したのはいけなかったと、反省しています。

このようなことが
当たり前だった
40数年前の楽しい団地生活。

まだまだ楽しくて不思議なお話は
いっぱいあります。

また、覗きに来てくださると
嬉しいです。

ここまで読んでいただき
ありがとうございました。



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