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丘の上の社宅団地のお話【昭和50年代】


 はじめまして。うりはなと申します。

 
犬好きのちびっこい少女だった筆者が、幼稚園〜小学校1年生までの数年間、
茨城県の自然いっぱいの田舎町で、たくさんの人達や動物達と一緒に過ごした
賑やかで楽しい日々を、少しずつ綴っていきたいと思っています。

 どうぞよろしくお願いいたします。


皆さんは、窓やベランダから見るどんな景色が好きですか?
どんな景色が印象に残っているのでしょうか。


第一章 「坂の上の社宅団地」

私は幼少の頃(40年以上も月日が経ちました)、茨城県の太平洋側の田舎町、
海から5㎞ほど内地の町、大きな坂の上に住んでいました。

坂の上までは、3・400メ-トルくらいあったでしょうか。4.5歳の女の子には、
下から見上げると山のようでした。

坂の始まりは、信号のある交差点。
本屋さん、ケ-キ屋さんなどがあったと思います。

坂は2車線ある車道で、両側に歩道がありました。歩道を登り始めると、
右側には大きな空き地がありました。

この空き地は一面クロ-バ-畑でした。
春になると、数えきれないほどのシロツメクサが咲き乱れていました。
花輪のかんむりや、ネックレスをいくつ作ってもシロツメクサが減らないくらい
沢山咲いていました。

坂の半分くらいを登ると、道の両側に、団地が立ち並び始めます。
臨海コンビナートに工場がある企業の、そこで働く人たち家族が住む団地群です。

薄いエメラルド色の団地。
鳩よけネットが全面にかけられている何だか薄暗い団地。
建てられたばかりの独身寮。

やわらかいべ-ジュ色の4階建ての団地。
そこが私の父が勤めていた企業の社宅団地です。
その4階に住んでいました。 

私たち家族が住んでいたのは1号棟で、少し古い感じでした。
そこに住んでいる間に、敷地内に2号棟が建設されました。
グレーの、角張った、モダンなデザインでした。

1号棟は南側にベランダ、北側に駐車場と、
長屋のように横長な各戸用の物置きがあり、
さらに北側に独身寮と2号棟が建っていました。
棟の東側から西側へ階段は4本あり、
私が住んでいたのは一番西の端の4階でした。

好きだったのが、南向きのベランダに出て、鉄の柵の棒にしがみつき、
その間に顔を押しつけて、そこから見える世界に没頭すること。

4階のベランダから外の世界を見ると、かなりの高さがありました。
でも私は怖いと感じたことがなく、
空と地面の間の世界を自然に当たり前のように感じていました。

団地群でしたので、小山のような丘の全体に折り重なるように
デザインの違う団地が建ち並んでいましたから、その団地の間を、
ガッチャマンがかっこよく飛び回ったり、
ドラえもんとのび太くんがタケコプターでふわふわ飛んでいたり
という景色が見えていたものです。

地面を見下ろすと、大好きなドングリの木、芝生の裏庭、
知ってるおばちゃんたちが歩いていたり友だちが遊んでいたり。
大好きな世界が広がっていました。

とびきりお気に入りの景色は、ベランダの東の端っこに行くと広い空の下に見える小さく遠い、濃ゆい青い色をした海でした。
 
車に乗って何度も遊びに行ったことのある海です。
空より濃い青色は、海だと知っていました。
沖に船が見えることもありました。
 

本当に見えていたのかしら? 今となっては、記憶も夢のようです。


2歳〜6歳まで暮らした楽しい団地のお話。
様々な自然や動物・昆虫達、年の違う遊び友達に団地の住人達。

小山のような丘全体が秘密基地みたいだった団地群での
面白いお話、本当にあった楽しいお話を、
これから少しずつ書いていきたいと思っています。

ご興味をもっていただけましたら幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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